クラウド型人事システムを理解する
クラウド型人事システムは、物理的ハードウェアが不要なオンライン ツールを提供し、企業がワークフォースを効率的に管理できるよう支援します。企業がリモートワークの導入を進める中、人事チームはどこからでもアクセス可能なツールを必要としています。このようなツールはすばやく拡張可能で、データドリブンな意思決定を支援できる必要もあります。このガイドでは、クラウド型 HRテックが人財管理をどのように改善するか、従来型システムより優れているのはなぜか、導入するにはどうすればよいかをご紹介します。Workday で投資価値を最大限に引き出す方法についてもご紹介します。
クラウド型人事: ワークフォースを成功に導く最新基盤
企業はレガシー HRテックに見切りをつけ始めています。このような従来型システムはユーザー ライセンス数が限られており、IT チームに継続的な保守負担をもたらし、重要なデータをサイロ化することが少なくありません。
クラウド型人事管理システムは効果的な代替手段を提供します。このようなインターネット ベースのプラットフォームは、ハードウェアに伴う課題を解消するほか、どこからでもアクセス可能で、自動アップデートに対応し、シームレスな拡張性を提供します。最新のクラウド型人事ソリューションは、これまで分断されていたプロセスをひとつの連携されたシステムに統合するだけでなく、ビジネスの成長に合わせて拡張できます。
重要なポイント:
- クラウド型人事システムは、Web 経由でワークフォース管理ツールを提供し、ハードウェアや保守負担を解消します。
- このようなソリューションは、リアルタイム アクセス、セキュリティの強化、自動アップデート、費用対効果の高い拡張を実現します。従来型システムと異なり、設備投資は必要ありません。
- 導入には、慎重なプランニングやデータ移行戦略に加え、ユーザー導入率を促進するためのチェンジ マネジメントが必要になります。
- Workday のようなプラットフォームは、採用から退職に至るまでの人事機能をひとつの統合システムを通じてエンドツーエンドに提供します。
「Workday は [当社の] あらゆるデータを統合プラットフォームに集約するため、当社は情報に基づいて適切な意思決定を行い、目的を達成することができます」
—Aurecon 社、最高情報責任者、Carl Duckinson 氏
クラウド型人事システムとは
クラウド型人事システムは、ワークフォースの管理に欠かせない各種ツールを、安全なインターネット サービスを通じて提供します。社内サーバー上で稼働する従来型システムと異なり、クラウド型人事システム プラットフォームはプロバイダのインフラ上で稼働するため、企業はどこからでも柔軟にサービスを利用できます。
SaaS 人事システムとも呼ばれるこのようなソリューションは、採用から退職に至るまでのプロセスをひとつのプラットフォームで処理します。クラウド型 HRテックは、以下のような主要機能を統合します。
給与計算処理と税務コンプライアンス
社員福利厚生管理
タイム トラッキング
パフォーマンス管理
人財の獲得とオンボーディング
変化に対応する
クラウドベース テクノロジーは、これらの機能を共有可能なデータやワークフローを通じて連携させます。たとえば新入社員が入社する場合、新入社員の情報をシステムに一度入力すれば、その情報があらゆるモジュールで自動的に利用可能になるため、データ入力を何度も行う必要がなくなり、エラーが軽減します。
クラウド型 HRテックの進化
ほんの数十年前まで、人事プロフェッショナルは、給与計算、社員福利厚生、採用ワークフローの状況を紙の文書と手動プロセスのみを使用して管理していました。コンピュータの導入が始まると、組織は時代遅れのプロセスをデジタル化されたワークフローへと移行できるようになりました。しかしオンプレミスのコンピュータ ネットワークやソフトウェア パッケージを運用するには、大規模な IT サポートが必要になるほか、数年ごとに高額なアップグレードを実施する必要があります。
2000 年代初頭には、初の Web 型人事ツールが登場しましたが、このようなツールには通常、インテグレーション機能やモバイル アクセス機能が搭載されていませんでした。人事管理システムのクラウド コンピューティング化は 2010 年頃に本格的に開始されました。ワークフォースの分散化の拡大、コンシューマー グレードの操作性に対する期待の高まりなど、複数の要因が需要を押し上げたからです。
