HRサービスデリバリーとは?その役割と進化の流れ
シームレスなサービスの提供はビジネスリーダーにとって最優先事項の 1 つであり、その中心となるのが HR サービス デリバリー戦略です。グローバルな職場環境が進化し続ける中、HR サービス デリバリーも同様に進化する必要があります。
従業員の働く場所と自宅との境界線が曖昧になる中、HR サービス デリバリーもそれに合わせて進化しています。Buffer 社の調査によると、従業員の 98% は、今後のキャリアにおいてある程度の時間はリモートで働きたいと考えています。そのため、企業が福利厚生、リソース、ソリューションを提供する方法にも大きな転換が求められるようになっています。
同時に、従業員は人事ソリューションにこれまで以上のことを期待するようになっています。人材は現在、消費者向けテクノロジーと職場のシステムとの隔たりを許容しなくなっています。個人向けのスマート デバイスは直感的に操作できるのに、多くの人事ツールが使いづらいのはなぜでしょうか。
こうした期待に応えるという点で HR サービス デリバリーは後れを取っています。Leapgen 社の調査によると、パーソナライズされたデジタル エクスペリエンスを一貫して提供している大規模・中規模企業は 15% にとどまっています。さらに、社内ポータルを通じて優れたエクスペリエンスを提供できていると回答した企業は、わずか 25% でした。
HR サービス デリバリーが最も効果的に機能するとき、その体験はシームレスになります。日常業務であれ重要な場面であれ、HR サービス デリバリーは、従業員が職場での仕事生活を円滑に進めるための枠組みを提供します。パーソナライズされたサービス デリバリー モデルがなければ、従業員エクスペリエンスは損なわれます。
HRサービスデリバリーとは
HRSD (Human Resources Service Delivery) や HRIS (Human Resources Information System) といった略語は、しばしばわかりづらく感じられます。また、人事の専門用語が多いと、従業員が自分たちの使うツールを理解しづらくなることもあります。幸い、HR サービス デリバリーという用語は明確に定義されています。
従業員の 98% が、今後のキャリアにおいてある程度の時間はリモートで働きたいと考えています。
HR サービス デリバリーとは、企業が従業員にサービスを提供するために使用するソリューション、プロセス、モデルの総称です。提供するサービスには、従業員の福利厚生からキャリアに関するアドバイスに至るまで、あらゆるものが含まれます。この機能は、従業員、契約社員、フリーランサー、採用候補者のオンボーディングから退職までのライフサイクルをサポートします。
サービス デリバリーは、経営層から新入社員に至るまで、あらゆる従業員に影響を及ぼします。企業がどのようなテクノロジーを導入しているかにかかわらず、自社のアプローチを評価することが重要です。提供しているサービスを適切に評価する最良の方法は、最も一般的な 4 つのモデルを理解することです。
HR サービス デリバリー モデルの種類とは
従来、人事チームはオープンドア ポリシーに基づいてサービスを提供していました。従業員は依頼や相談がある場合、人事担当者に直接連絡していました。同様に、書類は手渡しや机上に置く形で従業員に配布されていました。現代の職場では、新しいソリューションがこうした重要なプロセスを支援します。
HR サービス デリバリーには、主に 4 つのモデルがあります。適切なモデルは、組織の規模と導入しているケース マネジメント システムによって異なります。従業員の日常的な仕事の様子を理解することは非常に重要です。現在の従業員エクスペリエンスを評価し、自社のニーズに合ったサービス モデルを選定しましょう。
従来型のサービス デリバリー: 幅広い業務を担当する人事担当者で構成されるチームが、組織の日常的な人事ニーズを担うモデルです。人事サービスは地域ごとに分かれており、各地域の従業員を現地の人事担当者がサポートします。比較的小規模な企業では、今でもこれが一般的になっています。
シェアード サービス デリバリー: 一般的な業務を担当する人事担当者と専門的な業務を担当する人事担当者で構成されるチームが、勤務地ごとに人事業務を分担します。戦略的な業務と事務的な業務の責任を分けることで、各チーム メンバーは専門性を高めていきます。このモデルでは、人事チームのメンバーが HR シェアード サービス センターと呼ばれる 1 つの組織単位で働きます。
セルフサービス デリバリー: 従業員とマネージャが必要なときに自由にリソースへアクセスできるモデルです。これは、社内イントラネット、専用チャットボット、または従業員の状況に応じて最適化されたデジタル体験を通じて実施されます。単純な人事関連の依頼であれば、従業員は人事チームからの返答を待つ必要がありません。
階層型サービス デリバリー: HR シェアード サービスとセルフサービスを組み合わせることで、複数レベルのサービス オプションを提供するモデルです。各階層を通過するごとに、サービスはよりパーソナライズされていきます。このプロセスでは、自動化できないリクエストだけが人事部門によって処理されます。このモデルは大企業で最も一般的です。
階層型サービス デリバリーの仕組みとは
特に検索エンジンにおける機械学習 (ML) の普及により、従業員は必要な情報をすぐに得られることを期待するようになりました。さらに従業員は、充実した HR サービス デリバリー戦略を基盤とするシームレスな従業員エクスペリエンスを期待しています。Sapient Insights Group 社のデータによると、人事システム戦略を持つ企業は、そうでない企業に比べて、主要なビジネス成果 (市場シェア、収益性、顧客満足度など) が 12% 高くなっています。この戦略の基盤となるのが、階層型サービス デリバリーです。
