人事管理システムの概要
ワークフォース全体の給与計算、福利厚生、パフォーマンスを管理するのは、簡単なことではありません。人事管理 (HRM) システムは、これらの業務を簡素化するためのシステムです。HRM システムでは、これらの業務を処理する中核的な機能が単一のプラットフォームに統合されています。多くの企業が、Workday をはじめとする最新のクラウド ソリューションを使用して、人財とプロセスを効果的に管理しています。
HRM システムは、社員のレコードやデータの管理に重点を置く人事情報システム (HRIS) と、人財戦略、人財プランニング、組織設計を通じて HRM システムを拡張する人財管理 (HCM) プラットフォームの中間に位置するシステムです。自動化された人事システムを使用すると、ワークフォース全体にわたり、人事業務の効率化、コンプライアンス要件への準拠、高度なワークフォース分析、人事プロセスの標準化を行うことができます。
人事管理 (HRM) システムとは
HRM システムでは、中核的な人事業務が 1 か所に集約されるため、給与計算、採用、勤怠管理、福利厚生、コンプライアンスなどの重要なプロセスを接続して追跡することができます。この単一のツールにより、オンボーディング、福利厚生の管理、退職時の社員レコードの統合など、さまざまな業務を管理することができます。
オンプレミス環境で動作する従来のシステムは、そのシステムを提供する企業のサービスに依存しているため、保守が困難な場合が多くありました。それに対して最新の HRM システムの場合、自動アップデート機能、迅速なアクセス性、高いスケーラビリティを特長とするクラウド経由で HRM プロセス全体を管理することができます。
重要なポイント
- 人事管理システム (HRMS) と呼ばれることもある HRM ソフトウェアは、人事に関する中核的な業務、データ、レポートを処理するためのシステムです。
- HRM は、主に社員レコードの整理と保管を行う HRIS や、より大局的な戦略 (ワークフォース プランニングや人財開発に関する戦略など) を処理する HCM とは異なります。
- HRM システムにより、給与計算、勤怠管理、オンボーディング、社員レコード管理、承認プロセスなどの日常業務を自動化することができます。
- 一般的な HRM システムの機能としては、勤怠管理機能、給与計算機能、福利厚生管理機能、コンプライアンス ツール、信頼性の高いレポート機能などがあります。
- Workday などの人事テクノロジー プラットフォームを導入すると、各種プロセスの精度を高めてコンプライアンスを強化し、新入社員の採用や新しい規制の導入に合わせてビジネスを成長させることができます。
IDC 社の調査では、Workday を使用している企業は、人事データと財務データのレポート処理速度が 51% 高くなり、データ品質が 44% 向上し、それに伴って意思決定プロセスが迅速化され、リーダーの可視性が向上したという結果になっています。
HRM システム、HRIS システム、HCM システムの比較
人事システムには類似した用語が多いため、最適なソリューションを探す際に混乱することがあります。大きな括りで見た場合、HRIS、HRM、HCM は人事ソフトウェアとして分類されますが、人事業務におけるそれぞれの役割は異なっています。
社員データが中心となる HRIS は最も対象を絞ったシステムで、HCM は最も包括的で戦略的なシステムです。HRM はその中間に位置しているため、成長企業にとって適切なバランスが確保されているシステムです。
HRM と HRIS の比較
HRM と HRIS の主な違いは、その適用範囲です。HRIS システムは、社員レコードの保存、整理、処理を行うシステムで、通常は、中小企業に最も適しています。HRM システムは、社員のライフサイクル全般にわたって人財とプロセスを管理するためのツールを HRIS システムに追加したシステムです。従来の基本的な社員データ管理よりも大規模な処理を行う企業に最適なシステムです。
主要な目的
HRM
広範なワークフォース管理
HRIS
社員データの保管と管理
機能
HRM
給与計算、福利厚生、スケジュール作成、パフォーマンス管理に関する機能
HRIS
社員レコード、職務履歴、コンプライアンス文書に関する機能
オートメーション
HRM
給与計算、休暇管理、承認プロセスを自動化
HRIS
データ入力とレコード更新を自動化
アナリティクス
HRM
オペレーションとコンプライアンスに関するレポートを作成
HRIS
ヘッドカウントや人員構成など、基本的な指標に限定
重視するユーザー
HRM
日常的なワークフォース業務を行う人事担当者とマネージャ
HRIS
社員レコードを管理する人事担当者
拡張性
HRM
会社の規模や複雑さに合わせて拡張
HRIS
どのような規模でも信頼性の高いデータを処理できるが、大規模な組織では機能が不十分な場合がある
hrmとhcmの違い
HRM と HCM の重要な違いは、その戦略性です。HRM システムは、中核的な人事業務とワークフォース管理を処理します。HCM システムは HRM システムよりも複雑で、人財の獲得、後継者育成プランニング、ワークフォースの能力開発などを行うための各種ツールにより、人事業務をビジネスの戦略に結びつけるシステムです。たとえば Workday は、HCM ソリューションです。
主要な目的
HRM
管理的な人事業務
HCM
