AI導入成熟度モデルについて理解する
現在は、さまざまな業界の企業が AI の導入に取り組んでいますが、その多くは、導入の進捗状況を適切に評価したり、次のステップを判断したりすることに課題を抱えています。従来の成熟度モデルの多くは、導入の成熟度を単純な直線的プロセスとして捉えていますが、実際の AI 導入に向けた準備は、多面的なプロセスとして考える必要があります。
Workday の AI 成熟度アプローチは、単純に成熟度を測る物差しではなく、組織の状態を可視化する X 線診断装置のようなものです。「成熟度が低い」などの結果を示すだけでなく、その原因も明らかにします (リーダー層の意識が統一されていない、データの品質が低い、AI に対する倫理ガバナンスの仕組みが確立されていないなど)。
重要なポイント:
- 直線的な視点からの脱却: AI の成熟度は単一のスコアで測定できるものではなく、5 つの重要な組織的推進要因にまたがるプロセスです。
- データドリブンなインサイト: Workday は、世界 1,000 社を対象とした調査に基づき、AI 成熟度に関する 5 つの推進要因フレームワークを重視しています。このフレームワークは、戦略、経営幹部からの支援、組織としての知識、運用準備状況、ガバナンスとリスクという 5 つの要素で構成されています。
- 現状を具体的に把握: 現在の AI 成熟度段階を具体的に把握することにより、画一的な AI導入ではなく、現状に即した AI導入ロードマップを策定できるようになります。
- 評価から実行へ:最も低い「測定段階」から最も高い「統合段階」へと移行するには、個別の実証実験から、プラットフォーム全体にわたる一貫した AI 戦略に移行する必要があります。
AI 成熟度: 企業変革に向けた戦略的アプローチ
多くのリーダーにとっての「AI 成熟度」とは、自社の業務や企業文化において、AI の導入、活用、統合がどの程度進んでいるかを示すものです。
「自社の AI 成熟度は低い」と感じる企業も少なくないかもしれませんが、Workday の調査では、成熟度が直線的に上がることはほとんどないという結果になっています。診断フレームワークを活用すれば、「とりあえず AI を使ってみる」という場当たり的な方法から脱却し、競争力の獲得、業務の効率化、エンプロイー エクスペリエンスの向上につながる戦略的なアプローチへと移行することができます。
AI の導入を促進する 5 つの要因
Workday は、以下に示す 5 つの重要項目を評価して、明確な「診断」を行います。
- 戦略: どのように AI を活用してビジネスの価値を創出するかについて、明確なビジョンがあるか
- 経営幹部からの支援: リーダー層は、AI に対する取り組みを積極的に推進し、必要な投資を行っているか
- 組織としての知識: 社員は、業務で AI を活用するための知識やスキルを持っているか
- 運用準備状況: データ インフラとテクノロジースタックが、AI を活用できる状態になっているか
- ガバナンスとリスク: 倫理的で法令を遵守した方法で AI を活用するための仕組みが整備されているか
診断型成熟度モデルのメリット
診断型アプローチは、あいまいな「レベル分け」を行うだけの一般的な成熟度モデルとは異なり、現状を正確に把握することができます。
主要指標
従来の直線的な成熟度モデル
総合的なスコア (1 ~ 5)
Workday の診断モデル
5 つの主要な推進要因のパフォーマンス
たとえるなら
従来の直線的な成熟度モデル
定規 (達成度を計測)
Workday の診断モデル
X 線検査 (具体的な課題を特定)
成果
従来の直線的な成熟度モデル
「レベル」に関する一般的な説明
Workday の診断モデル
現状に即した推奨事項と、成熟度段階別のロードマップ
重点領域
従来の直線的な成熟度モデル
テクノロジーの導入のみ
Workday の診断モデル
戦略、人財、データ、ガバナンス
5 つの AI 成熟度段階について理解する
Workday は綿密な調査を通じて、AI の成熟度に関する 5 つの段階を定義しました。各段階には、その特徴、最も強い推進要因、不足している推進要因が記載されています。
1.測定段階
- 特徴: リスクの軽減を最優先する
- 最も強い推進要因: ガバナンスとリスク | 不足している推進要因: 戦略
