スキル重視の仕事の未来を構築する人財開発部門と人事部門のリーダー
このブログでは、人財開発部門と人事部門のリーダーが、スキル重視の仕事の未来をどのように構築しているのか、この取り組みにおける戦略と課題とはどのようなものなのかについて説明します。
Maria Valero
人事担当編集ストラテジスト
Workday
このブログでは、人財開発部門と人事部門のリーダーが、スキル重視の仕事の未来をどのように構築しているのか、この取り組みにおける戦略と課題とはどのようなものなのかについて説明します。
Maria Valero
人事担当編集ストラテジスト
Workday
かつてないほど働き方が変化している現在、AI とスキルに関する議論が絶え間なく続いています。では、議論を実際の行動につなげるにはどうすればよいでしょうか。リーダーたちは、テクノロジーと人間が単に共存するだけでなく、ともに成長する未来をどのように構築しているのでしょうか。
この問題の本質に迫るため、Workday のスキルベース組織担当ディレクターを務める Josh Tarr は、この大きな変革の最前線に立つ 2 人の先進的なリーダーである Dalia Kendik 氏 (Thomson Reuters 社、デジタル HR・グローバルサービス責任者) と Chris Ernst (Workday、最高ラーニング責任者) と対談を行いました。この対談では、AI をスムーズに導入するためのアドバイスをいただきました。
重要なポイントは以下のとおりです。
レポート
Thomson Reuters 社の Kendik 氏は、変革に向けた基盤の構築に精力的に取り組んでいます。AI が普及している現在は、社員に対して求められるスキルが変化しており、社員が AI 革命の中心的な存在になっています。また、この変化は同社が人間主導の視点から AI を捉える原動力にもなっています。Kendik 氏は、期待、可能性、安心感を組織全体で共有できるように、AI を独立したものとして考えるのではなく、スキルと人財に密接に関連する存在として考えるような企業文化の構築に取り組んでいます。
Ernst もこの意見に同意し、次のように述べています。「AI とスキルに関する議論の幅を広げる必要があります。現在の議論では、依然として効率性や生産性に焦点が置かれています。もちろんそれも重要ですが、本当に重要なのは、どのように AI を活用して成長を促進するかということです。この成長とは、人財とビジネスの両方の成長を指しています。単に自動化を進めるだけでは、イノベーションは実現しません」
Ernst は Workday のビジョンについて触れ、Sana 社の買収意向についても言及しました。Ernst は、企業の知識、データ、アクションが交差する仕事の未来を、Workday とお客様が主体的に形成していくというビジョンを持っています。そこでは、AI エージェントを活用して社員が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう支援することを目指しています。このような根本的な変革に取り組む場合、全体像を把握し、何から始めるべきかを判断するのは容易ではありませんが、Kendik 氏は、リーダーが社員の模範になるべきだと考えています。
「この変化の時代において、どのようにリーダーを育成していますか」と問われた Kendik 氏は、次のように述べています。「すべては最上位層から始まります。リーダー自身が当社の AI モデルの構築方法やトレーニング方法を理解できていなければ、一般の社員にそれを期待することなどできません」
「AI ファーストと人間主導の両立」と「適応力の高いリーダーシップ文化の育成」という 2 つの原則は、AI の導入を成功させるために不可欠な要素です。AI が人間の仕事を奪うと噂されることもありますが、実際には、AI の存在によって私たちはかつてないほど「人間らしさ」を求められています。
「すべては最上位層から始まります。私たち自身が当社の AI モデルの構築方法やトレーニング方法を理解できていなければ、一般の社員にそれを期待することなどできません」
- Thomson Reuters社、デジタル人事部門・グローバルサービス部門責任者、
Dalia Kendik 氏
AI に関する議論において、重要でありながら見落とされがちなことがあります。それは、人財育成の方法を根本的に見直す必要があるということです。これは、人財育成が将来的な差別化要因につながるためです。Workday のラーニングと能力開発 (L&D) チームは、約 2 万人の社員を対象に、AI の活用と導入を妨げる要因について詳細な調査を実施しました。最初に結論を言うと、それは「ユーザー次第」ということになります。
Ernst とそのチームのミッションは、Workday の EverydayAI プログラムを通じて「すべての社員が、日常業務で AI を効果的に活用するための考え方、スキル、習慣を習得できるように支援する」ことです。
ハッカソンの実施、業務別にカスタマイズされたラーニング コンテンツの開発、AI の活用目標を社員のパフォーマンス評価に関連付ける取り組みなどを通じて、Workday は 80% という高い AI 導入率を達成しており、これは開始時点から 30% の増加にあたります。多くのリーダーは、AI によって削減された時間がどのように活用されるのか疑問に思っていますが、Ernst が言及した調査結果は、そうしたリーダーたちにとって非常に心強いものです。
