組織管理とは

リーダーシップと意思決定

リーダーシップは、意思決定の方法だけでなく、組織全体の文化とパフォーマンスも決定します。効果的なリーダーシップのためには、明確なビジョンを設定して信頼関係を構築し、共通の目標を達成できるようにチームを支援する必要があります。リーダーシップのスタイルにより、それぞれ異なる方法で組織のダイナミクスが形成されます。一般的なリーダーシップのスタイルとしては、以下のようなものがあります。

• 独裁的なリーダーシップ: 意思決定権が特定のリーダーに集中するため、危機的な状況においては効果的ですが、イノベーションが制限されるというリスクがあります。

• 民主的なリーダーシップ: コラボレーションとイノベーションが促進されますが、意思決定に時間がかかる場合もあります。

• 変革的なリーダーシップ: チームを鼓舞して変革を推進するというスタイルです。多くの場合、成長フェーズやイノベーション フェーズに適しています。

ひとつのスタイルだけで常に効果を上げることはできません。優れたリーダーは適応力が高く、組織の現在のニーズに基づいて、どのスタイルを適用すべきかを理解しています。決断力とインクルージョンのバランスをとることができるリーダーは、モチベーションを維持しながら各チームが連携するという環境を構築します。

プランニングと目標設定

プランニングと目標設定は、組織の目標を達成するためのロードマップになります。プランニングと目標設定には、長期的な目標の定義、アクショナブルな短期的目標への落とし込み、チーム間の連携などの作業が含まれます。

たとえば、18 か月以内に新製品をリリースするという戦略的な目標を設定するテクノロジー企業について考えてみます。この場合、6 か月以内にプロトタイプ デザインを完成させ、9 か月以内にパートナーとなるベンダーを確保するなど、段階的な運用目標を設定する必要があります。

目前のプランニングと長期的なプランニングのバランスをとることは、積極的なコラボレーションと強力なリーダーシップが要求される組織管理の重要な要素です。

ワークフローの最適化

生産性を維持しながら冗長な作業を減らすには、効率的なワークフローが必要です。ワークフローを最適化するには、既存のプロセスを分析して非効率的な部分を特定し、それらを効率化するためのソリューションを導入する必要があります。

プロセス マッピング (ワークフローを可視化してボトルネックを特定し、改善が必要な領域を把握すること) などの戦略は、ワークフローの最適化において非常に重要です。ワークフローに関係するすべての部門において、サイロ化を解消してオープンなコミュニケーションを確保するには、コラボレーションが不可欠です。

このプロセスを簡素化し、その大部分を自動化するソフトウェア ツールが、成功を収めるための鍵になります。統一されたプロジェクト管理ツールを使用すれば、進捗状況を追跡して最新情報を共有し、スムーズに納期を守ることができます。

リソースの割り当てと優先順位付け

適切なリソースの割り当てを行うことにより、組織の時間、資金、人財を効果的に活用して目標を達成できます。また、優先順位を設定することにより、最も効果が高い取り組みにリソースを集中させることができます。

リソースを効果的に管理するには、スマートな予算編成、戦略的な人員配置、一貫した時間管理を行う必要があります。これにより、社員に過度な負担をかけることなく、生産性を維持できるようになります。

たとえば、製品のリリース時に、マーケティング部門に追加資金を割り当てる一方で、他部門の支出を一時的に縮小するなど、状況に合わせて優先順位を設定する場合があります。戦略的な割り当てとは、状況に応じて、最も高い価値をもたらす領域にリソースを割り当てることです。

企業文化の統一と社員エンゲージメント

企業文化とは、社員の意識や行動を会社の使命と価値観に一致させるものです。企業全体の成功にとって、企業文化は重要な要素です。最近の Workday の調査では、意味のある仕事ができていると感じている社員は、業務量が多いと感じるような場合や、同じ人数でより大きな成果を上げようとしている場合であっても、生産性が 37% 高いという結果になっています。

意味のある仕事ができていると感じる社員は意欲や忠誠心も高く、その結果、ビジネスの目標に沿った企業文化の形成に貢献することになります。これにより、コラボレーションとイノベーションが促進されます。以下に、企業文化を統一するための主要な要素を示します。

• 明確なコミュニケーション: リーダーは、組織の価値観を明確にし、それを会社の方針と慣習に反映させます。

• レコグニション プログラム: 社員の功績を称えて、社員の意欲とモチベーションを高めます。

• 能力開発: トレーニングの機会を提供して、組織内での社員の成長を支援します。

各社員が自分は会社から評価されていると感じて意欲を持つことができれば、生産性が向上し、組織の成功に向けてコミットする可能性が高くなります。その結果、企業は優秀な人財を確保し、長期間にわたって高いパフォーマンスを発揮できるようになります。

経営幹部 (最高経営責任者、最高執行責任者、最高財務責任者など)