戦略的なワークフォース管理とプランニング
機能
HRM
給与計算、勤怠管理、福利厚生、コンプライアンスに関する機能
HCM
HRM システムのすべての機能のほかに、タレント マネジメント、ラーニング、後継者育成プランニングに関する機能が付加されている
重点分野
HRM
日常的な運用業務
HCM
長期的な人財戦略
アナリティクス
HRM
コンプライアンスとプロセスの追跡
HCM
ワークフォースの傾向を予測するためのインサイト
価値
HRM
業務の効率化と手作業の削減
HCM
人財戦略とビジネス目標の統一
拡張性
HRM
中小企業に最適
HCM
ビジネスの成長と複雑さを考慮した大企業向けの設計
HRM システムの中核的な機能
堅牢な HRM システムには、給与計算、スケジュール管理、パフォーマンスに関する各種ツールが付属しているため、面倒な作業をなくし、組織としてコンプライアンスに準拠しながら、クリーンで使いやすいレポートを生成して人事業務を円滑に進めることができます。
社員データ管理
HRM システムは、社員データベース システムとして機能します。個人情報、職務経歴書、契約書、就労資格確認書など、すべてのデータが 1 か所で管理されます。迅速な更新、すばやい検索、効率化されたレコードなどのメリットがあります。HRM システムには、HCM システムのような包括的なタレント マネジメント機能はありませんが、社員のトレーニング、進捗状況、パフォーマンスを追跡し、能力開発を支援することができます。
給与計算と福利厚生管理
最新の HRM システムは、給与管理システムや福利厚生管理システムなど、スタンドアロンの給与管理システムの機能をベースとして開発されています。システムの統合により、手作業や複数のプラットフォームの切り替えを行うことなく、クリーンなデータが会計機能にプッシュされます。組み込み型の人事自動ソフトウェアを使用すると、すべてのサイクルにわたり、給与計算と福利厚生に関するデータを同期してエラーを減らし、承認プロセスをすばやく行い、給与計算の精度を高めることができます。
勤怠管理
HRM システムでは、勤務時間、シフト、休暇申請に関する情報がリアルタイムで記録されるため、スケジュールの競合を防ぎながら適切な人員配置を行うことができます。多くのプラットフォームで、社員は自分のモバイル機器やラップトップを使用して勤怠情報を入力することができます。これらの情報に基づいて、勤務のパターンや残業時間が自動的に追跡されます。アラート機能とレポート機能により、常に最新情報を把握しながら、労務費の管理とコンプライアンスの準拠を行うことができます。
社員向けセルフサービス ポータル
最新の HRM システムにはセルフサービス型のアクセス機能が用意されているため、社員は自分のデータや申請の多くを自分自身で管理することができます。HRM プラットフォームの一般的な機能としては、個人レコードの更新機能、福利厚生の確認機能、給与明細の表示機能などがあります。これらの機能により、人事業務に関する社員からの問い合わせが減るため、人事担当者は価値の高い業務に注力できるようになり、社員は必要な情報にすばやくアクセスできるようになります。
コンプライアンス ツールとレポート ツール
分断された人事分析プラットフォームを統合された HRM システムに置き換えることにより、給与計算、残業時間、福利厚生、ワークフォース構成に関するレポートを、法務や監査の目的で必要なときにすぐに作成できるようになります。また、大企業向けの HRM プラットフォームでは、暗号化機能や役割ベースのアクセス機能によって機密情報を保護し、組織のコンプライアンスと社員データのセキュリティを確保することができます。
HRM システムに投資する理由
HRM システムを導入すると、導入後数か月で価値を生み出すことができます。中規模の企業の場合、範囲が事前に定義されたプログラムを活用することにより、通常は 4 ~ 6 か月程度でシステムを本番稼働することができます。大企業の場合、通常はそれよりも長い期間をかけて段階的にシステムを導入しますが、各段階の終了後は ROI を短期間に達成することができます。
HRM システムを戦略的に導入することにより、コンプライアンスの強化や、ビジネスとともに成長する強固なインフラなど、組織全体として大きなメリットが実現します。
高い効率性と自動化
自動化機能とモバイル対応のセルフサービス機能によって人事チームの手作業が削減されるため、組織全体としての業務効率と生産性が向上します。
Workday ヒューマン キャピタル マネジメントを導入した Asda 社は、700 を超える拠点に勤務する 14 万人の人事業務を一元化したことにより、同社のリーダーはクリーンなデータをリアルタイムに確認できるようになりました。また、休暇やトレーニングに関する情報が社員の携帯電話に正しく表示されるようになりました。その結果、人事部門は価値の高い業務に注力できるようになりました。「システムの本稼働後は、採用プロセスが完全にエンドツーエンドのプロセスになりました」と、同社の人事変革担当シニア ディレクターを務める Loretta Smith 氏は言います。「候補者がシームレスにシステム内を移動できるようになったため、手作業が減り、全体的な業務効率が向上しました」
データ精度の向上とコンプライアンスの強化
