多通貨会計業務

多通貨会計業務で知っておくべきこと

ビジネスをグローバルに展開する場合、常にさまざまな通貨を管理する必要があります。これは複雑な作業ですが、複数の通貨を扱う会計業務に対応したソリューションを導入すれば、管理作業が容易になります。ビジネスの精度とアジリティを犠牲にする必要はありません。


多通貨会計業務について

現在のビジネス環境は急激に変化して不確実性が高まっていますが、こうした環境でグローバル企業が成功するためには、高度なテクノロジーを最大限に活用して会計業務を処理する必要があります。ここでは、複数の通貨を扱う会計業務 (これ以降は「多通貨会計業務」と表記します) に対応したソリューションで、現在のビジネス環境に対処する方法を紹介します。


多通貨会計業務の定義

多通貨会計業務とは

すべての企業にとって、正確な財務情報はビジネスの生命線です。しかし、複数の国でビジネスを展開している企業にとって、精度の高い財務情報を作成して維持することは簡単ではありません。複数の通貨を管理する場合、現地の報告要件に対応したり、為替のボラティリティに対するヘッジを管理したりなど、複雑な作業が必要になります。また、財務データの統合やレポート作成を行ったり、業績を確認するための統一された単一のビューを作成したりなどの作業も簡単ではありません。

しかし、多通貨会計ソリューションを導入すれば、社内の会計業務を基本通貨で運用し、レポート用の変換機能を使用して財務データの管理と分析を行うことができるようになります。たとえば、米国に本社を置き、ベトナムとメキシコに製造拠点がある会社について考えてみましょう。この会社が多通貨会計ソリューションを導入した場合、メキシコの製造部門が仕入先に支払を行うと、承認された取引が現地通貨のペソで記録され、企業通貨である米ドルに自動的に換算されます。

取引のライフサイクル全体にわたり、現地通貨と基本通貨の両方が適用されるため、財務管理業務が非常に簡素化され、処理速度と精度が大幅に向上します。現地の会計部門は、現地の報告要件とコンプライアンス要件を満たしながら、決算処理を行うことができます。全社的な視点で見た場合、各会計部門は広範囲にわたるデータをリアルタイムに確認し、取引について詳しくデータを掘り下げることができます。以前は、現地のオフィスが概略的な財務情報を本社に報告していましたが、この方法では、報告内容の誤りや遅延などのリスクには対応できません。多通貨会計ソリューションは、こうした時代遅れな方法とは大きく異なります。

75%

「依然として、会計業務の大部分を手作業で行っている」または「会社として、かなりの会計業務を手作業で処理している」と回答した会計担当者の割合

36%

クラウドベースの会計ソリューションの導入を計画している企業、または現在導入中の企業の割合

『From Mirage to Reality: Bringing Finance Into Focus in a Digital World』、Deloitte 社、2023

多通貨会計ソリューションの必要性

企業が多通貨会計ソリューションを導入するべき理由

現在は、グローバリゼーションが広く浸透し、世界市場がかつてない規模で統合されていますが、こうした環境で企業が競争力を維持するためには、グローバル レベルでビジネスを展開する必要があります。しかし、会計業務で複数の現地通貨を扱う場合、財務に関するさまざまなリスクと懸念事項が発生します。

  • 通貨のボラティリティ: 地政学的な紛争、景気後退、政治的な混乱などの不確実性は、外国為替のボラティリティを引き起こし、ビジネス上のリスクにつながる可能性があります。台帳が重複していたり、手作業で通貨換算を行ったりしている企業では、こうしたリスクに対応できない場合がよくあります。

  • 会計業務の負担の増加: 為替レートを手作業で確認したり、サイロ化されたデータを集約して外貨取引を企業通貨に換算したりするのは、時間のかかる面倒な作業です。しかし、こうした従来の作業方法を、インテリジェントな自動化機能とクラウドをベースとした会計ソフトウェアに置き換えることにより、連結管理とレポート作成を非常に効率的な方法でスムーズかつ迅速に行うことができるようになります。

  • 現地の規制とコンプライアンスへの準拠: グローバルにビジネスを展開する企業は、国際財務報告基準 (IFRS)、一般に公正妥当と認められた会計原則 (GAAP)、現地の GAAP だけでなく、その国独自の財務規則と財務要件にも準拠する必要があります。多通貨会計ソリューションを導入すれば、会計部門はビジネスを展開する現地の会計基準と報告要件を順守しながら、複数の通貨を迅速に管理できるようになります。

  • 業績の把握: 為替レートが原因で、異なる事業体や部門の業績を比較するのが難しくなる場合があります。しかし、多通貨会計ソリューションを導入すれば、財務部門は外国為替の影響を簡単に分析して業績を明確に把握し、さまざまな情報に基づいてビジネス上の意思決定を行うことができるようになります。

「手作業による連結処理の場合、時差が大きいということもあり、月末の決算処理で、本来よりも 5 日ほど長くかかってしまいます。Workday なら、この問題を解決できると思います」

― Opteon Property Group、最高財務責任者

多通貨会計業務に関する重要な用語

多通貨会計業務における重要な用語

  • 企業通貨: 機能通貨ともいいます。事業体が現金の生成と消費を行う主要な環境で使用される通貨のことを指します。最近の傾向として、機能通貨の決定は非常にシンプルなものになっていますが、検討が必要になる場合もあります。たとえば、米国の会計基準委員会 (ASC) 830 は、インフレ率の高い環境下での通貨は、機能通貨として使用できるだけの安定した通貨であるとはみなしていません。 

