給与計算業務の自動化とそのメリット
給与計算の自動化は、計算処理を最適化してエラーを減らし、人事部門と財務部門の貴重な時間を節約することにより、従来の給与計算処理を変革することができます。このガイドでは、自動給与計算の仕組みと主なメリットをご紹介します。また、給与計算の自動化を通じて、スマートで変化に強い給与計算業務を実現する方法についてもご説明します。
給与計算の自動化とは
給与計算の自動化により、給与計算業務を効率化して適切に管理できるようになるため、手作業で行う場合と比べて大幅に処理時間が短縮されます。現在では、給与計算の自動化はワークフォース管理の重要な要素となっています。
社員の給与計算、税控除処理、給与明細書の作成など、時間のかかる反復的な作業を自動化された給与計算管理システムで処理することにより、人事部門と財務部門はより価値の高い業務に集中できるようになります。
Workday の調査によると、ビジネスリーダーと給与計算担当者の 92% が給与計算の戦略的重要性を理解していますが、89% が現在のソリューションでは機能が不十分であると回答しています。給与計算の自動化によってこのギャップが解消され、給与計算業務の効率性と効果が高まります。
重要なポイント
給与計算を自動化して手動での給与計算処理を変革することにより、作業時間の短縮とワークフローの効率化が実現します。
自動化された給与計算管理システムにより、給与計算が企業にとって戦略的な業務になります。
給与計算の自動化により、常に予定通りに給与計算が完了する、エラーが減る、人事部門と財務部門による管理業務の負担が軽減される、などのメリットを得ることができます。
セルフサービス方式の給与計算ポータルやリアルタイム更新などの機能は、標準的な機能になりつつあります。
評価の高い給与計算自動化ソリューション プロバイダと協力することにより、導入に関するリスクを最小限に抑え、新しいソリューションにスムーズに移行することができます。
給与計算処理を自動化した場合の 5 つのメリット
給与計算の自動化は、単に手作業を自動化するだけでなく、ワークフローの効率化やエラーの削減にもつながります。また、給与計算を戦略的な資産に変革することもできます。手作業による給与計算は、手間がかかって非効率的ですが、自動化された給与計算システムを使用すれば、正確さを確保しながら作業時間を短縮することができます。具体的には、以下のようなメリットがあります。
複雑な計算を簡素化
自動化された給与計算システムを使用すれば、規則やレートが変更された場合でも、税率、残業代、福利厚生の配分をすばやく正確に計算できます。計算結果は自動的に適用され、すべての給与計算が最新の規制に準拠した状態になります。給与計算チームが自動化システムを使用することにより、エラーを最小限に抑えながら、手動による調整業務をなくすことができます。
ご存知でしたか?
Workday レポート『グローバル給与計算における戦略的取り組みの拡大』では、回答者の 87% が「給与計算の複雑さが大きな問題である」と答えています。
常に予定通りに完了
給与計算処理の遅延は社員の不満につながり、財務計画に支障をきたす可能性があります。手作業による給与計算では、こうした問題は珍しくありません。驚くべきことに、99% の組織が「給与計算を遡及的に処理しており、エラーが原因で毎年平均 300 件以上の臨時の支給を行っている」と回答しています。
自動化された給与計算サービスを導入すれば、社員数や計算処理直前の変更に関係なく、すべての給与計算サイクルがスケジュールに従って処理されます。
管理業務の負担を軽減
給与計算処理は、単純な給与計算だけではなく、コンプライアンスへの準拠、社員給与計算システムの管理、社員レコードの更新、レポートの生成など、さまざまな作業から構成されています。自動化された給与計算システムを使用すれば、これらの作業を単一のプラットフォームに統合し、自動的に処理を実行して管理業務の負荷を軽減しながら、給与計算データの可視性を高めることができます。
最近の Workday の調査では、統合型給与計算管理システムの重要性が指摘されています。ビジネスリーダーの 3 分の 1 以上が、「分断されたシステムが戦略的な給与計算業務の障害になっている」と回答しています。給与計算を単一のプラットフォームに一元化することにより、アクセス性が向上し、人事部門と財務部門で給与計算データをより効果的に使用できるようになります。
社員向けセルフサービス機能の改善
最新の自動給与計算システムにはセルフサービス ポータルが組み込まれているため、社員は人事担当者によるサポートを受けることなく、自分の給与明細にアクセスしたり、詳細情報を更新したり、税に関するデータを確認したりすることができます。これにより、手動システムでよくあるやり取りが削減され、社員が自分自身で情報を管理できるようになります。
現在では、セルフサービスが給与計算における新しい標準になりつつあります。American Payroll Association の調査によると、83% の企業が、給与情報に対するセルフサービスと即時アクセスを社員に提供しています。このことから、セルフサービスが給与計算の透明性を確保するための新しい基準になっていることがわかります。