HR サービス デリバリーは、従業員が職場での仕事生活を円滑に進めるための枠組みです。
階層型サービス デリバリー モデルの各レベルは、リクエストの種類や複雑さに応じて適切な支援レベルに導くことで、従業員をサポートします。そのプロセスの質は、従業員満足度に大きく影響します。最も一般的な階層型モデルは、以下のような流れになっています。
ティア 0: セルフサービス:従業員にとっての最初の窓口であり、組織のナレッジベースやバーチャル エージェントを参照する場になります。サービス デリバリーが進化するにつれ、かつてはティア 1 であったものが、現在ではティア 0 と呼ばれるようになりました。人工知能 (AI) の支援により、 複雑なリクエストに対応し、状況に応じてインサイト豊富な回答が提供されるようになっています。
ティア 1: HR サービス センターへの問い合わせ:セルフサービスで解決できない場合に、従業員が HR サービス センターに連絡できるように用意された上位ステップです。通常は一般的な業務に対応する人事担当者が対応し、多くのケースは初回の問い合わせで解決されます。人事担当者がリクエストを解決できない場合は、問題を適切なレベルにエスカレートします。
ティア 2: 専門的な業務を担当する人事担当者へのエスカレーション:リクエストの対応に特定の専門知識やコンプライアンス チェックが必要になる場合、通常は専門知識を備えた人事担当者にエスカレートされます。多くの場合、こうしたリクエストには、専門知識、権限、ビジネス スキルを持つ人事担当者だけが対応できます。
ティア 3: 人事マネジメント層との面談の設定:リクエストが機密性の高い内容であったり、戦略に影響を与える可能性がある場合には、人事ビジネス パートナーの関与が必要になることがあります。たとえば、個人的な問題や緊急事態に関するリクエストがこれに該当します。ただし、この最終ティアまで到達するケースはごくわずかです。
ステップごとに従業員の状況に即して対応する階層型システムは、人事関連のリクエストを迅速かつ容易に処理することを可能にします。よけいな手間を減らせば減らすほど、従業員は重要な業務に集中して取り組めるようになります。従業員のニーズに合わせてサービスを適応させるアプローチの価値はここにあります。
HR サービス デリバリーのメリット
従業員を中心に据えた HR サービス デリバリーに注力することで、企業はよりユーザーフレンドリーなデジタル エクスペリエンスを提供できるようになります。HR サービス デリバリーのベストプラクティスに従うことで、利用率を高め、より柔軟に対応できるインフラを構築できます。しかし、パーソナライズされた HR サービス デリバリーがもたらす具体的なビジネス上のメリットとは何でしょうか。
パーソナライズされたデジタル エクスペリエンスを一貫して提供している大規模・中規模企業は 15% にとどまっています。
Leapgen 社の『2022 Digital Experience Delivery Practices Survey』は、自動化された HR サービス デリバリーとビジネス上のメリットとの間に相関関係があることを明らかにしています。このようなプラットフォームを導入しているかという問いに「はい」と回答した企業と、そうでない企業を比較したところ、以下のような結果が得られました。
従業員とマネージャがシステムに直接アクセスできる環境 (セルフサービスなど) を広く展開している可能性が 3 倍高い
システムの直接利用率が高いと報告する割合が 2 倍高い
包括的な人事ナレッジベースを保有している可能性が 8 倍高い
総合的なアプローチを取らない場合、多くの企業は人事ソリューションのコスト効率を低下させることになります。同時に、重複したシステムが原因で事務作業の負担が増え、従業員の燃え尽きリスクも高まります。従業員のニーズを理解することが、あらゆるデジタル HR サービス デリバリー プログラムの中核となります。
人事サービス提供の未来
サービスの最適化を目指す企業にとって最も重要なことはシンプルです。パーソナライゼーションです。各従業員のニーズに合わせて HR サービス デリバリー プロセスをカスタマイズすることで、企業はよりタイムリーかつ正確なサービスを提供できます。同時に、HR サービス デリバリーの成果をより正確に把握できるようになります。これは単に HR サービス デリバリーの未来像ではありません。すでに実現されている機能です。
このような機能が、従業員一人ひとりへのパーソナライゼーションを支える土台となります。企業はそのデータを活用することで各従業員に意味のある独自体験を創出し、変化する従業員ニーズに最適なサービスを提供できるようになります。従業員が何を、いつ、どのような理由で必要としているのか把握するためのアナリティクスがなければ、提供するサービスは常に的外れになってしまいます。
HR サービス デリバリーを最新化する最後のステップが AI と自動化です。自動化は人事サービスのリクエスト プロセスを加速化・簡素化します。また、リクエストの処理にかかる時間を短縮するため、従業員は重要な業務に専念し、人事チームは戦略的な取り組みに時間を振り向けることができます。一方 AI は、従業員のスキルや勤務地、好みに基づく最適なコンテンツを提示し、真にパーソナライズされたエクスペリエンスを提供します。人々は私生活で使うテクノロジーが自身のニーズに適応することを期待します。これは仕事の世界でも例外ではありません。