  • 外貨: 企業通貨以外の通貨のことを指します。 

  • 取引通貨: 元帳通貨ともいいます。送信後の取引で使用する通貨のことを指します。取引通貨は、機能通貨 (企業通貨) と同じでも異なっていてもかまいません。
  • 報告通貨: グローバル企業は現地レベルでの報告が義務付けられていますが、通常は、現地法人が報告業務を主導します。報告通貨 (財務諸表で使用される通貨) は、多くの場合、現地法人が所在する国の通貨のことを指します。しかし、本来これは驚くことではありません。たとえば、オーストラリアで登録され、米国に重要な投資家がいるニュージーランドの会社の場合、ニュージーランドドル、オーストラリアドル (オーストラリア証券投資委員会の要件を満たすため)、米ドル (投資家向け) を使用して財務諸表を作成しなければならない場合があります。
  • 換算: 取引の詳細と財務諸表について、機能通貨から報告通貨に変換するプロセスのことを指します。これを手作業で行う企業もありますが、会計ソフトウェアを使用すれば、換算処理が自動化されます。

  • 為替レート: 特定の時点において、ある通貨が別の通貨に交換されるレートのことを指します。インテリジェントな自動化機能を使用して多通貨会計業務を処理すれば、取引日時点の為替レートに基づいて、各取引の通貨が自動的に企業通貨に換算されます。

 

 

 

多通貨会計業務の管理

会計業務の担当者が多通貨会計業務を管理する方法

グローバルにビジネスを展開する企業が、現地の財務部門に概略的な財務データを本社に報告させるという方法で多通貨会計業務を管理する時代は終わりました。現在では、人工知能 (AI) と機械学習 (ML) をベースとする会計ソフトウェアを使用して、多通貨会計業務の複雑な管理プロセスをインテリジェントな方法で自動化できるようになりました。その仕組みは次のとおりです。

  • 財務部門が、会計ソフトウェアを使用して企業通貨を設定します。これにより、会計業務全体で単一の通貨が使用されるようになります。交換レートを定義する換算ルールも設定されます。

  • ビジネス上の取引が発生すると、ソフトウェアに組み込まれた ML により、該当する通貨が自動的に使用されます。たとえば、サプライヤーと顧客はデフォルト通貨に設定されますが、経費精算書の場合、社員の企業通貨、または社員が支払用に選択した通貨 (通貨が異なる場合) が使用されます。取引通貨は、取引のライフサイクル全体を通じて同じままです。

  • 取引が承認されると、インテリジェントな自動化機能により、業務と会計に関する仕訳データが生成されます。取引通貨が企業通貨と異なる場合は、自動設定ルールにより、取引通貨が企業通貨に変換されます。最初の取引、現地通貨、すべての為替とレート、使用日付など、すべての情報と処理内容が取引レコードに保管されます。これらの情報は、ソフトウェアに組み込まれている監査対応機能で使用されます。

  • 経理部門は、数クリックで複数の通貨でレポートを作成することができます。交換レートを定義するための換算ルールは、企業通貨を報告通貨に換算する目的で使用されます。

  • 連結処理では、グループ企業のすべての業績がリアルタイムで報告通貨に換算されます。外貨での取引は、取引日のスポット レートで企業通貨に換算されて記録されます。最初にスポットレートで記録された金融資産と負債は、貸借対照表レートで再計算されます。

「当社は、ERP と会計業務の両方のリポジトリとして Workday を使用しています。効率的な方法で業務を行い、エグゼクティブが的確な意思決定を行うためのレポートを簡単に作成するためには、完全で正確なデータをタイムリーに入手することが重要です」
 

—ABC Fitness 社、経理責任者

 

 

多通貨会計業務のベストプラクティス

多通貨会計業務のベストプラクティス

今後、金融規制が変更されたり、企業がグローバルに展開するビジネスが進化したりする可能性がありますが、ここで紹介するベストプラクティスは、そうした状況においても有益なものです。

  • 社内のソリューションを単一のソリューションに統合する: 社内で複数のソリューションを使用すると、ソリューション間の相互運用性に関する問題が増えて摩擦やフラストレーションが発生し、不正確なデータや古いデータの使用につながる可能性があります。グローバルな会計機能の全体的な一貫性を確保するには、多通貨会計業務とレポート作成に対応した単一のソリューションを導入する必要があります。

  • システムの会計ルールを設定する: 組織のニーズに合わせて、会計システムのルールやワークフローを簡単に変更できる会計ソフトウェアを導入することが重要です。組織の柔軟性を犠牲にするような、硬直した画一的なソフトウェアは避ける必要があります。会計部門が必要に応じてルールの変更や管理を簡単に行うことができる会計ソフトウェアを導入すれば、多通貨会計業務が劇的に合理化されます。

  • 自動化機能を活用する: 財務業務は、AI と ML によって大きく変化しましたが、会計業務も例外ではありません。インテリジェントな自動化機能を活用して、定型的で動的な業務を管理することにより、財務部門はビジネスへの影響が大きい業務により多くの時間を費やし、決算処理を迅速に進めることができるようになります。

  • 時系列にデータを保存する: 透明性を確保してコンプライアンスに準拠するには、監査証跡を適切に保存する必要があります。取引のライフサイクル全体にわたって企業通貨と取引通貨の両方が保存される会計ソフトウェアを使用すれば、有益なインサイトと高い効率性を確保しながら、自信を持って業務に取り組むことができます。


多通貨会計ソリューションについて詳しく説明いたします