AI では置き換えられない 7 つの人間のスキル
企業の AI 統合が進むにつれ、リーダーは人間中心のスキルが持つ価値と独自性をより認識するようになっています。AI 時代に最も求められる 7 つのスキルをご紹介します。
Maria Valero
人事担当編集ストラテジスト
Workday
企業の AI 統合が進むにつれ、リーダーは人間中心のスキルが持つ価値と独自性をより認識するようになっています。AI 時代に最も求められる 7 つのスキルをご紹介します。
Maria Valero
人事担当編集ストラテジスト
Workday
AI が現代の企業に深く浸透していくにつれ、ワークフォースへの影響をめぐる議論は、机上の仮説から喫緊の課題へと変わりつつあります。AI が人間の仕事を奪うのかどうかを問う見出しは至るところに見られます。AI 導入の受け止め方が未だに分かれているのも不思議ではありません。
Pew Research 社によると、米国の従業員の大多数は AI が雇用に与える影響を懸念しており、およそ 3 分の 1 は個人的な悪影響が及ぶ可能性があると考えています。
これは AI を効果的に導入することを強く求められているビジネスリーダーに難しい課題を突きつけます。ほぼすべて (98%) のエグゼクティブは、AI 導入が即時的なビジネス価値を生み出すと考えている一方で、チームの現実的な懸念や変化への抵抗にも対応しています。
おそらく最も重要な点は、Workday の調査結果に見出すことができます。つまり AI は、効率性、自動化、データドリブンなインサイトをもたらすだけでなく、人間固有のスキルの重要性も高めるということです。83% のリーダーは、AI の活用が拡大するにつれ、人間のスキルは重要性を失うのではなく、高まっていくと考えています。
多くのリーダーは、AI で業務を支援・強化できても、その業務を担う人間を置き換えることは決してできない領域として、倫理的判断、人とのつながり、創造性を一貫して挙げています。
83% のリーダーは、AI は人間のスキルの重要性を高めると考えています。
レポート
エンタープライズ AI の第 1 の波が訪れた際は、チャットボット、データ ツール、生成システムなど、自動化が主な焦点となりました。これらのツールは実務を機械に移行させることで、時間のかかる手作業の必要性を軽減しました。
このような変化は AI が人間の役割を奪うのではないかという懸念を直ちに引き起こし、その一部は現実のものとなりました。一部の職務が縮小・廃止されたほか、人が全面的に行っていた業務が AI の支援を通じて行われるようになっています。このような業務には、人事チームの履歴書スクリーニングや、財務チームの請求書/経費処理が含まれます。
しかし実際に明らかになった状況はより複雑なものでした。AI が実行負荷の高い反復作業を担うようになるなか、多くの組織は、人間の判断力、創造性、クリティカル シンキングが求められる高価値な業務に社員が取り組める余裕が生まれたことに気づきました。
人事チームは、何時間もかかる履歴書のスクリーニングから解放された結果、採用マネージャとの連携、役割適合性、チーム ダイナミクスの評価に時間を振り向けられるようになりました。また、単純なトランザクション処理から解放された財務チームは、戦略的な収益予測やシナリオ プランニングに専念できるようになっています。
AI エージェントの台頭は、このような変化をいっそう明確にしています。エージェントはエンドツーエンドのワークフローを実行できますが、期待値の管理、倫理的判断、システム自体の監督という面では依然として人間の関与を必要とします。業務の自動化が拡大しても人間の責任がなくなるわけではありません。むしろ集約され、ビジネスへの影響は大きくなります。
組織がこのような環境下で成功するためには、AI に対応する企業文化を構築する必要があります。AI リテラシーを高めるだけでなく、AI では置き換えられない人間中心のスキルを積極的に育成する企業文化です。
AI の能力が高まるにつれ、人間の業務に対する役割は変化しています。人間のスキルを活用することにより、組織は AI ツールを責任を持って効果的に運用することができます。その結果、信頼、企業文化、パフォーマンスを損なうことなく、単なる生産量ではなく本質的な成果をテクノロジーによって加速させることができます。