2020 年にはリモートワークの拡大により、人事システムにクラウド テクノロジーは欠かせないものとなりました。企業は VPN アクセスと物理コンピュータを必要とする時代遅れのオンプレミス システムでは、グローバルなタレント プールを効果的に管理することも、シームレスなエンプロイー エクスペリエンスを提供することも不可能だと認識しました。
クラウド型 HRテックと従来型 HRテックの違い
クラウド型 HRテックとオンプレミス型 HRテックのどちらを選ぶかにより、タレント マネジメントに対する根本的なアプローチが決まります。従来型システムは、企業が所有するサーバーにデータとアプリケーションを保存し、企業のファイアウォールで保護されます。一方クラウド型人事システム プラットフォームは、暗号化された安全なインターネット接続を通じてどこからでもアクセス可能なサービスを提供します。
クラウドへの移行は、戦略を移行することも意味します。オンプレミス型システムは、多額の初期投資と継続的なメンテナンスを必要とし、急速な変化に適応する必要のない安定した環境下で最大の効果を発揮します。クラウド型人事ツールは、優れた柔軟性を備えており、市場やワークフォースの変化にすばやく適応する必要のある企業を支援します。
以下のような違いがあります
クラウド型 HRテック
- 従量制課金のサブスクリプション モデル
- 自動アップデートにより混乱を最小化
- インターネット接続があればどこからでもアクセス可能
- ワークフォースの増加に合わせてすばやく拡張可能
- セキュリティやメンテナンスはプロバイダが管理
- 今日のワークフォースに対応するモバイルファーストの設計
従来型 HRテック
- 多額の初期投資が必要
- アップデートを手動で行うため IT の関与が必要
- 社内ネットワークや VPN を通じてのみアクセス可能
- 容量に制限があり、ハードウェアのアップグレードが必要
- セキュリティ パッチは社内責任
- デスクトップでの利用が中心で、モバイルの選択肢は限定的
ご存知でしたか?
クラウド テクノロジーを全面的に採用している企業の割合は、トップパフォーマンス企業に絞って見ると 72% に及ぶのに対し、その他の企業では 33% にとどまっています (PwC 社、2024 年)。
クラウド型人事システムがもたらす利点
PwC 社の『2024 Cloud and AI Business Survey』によると、トップパフォーマンス企業の 74% は、クラウド サービスへの移行を通じて収益性を改善しています。さらに 72% が生産性を増大し、69% がクラウド サービスへの投資後に市場投入時間を短縮し、カスタマー エクスペリエンスを向上させています。
クラウドベースのHRシステムの利点をいくつか見てみましょう。
迅速なオンボーディングとシームレスなワークフォース エクスペリエンス
社員はコンシューマー グレードのテクノロジー エクスペリエンスを期待しています。クラウド型人事システムでは、休暇申請の提出、給与情報へのアクセス、オンボーディング タスクの完了を、直感的なモバイル インターフェイスを通じて行うことができます。新入社員は入社日前にペーパーワークを完了し、マネージャは進捗を追跡できます。
たとえば Workday と併せて面接スケジューリング ツール Rooster を使用しているお客様は、日程調整に必要な手作業を 30% 削減し、ポジションの補充にかかる総所要時間を 50% 短縮できます。
途切れることのないイノベーション
従来型 HRテックは、主要なアップグレードが行われるまで何年も変更されない場合がありますが、クラウド型プラットフォームでは、新機能が定期的に提供されます。長期間の導入プロジェクトを立ち上げる必要はありません。チームは最新テクノロジー (離職リスクや最適な採用パイプラインを特定する AI 分析や機械学習など) が提供されると、すぐにアクセスして利用できます。
Workday のサブスクリプションにはすべてのソフトウェア リリース/アップデートが含まれており、お客様に即時提供されます。Workday ではサービス アップデートが毎週提供されるほか、主要機能のアップデートが年 2 回実施されます。
コスト効率
クラウド型人事システムは、初期費用なしでエンタープライズ グレードの機能を提供します。サブスクリプション モデルにより、多額の経費を予測可能な運用コストに変換できます。また、企業は自動アップデートを通じて、最新機能やコンプライアンス要件に即したアップデートを入手することができます。
PwC 社によると、トップパフォーマンス企業の 65% はクラウド型プラットフォームへの投資を通じてコストを削減しています。
グローバル コンプライアンスの自動化