- 実例: 多くの医療機関がこの段階に該当します。患者データを保護するためのセキュリティ対策や倫理的な安全措置の面では優れていますが (ガバナンスとリスク)、AI に関する統一的なビジネス ビジョンが不十分であることが少なくありません (戦略)。そのため、事務作業で AI ツールを活用してはいるものの、中核的な医療サービスの変革にはつながっていません。
- 今後の進め方: リスクが低く効果が大きいパイロット プロジェクトを特定し、「守りのガバナンス」から「攻めの戦略」へと移行する必要があります。
2.自発段階
- プロファイル: 意欲的なチームが AI の活用に取り組んでいるが、トップダウンのサポートを得られていない
- 最も強い推進要因: 戦略 | 不足している推進要因: 経営幹部からの支援
- 実例:「シャドー AI」のフェーズでは、大規模な小売企業や製造企業がこの段階に該当することが少なくありません。たとえば、いくつかのチームが配送ルートの最適化やマーケティング活動の推進などで専門的な AI ツールを導入しているものの (戦略)、この取り組み対して経営幹部からの支援が得られていないため (経営幹部からの支援)、全社レベルの導入に至っていない場合があります。
- 今後の進め方: 経営幹部からの支援を得て、現場での取り組みを会社全体に広げていく必要があります。
3.設計段階
- 特徴: 経営幹部の支援を受けながら計画的に AI の活用を進めているが、古いテクノロジーによる問題に直面している
- 最も強い推進要因: 経営幹部からの支援 | 下位の推進要因: 運用体制
- 実例: Zillow 社は、この段階において大きな問題に直面しました。同社の経営幹部層は「iBuying」というビジョンを強力に推進していましたが (経営幹部からの支援)、そのビジョンを支えるデータ基盤や運用体制が十分に整備されていなかったため (運用体制)、約 5 億ドルの損失につながりました。
- 今後の進め方: AI 活用の取り組みを推進するための統合型データ プラットフォームに投資する必要があります。
4.実行段階
- 特徴: 技術的な基盤は十分に整備されているが、AI に関する社員の知識やスキルが不足している
- 最も強い推進要因: 運用体制 | 不足している推進要因: 組織としての知識
- 実例: 多くのグローバルな物流企業や製造企業が、GPU や高品質なデータに多額の投資を行っていますが (運用体制)、EY 社の調査では、AI を革新的な方法で活用するための知識やスキルを持っている社員はわずか 5% しかいないため、企業は AI による生産性向上効果の 40% を失っているという結果になっています (組織としての知識)。
- 今後の進め方: 業務で AI を効果的に活用できるように、チェンジ マネジメントとワークフォースのスキルアップに注力する必要があります。
5.統合段階
- 特徴: 5 つの推進要因すべてにおいて高いパフォーマンスを発揮し、ビジネスにおいて AI が不可欠なインフラになっている
- 最も強い推進要因: 戦略と経営幹部からの支援 | さらに強化すべき推進要因: 組織としての知識 (継続的な学習でギャップを埋める)
- 実例: この段階の典型例は Walmart 社です。同社は、これまで分散していたさまざまなツールを「スーパー エージェント」というフレームワークに統合し、AI 推進担当エグゼクティブ バイス プレジデントを採用して、経営幹部自ら AI 変革に取り組んでいます。
- 今後の進め方: 自律型エージェントと高度な推論システムを通じて、さらに進化を続けていくことが重要です。
AI 成熟度を高める方法
Workday は、2027 年度に向けて企業の AI 成熟度を高めるため、具体的な行動につながる 3 つのサポート サービスを用意しました。
- AI アドバイザリー サービス: 具体的なロードマップを策定するための、数日間にわたる集中的なワークショップ
- プロフェッショナル サービス: 戦略策定、運用体制の整備、各種機能の導入を対象とした一連の AI 関連サービス
- 実践的なガイダンス:「5 つの推進要因」に関連する内容を自分のペースで学習するための、デジタル コーチのようなセルフサービス型プログラム
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