私たちは、機密データや知的財産を含むますます膨大な情報を AI に委ねるようになっており、その情報を使った業務の実行方法についても、AI の自律性に任せる割合を増やしています。AI の推論能力が進化することは間違いありませんが、意思決定の背後にある倫理的/道徳的な意味を推し量る人間の能力を再現することはできません。
Deloitte 社の年次テクノロジー倫理調査によると、回答者は職場に最も深刻な倫理的リスクをもたらすものの 1 つに AI テクノロジーを挙げており、データのプライバシーと来歴について特に懸念を示しています。AI はデータ分析やデータ インサイトの分野で明確なメリットをもたらしますが、常に責任を持って活用するためには、人間の監視という形のガードレールが必要になります。
Workday の『AI によるスキル革命』レポートもこの優先事項を裏付けており、リーダーが現在および AI 主導の未来において最重視するスキルの最上位には、倫理的意思決定と道徳的判断がランクインしています。
AI 主導の未来においてリーダーが重要視するスキルは倫理的意思決定です。
感情的知性は職場のあらゆるレベルの対人関係を支える基盤となります。優秀な社員を維持するために強力な職場文化を築くうえでも欠かせない要素です。Korn Ferry 社のレポートによると、感情的知性を備えたリーダーはそうでないリーダーと比較し、定着率が 30 ポイント近く高くなっています。
感情的知性は、AI 革命に直面している今日のリーダーや社員にとっても、変化を乗り切るうえで欠かせない能力です。自己認識、自己制御、社会的認識など、感情的知性の要素はすべて、変化する職場環境で適応力とレジリエンスを維持するために極めて重要です。
共感力は AI システムでは再現できない人間固有のスキルです。テクノロジーが多くの実務を担うようになり、信頼や社員の士気、そして変化を経験する社員への影響が高まるなか、共感力の重要性はますます高まっています。
AI は部門や拠点の枠組みを越えたコラボレーションをかつてないほど容易にしました。分散型ワーク モデルやハイブリッド ワークプレイス モデルが主流となった今日、このような連携は必要不可欠です。しかし、そうした機能がもたらされたからこそ、チーム間における、より質の高いコラボレーションや関係構築の必要性が高まっているのです。
Workday の調査によると、ほとんどの最高財務責任者 (CFO) は現在、プランニングや意思決定を行う際に財務データと非財務データの両方を使用します。しかしそのようなデータにアクセスするには、最高情報責任者 (CIO) や組織内のビジネスリーダーとの間に強力なパートナーシップを構築する必要があります。
つまり、AI は真に部門横断的な業務を支えるために必要なプラットフォーム システムやデータ インサイトを提供しますが、チームがその価値を引き出すためには、共通の目標に向けて他チームと効果的に連携する方法を理解する必要があります。
AI は新しいアイデア、コンテンツ、潜在的なソリューションの生成を妨げる障壁を劇的に減らしました。チームは、製品開発、マーケティング キャンペーン、プロセス設計など、あらゆる領域でより多くの選択肢をすばやく検討できるようになっています。しかし、どれだけ量をこなしても、人間が舵を取らなければ品質や信頼性は保証されません。
人間の社員は、機械が世界中のあらゆるデータを使用しても再現できない方法で、企業、顧客、市場を理解します。人は独創性を守る最後の砦でもあります。AI は効果的にブレーンストーミングを加速させたり、コンテンツを量産したりできても、真に独創的で実体験に根ざした成果を生み出すことはできません。
組織が AI でイノベーションを推し進めるなか、明確な意図を持ってイノベーションを形成するためには、人間の創造性が常に必要になります。AI はプロセスを支援できますが、解決する価値があるのはどの問題か、実験を実行に移すのはいつにすべきかは、人間が判断する必要があります。
リーダーは人間の重要性を認識しています。世界経済フォーラムによると、雇用主が 2030 年までに重要性が増すと考えているコア スキルのトップ 5 には創造的思考がランクインしています。
創造的思考は、雇用主が 2030 年に向けて重要性が増すと考えているコア スキルです。
AI は変化を加速させることはできますが、変化を導くことはできません。新しいツールによって業務の進め方が変わる時、不確実性を乗り切るために必要な明確さ、方向性、そして安心感を得るために、人はやはり他者に指針を求めるものです。