クラウド型人事管理システムは、アップデートを定期的に適用することにより、税ルール、プライバシー規制、報告要件の変化に自動的に対応し、人事チームがこれらの変化を調査してワークフローを手動で更新する負担を軽減します。これにより、コンプライアンス リスクが大幅に低減されるほか、国別に異なるシステムを構築することなく、新たな市場にすばやく進出することができます。
グローバル企業である Cognizant 社は、Workday のクラウド型人事システムを使用して給与計算処理とワークフォース コンプライアンスを効率化しています。同社は Workday で給与計算の処理時間を 9 日から 2 日に短縮するとともに、各国の事業拠点のコンプライアンスを維持しています。「Single Touch Payroll を含め、オーストラリア向けの専用ソフトウェアに対応する Workday は、給与計算を行うたびに正確性を確保してくれます」と、Workday コンサルティング ディレクターを務める Mitch Collins 氏は述べています。
的確な意思決定を促進するリアルタイム インサイト
クラウド型人事管理システムは、カスタマイズ可能なダッシュボードとセルフサービス型分析機能を提供することにより、ワークフォース指標をリアルタイムに可視化します。多くのレガシー HRテックは、必要なデータをタイムリーに提供できません。リーダーは、離職トレンド、報酬管理ベンチマーク、スキル ギャップを瞬時に確認し、データドリブンな意思決定を行い、組織のパフォーマンスを高めることができます。
Workday は DATEV 社が Workday Prism Analytics を通じて新しいクラウド型 Workday システムに履歴データを接続し、最新データに基づいてレポーティングを行えるよう支援しました。「Workday で作成したレポートのデータを Workday Prism Analytics に取り込み、外部システムのデータと組み合わせます。その後、データを照合・統合すれば、レポートを完成させることができます」と、DATEV 社で Workday テクニカル アーキテクトを務める Michael Goller 氏は述べています。
クラウド型人事システムの導入を阻害する一般的な障壁
クラウド型人事システムや給与計算ソフトウェアの導入がスムーズに進むことはめったにありません。一般的な障壁について理解することにより、チームは緩和戦略の策定や現実的な期待値の設定に役立つインサイトを得ることができます。
データ移行の複雑さ
技術的な障壁が原因で、長年蓄積された社員レコード、履歴データ、カスタム設定など、各種データを旧式システムから移行することが困難になる場合があります。移行のプランニング中、データの質に関する問題が明らかになる場合もあります。移行を成功させるためには、データの評価とクレンジングを徹底的に行い、すべてのデータを一度に移行するのではなく、データを段階的に移行する必要があります。
チェンジ マネジメントに対する抵抗
クラウド型人事プラットフォームがどんなに使いやすくても、社員とマネージャは新しいインターフェイスやワークフローを習得する必要があります。適切なコミュニケーションとトレーニングが行われない場合、人財は変化を拒む可能性があります。先進的な組織は、設計プロセスの早い段階からエンドユーザーを関与させ、移行中に同僚をサポートできる部門リーダーを特定することにより、このような課題に対処しています。
既存のシステムとの統合
ほとんどの組織では、クラウド型人事システムを、給与計算プロバイダ、ラーニング プラットフォーム、福利厚生システム、財務アプリケーションと連携させる必要があります。複雑さや潜在的な障害点は、統合を重ねるごとに増していきます。既存のシステムを正確に把握し、これらを統合するロードマップを作成する組織は、短期的なニーズと長期的なアーキテクチャ目標とのバランスを適切に取ることができます。
セキュリティとコンプライアンスに対する懸念
機密性の高い社員データをクラウド環境に保存すると、サイバーセキュリティ リスクの高まりを懸念する声が上がるかもしれません。規制の厳しい業界では特にそうです。しかしクラウド プロバイダは、社内の IT チームよりも強固なセキュリティ対策を確保していることが少なくありません。組織の懸念に対処するには、ベンダーのセキュリティ プロセスやデータ保存場所に関する合意内容を評価したうえでソフトウェア スイートを選定するようにします。
クラウド型 HRテックを導入する方法
慎重なプランニングと明確なオーナーシップは、クラウド型人事システムをスムーズに導入する一助となります。以下では、レガシー システムからクラウド型人事システムに移行するためのロードマップをステップごとにご紹介します。