• 責任: 組織のミッション、ビジョン、長期的な戦略を定義する。リソースの割り当てと、概要的な優先順位の設定を行う。各種の指標とレポートを通じて、組織のパフォーマンスを確認する。

• 影響: 戦略的なフレームワークを構築し、組織全体の方向性を定義する。

中間管理職 (部門長やチーム マネージャなど)

• 責任: 全社的な目標を、チーム用のアクショナブルな戦略プランニングに落とし込む。各種のワークフロー、プロセス、イニシアチブの導入を管理する。チームのパフォーマンスを組織全体の目標に合わせる。

• 影響: 戦略と実施のギャップを解消し、オペレーション レベルで整合性を確保する。

人事リーダー

• 責任: 強固な企業文化の構築と維持を行う。組織の目標に一致した採用システム、トレーニング システム、パフォーマンス管理システムを開発する。成長期間や再編期間におけるチェンジ マネジメントのサポートを行う。

• 影響: 組織の人財戦略と目標の整合性を確保し、高いスキルと意欲を持つワークフォースを構築する。

チーム リーダーとスーパーバイザー

• 責任: 日常業務を管理し、チームが納期と目標を達成できるようにする。チーム メンバーへのアドバイス、問題の解決、チームの士気向上に取り組む。問題や改善の機会を上層部に伝える。

• 影響: 個々のチーム メンバーの効率性と生産性を維持する直接的な責任を負う。

専門的な役割 (プロジェクト マネージャやオペレーション マネージャなど)

• 責任: 新しいシステムの導入や部門横断的なプロジェクトの管理など、特定の業務を主導する。重要分野のリソース、スケジュール、予算を最適化する。

• 影響: 対象を絞り込んだ専門知識を提供することにより、組織管理の特定の側面における効率化とイノベーションを推進する。

すべての社員

• 責任: リーダーシップによって確立されたフレームワーク内で、与えられたタスクを行い責任を果たす。プロセスやワークフローを改善するためのフィードバックとインサイトを提供する。

• 影響: すべての組織の基盤である社員は、戦略を具体的な成果に変え、継続的な改善に取り組む。

組織管理の起点はリーダーシップですが、組織管理を成功させるには、社内のすべてのレベルで適切なコラボレーションと明確なコミュニケーションを行う必要があります。エグゼクティブから現場の社員まで、組織の全員の取り組みを一致させることにより、持続可能な成長とレジリエンスの確保が可能になります。

1.明確な目標と指標を設定する

最初に、組織にとって成功とはどのようなものかを定義します。次に、大まかな目標を測定可能で具体的な目標に落とし込み、チームの明確な方向性を決定します。SMART などのフレームワークを使用して、目標を明確で測定可能なものにします。目標に関する指標を定期的にレビューして進捗状況を可視化し、現在の方向性を維持するために調整が必要な領域を特定します。

2.スケーラブルな構造を構築する

ビジネスを成長させることは重要ですが、成長過程において組織構造の弱点が見えてくることがよくあります。将来に備えるには、ビジネスの進化に合わせて規模を拡大できるフレームワークを設計する必要があります。そのためには、明確な役割と責任を定義し、効率的なワークフローの構築を行い、責任を果たすための指揮系統を確立する必要があります。

エレクトロニクスと半導体製造のグローバル大手サプライヤーである ASMPT 社は、Workday プラットフォームを使用して人事データを統合することにより、これを実現しました。ASMPT 社の人事・アナリティクス担当グローバル責任者を務める Vinod Sharma 氏は、「私たちはひとつのチームです。そのため、データセットと作業方法をひとつにまとめる必要がありました」と言います。

Workday ソリューションにより、ASMPT 社は世界 30 か国で単一の統合人事プラットフォームを使用できるようになりました。オンボーディング、承認レビューの確認、組織変更、組織再編などにおけるサイクル タイムが短縮され、組織のパフォーマンスが向上しました。

4.テクノロジーとツールを活用する

現在のビジネス環境では、テクノロジーが組織管理の重要な原動力になっています。適切なツールを使用すれば、反復的な作業を自動化してコラボレーションを改善し、データ主導型の高度なインサイトで意思決定能力を強化することができます。

必要なツールを特定し、組織のニーズと目標に最も適したプロバイダを選択する必要があります。連携する技術スタックを構築し、ビジネスをレベルアップさせる統合的な機能を導入する必要があります。適切な技術スタックにより、変革を促進できます。

チームの編成、コラボレーション、カスタム ワークフローの構築を支援するクラウドベース プラットフォームの Airtable は、組織管理用の統合プラットフォームとして Workday を導入し、ポイントソリューションを廃止しました。その結果、エンプロイー エクスペリエンスの向上、システム メンテナンス費用の削減、手作業の削減、新しい自動化機能によるワークフローの効率化が実現しました。