Korn Ferry 社の『2025 Leadership Trends Report』では、未来志向のマインドセットを支える重要な原動力として、適応力、真正性、文化の構築、信頼といったスキルを挙げています。これらはいずれも AI システムでは再現できませんが、組織のあらゆるレベルの人財が体現できるものです。
その意味では、変化を導くリーダーがマネージャやエグゼクティブである必要はありません。新しいテクノロジーの活用を先導することに長けた社員や、模範を示しながら、その過程で周囲の懸念を和らげることができる生来 EQ の高い社員が担うこともできます。
いずれにしても AI がもたらす変化のペースが今後鈍化する見込みはありません。変化が進むなか、人間的な側面からチームを適切に導ける人財を組織に確保することは極めて価値があります。
AI が役割を変化させるペースは正式なトレーニングで対応できる速度を上回っているため、人財育成の必要性が高まっています。世界経済フォーラムによると、2027 年までに従業員のコア スキルの 40% 以上が通用しなくなるとされており、組織は継続的に人財を育成する必要に迫られています。
さらに Workday の調査によると、社内人財の流動性と社員のスキルアップを優先することで、AI 時代に有意義な業績を達成することができます。組織がこのような高水準のサポートをワークフォースに提供するには、コーチやメンターとして導くことができるリーダーが必要になります。
AI は能力開発に役立つ情報を提供しますが、社員が真に成長するためには、人間との関わり、共通の体験、信頼できるメンターシップが必要になります。
高度な AI リテラシーに対する需要は過去 2 年間で 7 倍に増加しています。
AI はタスク、ワークフロー、機能を最適化することに極めて長けています。一方でそのようなシステムをどう連携させれば全社的目標を達成できるかを判断することはできません。システム全体を連携させるためには、人間がマネジメントを担い、優先順位を設定し、トレードオフを解決し、組織の意思決定全体を整合させる必要があります。
そのためには、二次的影響や三次的影響、つまり 1 つのシステムの変更が他の領域の成果にどう影響するかを理解し、効率性とリスク、エクスペリエンス、長期的価値とのバランスを図る必要があります。
McKinsey 社によると、このような AI リテラシーに対する需要は過去 2 年間で 7 倍に増加しています。また、AI エージェントが真の協働者として台頭したことで、そのペースは加速しています。その結果、人間の業務はテクノロジーに関する単なる専門知識のレベルから、AI システムを管理・監督することへと移行しています。
これは AI の実行精度と信頼性がいかに高まっても、AI 導入の長期的な ROI の行方は、人間の判断力とリーダーシップにかかっていることを示します。そのため組織は、テクノロジー ツールを優先するだけでなく、テクノロジー ツールを管理するために必要なクリティカル シンキング スキルを備えた人財を採用しています。
AI に対応するワークフォースの構築とは、人間が新たな AI テクノロジーと共存しながら、人間の強みを発揮できる環境を整備することを意味します。
AI に対応するワークフォースの構築とは、人間がテクノロジーと共存しながら、人間の強みを発揮できる環境を整備することを意味します。その第一歩は、AI を代替物ではなく、協働者として位置付けることから始まります。
AI は自身の仕事を奪うのではなく、自身の能力を高めるものだと理解すれば、人財は AI に積極的に関与して試行・実験し、効果的な方法で活用するようになります。リーダーはそのような認識を形成するうえで重要な役割を担っており、人間の判断力、説明責任、意思決定が今後も不可欠であることを強調していく必要があります。
AI に対応するワークフォースを構築するには、スキルベースのマインドセットも必要になります。継続的な学習を優先し、社内での成長を支援するリーダーは、雇用喪失に対する不安を低減し、チームが自信を持って新たな能力を習得できる環境を創出します。このような取り組みにより、社員は AI を競争相手ではなく、ともに働く対象と捉えられるようになります。
最終的には、テクノロジーへの投資と同じくらい意図的に人財に投資する組織が、AI 時代に成功を収めることになるでしょう。AI は進歩を加速できますが、その進歩を持続的な価値に変えるかどうかは、人間の判断力、信頼、リーダーシップにかかっています。
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