1.戦略とビジョンを定義する
どのような状態を組織の成功と捉えるか具体的に定義します。このビジョンはあらゆる導入段階の指針となります。
- 現在のシステムが生み出している具体的なペイン ポイントを特定し、必須機能を優先順位付けします。
- 測定可能な望ましい成果をもたらす目標 (採用までの時間を 30% 短縮する、人事の事務管理時間を半減するなど) を設定します。
2.適切なパートナーとプラットフォームを選択する
戦略の要件に基づいてベンダーを評価します。機能は重要ですが、プラットフォームが組織にどう適合するかを詳細に見極めることも重要です。
- 実際のシナリオを使用したデモンストレーションをリクエストします。
- 自社と同業・同規模の顧客による評価内容を確認します。
- 導入支援や継続的なサービス モデルについて考慮するともに、プラットフォームが組織の成長に合わせて今後 3 ~ 5 年間にどう進化するかを検討します。
3.データ移行に対するアプローチをプランニングする
徹底的なデータ監査を実施し、どのデータを移行、修正、アーカイブ、保持するかを特定します。
- データ変換ルールを確立し、フィールド形式を標準化し、不完全なレコードの処理方法を決定します。
- 移行後にデータの整合性を確認するための検証戦略を策定します。
- ビジネスへの影響を最小限に抑えるため、重要な移行期間中は新旧システムの並行稼働をプランニングします。
4.チェンジ マネジメントと導入を推進する
人材の日常業務に重点を置いた役割別トレーニングを構築し、社員が自信を持って新しいシステムを活用できるよう支援します。
- 部門横断的なスーパー ユーザー ネットワークを構築し、同僚同士がサポートし合えるようにします。
- 複数のコミュニケーション チャンネルを活用し、導入前に認知を高めます。
- 主要なマイルストーンごとに目標達成を称える機会をプランニングし、勢いを維持してクイック ウィンを周知します。
5.成功を測定し、継続的に最適化する
組織に最も価値あるインサイトをもたらす指標を決定し、新しいクラウド型 HRテックの効果を評価します。
- システムの導入率、ヘルプ デスク チケット、主要プロセスの改善点をモニタリングします。
- 定期的なレビューをスケジューリングし、最適化・強化できる領域を特定します。
- 学んだ教訓を文書化し、組織の今後の技術的な取り組みに適用します。
「当社の現時点の規模を考えると、[Workday] プラットフォームは現在オーバースペック気味かもしれません。しかしこの拡張性の高いソリューションは、当社とともに成長し、将来的な規模の拡大を支えてくれます」
—Duvel Moortgat 社、最高人事責任者、Duvel Moortgat 氏
Workday が人事のクラウド化を支援する方法
Workday は真のクラウド型人事ソリューションをエンドツーエンドに提供します。動的に変化する今日のワークフォース課題に対応するよう特別に設計されています。複雑なインテグレーションを必要とする寄せ集めのシステムと異なり、統合された Workday プラットフォームは、すべての社員データをひとつのシステムに集約し、インテリジェントに連携させます。
Workday の主な機能:
- 対話型アシスタントによるパーソナライズされたエンプロイー エクスペリエンスの提供
- 設定可能なワークフローで適応性を高め、カスタマイズ コストを排除
- 半年ごとの自動アップデートを通じて継続的にイノベーションを提供
- AI を活用した人財分析と後継者育成プランニング
- 240 か国に対応するグローバル コンプライアンス フレームワーク
- IT に依存しないセルフサービスによるレポーティング
- どこからでもワークフォースを管理可能なモバイルファーストの設計
- 財務会計システムとのシームレスな統合を通じて組織全体を可視化
Workday は断片化されたデータを排除して定型業務を自動化することにより、人事チームが戦略的な取り組みに専念する時間を増やし、組織がビジネスニーズの変化に対応するために必要なアジリティを提供します。
組織の取り組みに役立つ人事リソースをご確認ください
静的な HRテックでは、増大するワークフォースの複雑さや人財の期待に対応し続けることはできません。今後の成長に必要な人財を獲得、育成、維持することを目指す組織は、今こそクラウドに移行すべきときかもしれません。Workday は継続的なイノベーションを促進する強固な基盤と、ビジネスの進化に合わせて適応する柔軟性を提供することにより、組織があらゆる変化に継続的に対応できる環境を実現します。
常に先を見据えた人事部門を実現しましょう