監査業務の簡素化
給与計算におけるエラーは、高額な財務リスクや法的リスクにつながる可能性があります。自動化された給与計算システムには、データの不一致を検出し、エラーを効率的に解決するための強力な監査ツールが用意されています。組み込み型の追跡機能により、給与計算データは常に監査に対応できる状態に維持されます。また、コンプライアンス業務が簡素化されるため、人事部門と財務部門の作業負荷が軽減されます。
「セルフサービス機能やリアルタイム レポートなどの機能が組み込まれた完全な統合型給与計算システムに移行することにより、処理にかかる時間が短縮され、すべての人に対して全体的に優れたサービスを提供できるようになります」
— オクラホマ州タルサ郡、金融サービス担当ディレクター、Jenn Pottorf 氏
優れた自動給与計算システムの主要な機能
自動化されたシステムは給与計算の仕組みを根本的に変え、給与計算管理業務のあらゆる側面を合理化して、精度と効率性を最大限に高めます。自動化によって重要な給与計算業務が強化され、手作業に比べて明らかなメリットを得ることができます。以下に、自動処理と手作業の比較を示します。
賃金計算/残業管理
手動給与計算
タイム シートを確認しながら残業に関する規則を手動で適用する必要があるため、不一致が発生することがよくある。
自動給与計算
給与、時給、残業時間に関する複雑な計算をすばやく正確に処理できる。
源泉徴収とコンプライアンス管理
手動給与計算
規制の変更を手動で調査して適用する必要があるため、エラーと非準拠のリスクが増大する。
自動給与計算
国税と地方税の源泉徴収を正確に計算し、税法の変更に自動的に対応できる。
福利厚生と控除の処理
手動給与計算
細部にまで細心の注意を払いながら頻繁に更新する必要があるため、時間がかかり、間違いが発生しやすくなる。
自動給与計算
退職金制度、健康保険、差し押さえなどの福利厚生拠出金と控除が自動的に適用される。
口座振込と支払い処理
手動給与計算
計算結果を確認してから個別に支払い処理を開始する必要があるため、給与計算結果の支給に必要な時間と労力が増加する。
自動給与計算
口座振込や他の電子的な方法による支払いが自動的に実行される。
社員データの更新
手動給与計算
複数のシステムやドキュメントが関係するため、情報が古くなっていたり、不一致が発生したりする可能性が高くなる。
自動給与計算
給与調整、職務の変更、税情報など、社員に関する記録の同期と更新が自動的に実行される。
勤務時間の追跡と統合
手動給与計算
タイムカードと出勤記録を手動で調整する必要がある。
自動給与計算
タイム トラッキング ツールによってシームレスに統合される。
年末の税務書類
手動給与計算
データの収集と検証で多くの労力が必要になり、不正確な情報や遅延が発生することがよくある。
自動給与計算
フォーム W-2 や 1099 などの納税申告書をエラーなく生成し、遅延なく配布できる。
カスタムのレポートと分析
手動給与計算
手動によるデータ収集とスプレッドシートの操作が必要になるため、多くの労力が必要になる。
自動給与計算
わずか数分または数秒で詳細な給与計算レポートを生成できる。
自動化された給与計算の活用事例
さまざまな業界の組織が、自動化された給与計算を活用してそれぞれの課題に対処し、大きな成果を上げています。自動化ソリューションにより、給与計算処理の効率性、精度、コンプライアンス準拠を向上させることができます。ここでは、給与計算の自動化によって業務の効率を大幅に高めている組織の事例を紹介します。
ワシントン大学
数十年前の古い人事システムと給与計算システムによる非効率性という課題を抱えていたワシントン大学は、Workday の自動給与計算プラットフォームを導入しました。手作業による紙ベースの処理を自動化することにより、勤務時間と休暇の確認にかかる時間が毎月 2,000 時間短縮されました。人事データと給与計算データの可視性が向上したため、さまざまな情報に基づいて意思決定を行い、効率的に業務を進めることができるようになりました。
オクラホマ州タルサ郡
タルサ郡は、時間とリソースを節約するために、断片化された給与計算システムの統合に取り組みました。Workday の統合型給与計算ソリューションにより、手作業での調整やデータ入力が不要になり、業務が効率化されました。この変革により、給与計算にかかる時間が半分に短縮されたため、タルサ郡はより多くのリソースを公共サービスの改善にあてることができるようになりました。
Land O’Lakes
50 か国で事業を展開する Land O'Lakes は、時代遅れのオンプレミス プラットフォームに代わる最新の給与計算システムを必要としていました。Land O'Lakes は、Workday ヒューマン キャピタル マネジメント (HCM) と Workday 給与計算を導入して、給与計算処理の自動化と監査業務の効率化を行いました。また、社員向けセルフサービス機能ポータルを導入しました。これにより、給与計算の精度が 99.9% 以上に向上し、臨時の支給処理が 50% 削減されました。
「以前は、年度末が悪夢でした。しかし、Workday を導入してからは、通常業務と同じように年度末業務に対応できるようになりました」