正確なデータを使用すれば、給与計算におけるミスが減り、コンプライアンスに関するリスクが低減します。HRM システムでは、給与データ、福利厚生データ、社員データに対して情報が直接入力されるため、手作業による修正とそれに伴うリスクを減らすことができます。
給与計算業務を Workday に移行した Land O'Lakes 社は、99.9% を超えるデータ精度を実現し、コンプライアンスを強化しながら、例外的な修正作業や紙ベースの給与計算業務を削減しました。
エンプロイー エクスペリエンスとエンゲージメントの向上
HRM システムはパフォーマンス管理ソフトウェアと連携して、適切なタスク、アプリ、アップデートを各社員に提示します。これにより、オンボーディングと能力開発に関するプロセスが社員ごとにパーソナライズされるため、マネージャとチーム メンバーの意欲が高まり、トレーニング成果の一貫性が向上します。
Sun Life 社は、Workday の導入を通じてナレッジ管理プロセスを改善し、社員一人ひとりに合わせた専門能力開発を実現しました。これにより、組織全体の社員エンゲージメントと生産性が向上しました。
チームの成長に合わせて拡張可能なインフラ
分離されたシステムでは、ヘッドカウントの増加に伴ってストレスを感じるようになることがよくありますが、統合プラットフォームは、組織の成長に対応できるように設計されています。こうした統合型のシステムでは単一のデータ モデルが使用されるため、余分なやり直し作業を行うことなく、人員や勤務地を追加することができます。
Opteon 社は Workday を使用して、買収した 31 社を単一のビジネス モデルに統合し、すべてのデータ、テクノロジー、プロセスを接続して、全社的な戦略を統一しました。同社の戦略・財務担当最高責任者を務める James Harkness 氏は、「テクノロジーとデータの接続性と統合性が高くなるほど、ビジネスが成功する可能性も高くなります」と言います。
ご存知でしたか?
SHRM の調査によると、43% の企業が、2025 年に HRM システムなどの AI ベース ツールを活用し、応募者の審査、ラーニング プログラムや能力開発プログラムの進捗状況の把握、社員のスキルアップなどを通じて人事業務を支援しているという結果になっています。
よく寄せられる質問
HRM システムではどのような機能を重視すべきですか?
通常の HRM システムには、給与計算機能、福利厚生管理機能、勤怠管理機能など、ほとんどの企業にとって不可欠な機能が付属しています。これらの機能のほかにも、コンプライアンス機能やレポート機能、社員データを安全に管理するためのツールも必要になります。絶対に必要というわけではありませんが、モバイル機器からアクセスできる社員向けセルフサービス ツールがあれば、人事部門の管理業務を減らして社員の満足度を高めることができます。
人事管理システムの導入費用はどれくらいですか?
通常、人事管理システムの導入費用は、企業の規模や必要な機能によって異なります。中小企業の場合、社員 1 人当たりの月額料金を支払うケースが多く、さまざまな機能が必要になる企業の場合、年間の支払額が大幅に高くなることがあります。サブスクリプション料金だけでなく、システムの設定、トレーニング、データ移行にかかる時間や費用についても、予算として計上する必要があります。
在宅勤務するチームにとって最適なのはどのような人事ソフトウェアですか?
在宅勤務するチームの場合、場所に関係なく業務を処理できるシステムが必要になります。そのため、在宅勤務を重視する企業の多くが、クラウドベースのソフトウェアを優先しています。こうしたシステムの場合、社員は自分のラップトップやモバイル機器を使用してどこからでも自分のアカウントにアクセスし、休暇申請、詳細情報の更新、給与明細の確認などを行うことができます。
人事プロセスを自動化するとどのようなメリットがありますか?
人事プロセスを自動化すると、人事チームにとってほぼすべての業務が容易になります。自動化ツールによって給与計算や休暇承認などの定型業務が効率化されるため、人事担当者による手作業が削減されます。また、社員が正確な給与情報を確認して迅速に対応できるようになるというメリットもあります。企業は、自動化ツールによって節約した時間を、ビジネスの成長をサポートするための戦略立案に充てることができます。
HRM、HRIS、HCM の違いは何ですか?
HRM、HRIS、HCM の違いは、それぞれの適用範囲です。主に社員データの保存と整理をサポートする HRIS は、最も適用範囲が狭いシステムです。HRM には、HRIS のすべての機能のほかに、給与計算、スケジュール管理、基本的なタレント マネジメントなどのプロセスに関する機能が付加されています。ラーニング機能、能力開発機能、ワークフォース プランニング機能など、戦略を重視した機能が組み込まれている HCM は、HRIS と HRM を拡張したシステムです。
人事システムに不可欠なコンプライアンス機能にはどのようなものがありますか?
優れた人事システムには、各種の規制や監査要件に準拠した、安全性の高いストレージ、セキュアな監査ログ、信頼性の高いレポート機能が付属しています。また、期限切れの証明書や過剰な時間外勤務などの問題が自動的に検出されてフラグが設定されるため、重大な事態に進展する前に対処することができます。複数の拠点でビジネスを展開している場合は、労務や租税に関する法律の変更に対応できる人事システムを導入することをお勧めします。
常に先を見据えた人事部門を実現しましょう