— Land O’Lakes、給与計算・コンプライアンス担当マネージャ、John Gardner 氏
自動給与計算と手動給与計算におけるリスクの違い
給与計算の自動化には明白なメリットがありますが、スムーズな移行と長期的な成功を実現するには、潜在的なリスクに対処することが重要です。考慮すべき主なリスクとそれらのリスクを軽減する方法を以下に示します。
統合エラー
自動給与計算システムを導入するには、正確なデータ移行と既存システムとの統合が必要になります。この段階でエラーが発生すると (社員の詳細情報や給与計算の設定が間違っているなど)、計算ミス、支払いの遅延、コンプライアンスの問題につながる可能性があります。
リスクの軽減方法: システムの導入時に入念な監査とテストを実施し、ソフトウェアの統合エラーを早期に特定して解決します。給与計算ソフトウェアのプロバイダと緊密に協力して、データをシームレスに移行します。
サイバー セキュリティに関するリスク
自動給与計算システムはクラウドベースのプラットフォームに依存する場合が多いため、データ漏洩や社員の機密情報への不正アクセスなど、サイバーセキュリティに関するリスクが発生する可能性があります。
リスクの軽減方法: 暗号化機能や多要素認証機能など、強力なデータ セキュリティ対策機能が組み込まれたプラットフォームを選択します。セキュリティ プロトコルのアップデートとシステム監査を定期的に実行して、データ保護規制に準拠します。
システムの導入と社員のトレーニングに関するリスク
新しいシステムを導入する場合、システムに関する学習が必要になることがよくあります。また、トレーニングを受けていない社員が誤ってミスを犯したり、自動給与計算ソフトウェアの機能を十分に活用できなかったりする場合もあります。各チームからの支持を得ることができないと、システムの導入がさらに遅れ、給与計算業務に影響する可能性があります。
リスクの軽減方法: 主要な機能、間違いやすい箇所、トラブルシューティング方法などを網羅した、チームに合わせてカスタマイズされた包括的なトレーニングを実施します。オープンなコミュニケーションを促進して社員の疑問に答え、新しいシステムに対する信頼を構築します。
移行時のシステム ダウンタイム
自動化システムに切り替える際に (特に、システムのデプロイメント時に予期しない技術的な問題が発生した場合)、一時的な中断が発生する可能性があります。たとえ短時間のダウンタイムであっても、給与計算業務の継続性と社員の満足度に影響する可能性があります。
リスクの軽減方法: システムを段階的に導入し、完全に移行する前に、給与計算サイクルを並行して実行して不一致を検出します。給与計算業務に影響しない方法で潜在的なダウンタイムに対処するための緊急時対応計画を作成しておきます。
先を見据えてこれらのリスクに対処することにより、組織全体の継続性、セキュリティ、信頼を確保しながら、給与計算自動化の可能性を最大限に引き出すことができます。
給与計算の自動化を始めるために
自動給与計算ソフトウェアの導入作業は長期間にわたりますが、大変な作業だと考える必要はありません。綿密な計画を作成して適切なツールを使用すれば、スムーズに移行して短期間で成果を上げることができます。このプロセスを明確で管理しやすい 5 つの手順に分割すると、以下のようになります。
1.現状を理解する
最初に、現在の給与計算処理を評価します。どこで作業速度が低下しているのか、ストレスの原因となる頻繁に発生するエラーは何か、どの作業が自動化によるメリットを受けることができるのか、などについて検討します。これらの事項を正確に検討することにより、自動化によって最も大きなメリットが得られる領域が明確になります。
2.優先事項を設定する
人事部門や財務部門と協力して、自社にとっての成功とは何かを定義します。給与計算のミスをなくす、作業時間を節約する、コンプライアンス準拠を向上させるなどの明確な優先順位を設定することにより、ビジネスを前進させるための意思決定を行うことができます。
3.段階的に導入する
自動化システムに一度に移行するのは難しい場合があります。最初は、特定の部門や特定のワークフローだけにシステムを導入します。この段階では、システムの導入と並行して給与計算サイクルを実行し、システムをテストしながら問題を解決していきます。これにより、システムに対する信頼を構築してから、全社的にシステムを導入することができます。
4.チームを支援する
新しいシステムで成果を上げることができるかどうかは、そのシステムを使用するユーザー次第です。チーム全体として自信を持って新しいシステムを使用できるように、実践的なトレーニングを行う必要があります。疑問を解消するためのリソースを継続的に提供し、新しいプラットフォームを最大限に活用できるように支援します。
5.進化を続ける
新しいシステムが稼働したら、自動化によるリアルタイムのインサイトを活用して結果を追跡し、さらなる改善の機会を特定します。給与計算の自動化は、現在の課題を解決するだけでなく、将来の課題の解決にも役立ちます。
Workday は、複雑な作業を簡素化するための信頼性の高い給与計算ソリューションの設計に取り組んでいます。Workday の使用方法については、こちらをご確認ください。