EverydayAI プログラムの驚くべき結果として判明したのは、AI を活用している社員は、共同作業に充てる時間を毎週 2 時間追加で確保できるようになり、AI 導入率の高い営業チームのメンバーは、毎週さらに 1 時間を顧客対応に割くことができるようになった、という事実です。Ernst はこの結果について、「AI は単なる技術革新ではなく、非常に人間的な革新でもあります」と述べています。
Thomson Reuters 社では、AI の導入と各種ツールの活用が、組織の隅々にまで浸透しています。これは社員の AI 導入を促進するだけではありません。Kendik 氏は次のように述べています。「むしろ、有意義な形でオフィス内の結束を深めるきっかけとなっています。節約できたすべての時間を、そのような有意義なつながりのために使えるとしたらどうでしょう。ぜひ想像してみてください」。オフィス回帰 (RTO) に関する方針は企業によって異なりますが、AI によるコラボレーションのメリットは共通しています。
Kendik 氏の AI 導入アプローチにおける最優先事項は、心理的な安心感です。社員が自分の職務に不安を感じたり、新しいテクノロジーに対して不信感を抱いたりするのは自然なことです。AI がもたらす膨大な可能性は、できすぎた話のように思えてしまい、懐疑心や抵抗感につながることもあります。
Kendik 氏は、そうした考え方に異を唱え、「もしうまくいったらどうなるだろう?」と考えることを勧めています。
Ernst は別の視点として、業務における人間的な成長とラーニングに関する 70-20-10 モデルを紹介しました。「業務を通じて人間が成長するプロセスは、70% が実体験、20% が人間関係、残りの 10% が学習や自己啓発から構成されます。では、AI を活用して 30 秒もかからずに正確な回答を得ることができたらどうなるでしょうか?」
Ernst はさらに、人事部門と L&D 部門のリーダーに向けて、次のように強調しました。「テクノロジー自体は、中立的な存在です。私たちには、そのリスクを軽減し、社員がこの新しい世界においても学び続け、成長し、活躍できるよう、働き方を設計する役割があります」
話をさらに進め、Kendik 氏は実際の職務設計について具体的に言及しました。「組織にとって必要なスキルを詳細に検討していくと、AI や未来志向のデジタルファースト組織について考え始めるようになります。今後、こうした役割においてどのような体験を創出していくべきか。私たちはついに、こうした役割を設計する機会を得たのです」
社員が会社から何を期待されているのかを理解できれば、推測に頼る必要がなくなり、明確さと目的意識が生まれます。
「テクノロジー自体は、中立的な存在です。私たちには、そのリスクを軽減し、社員がこの新しい世界においても学び続け、成長し、活躍できるよう、働き方を設計する役割があります」
- Workday、最高ラーニング責任者、
Chris Ernst
Kendik 氏と Ernst は、誰もが気になっている問い、すなわち「AI を効果的に組み込むために、役割をどのように再設計すべきか」というテーマについて深く掘り下げました。完全な答えはまだ見つかっていませんが、中核となる原則は明確です。それは、「流動性」「学習への適応力」「柔軟性」が何よりも重要になるということです。Ernst は、これらの能力を高めるための例として「ギグ ワーク」を挙げました。ギグ ワークの機会を社内で提供することにより、社員はさまざまなチームで業務を行い、新たなスキルや十分に活かされていないスキルを活用し、新たな興味を追求して、プロフェッショナルとしての可能性を広げることができます。
Kendik 氏は、こうした変化をさらに強調し、AI エージェントの台頭によって、すべての人がスキルアップを迫られることになると指摘します。「これからは、この AI エージェントを管理し、コーチングし、指示を出していかなければなりません。役職がマネージャかどうかにかかわらず、私たちは皆、ある意味でマネージャになっていくのだと思います」
これは、リーダーシップにおける根本的な変化を浮き彫りにしています。AI が処理できるようになった技術的なスキルを超えて、人と人とのつながり、コラボレーション、アジリティなどの「人間的なアプローチ」を優先する方向へと変化しています。
役職がマネージャかどうかにかかわらず、私たちは皆、ある意味でマネージャになっていくのだと思います」
- Thomson Reuters社、デジタル人事部門・グローバルサービス部門責任者、
Dalia Kendik 氏
現在は AI の脅威に関する話題が飛び交っていますが、組織の成功に不可欠な文化的要素を、AI が再現したり代替したりすることはできません。Ernst はこの本質を的確に要約し、「イノベーションは、人と人とのつながりの中でこそ繁栄し、分断の中では衰退します」と述べています。
最終的に、AI によってすべての業界におけるワークフォースのスキルセットが一般化され、人間だけが持つ能力が再び優先されることになります。
対談の最後に、AI の導入においては部門間の連携が非常に重要であるという指摘が出ました。AI による業務への影響は非常に広範囲におよぶため、部門間で緊密に連携しないとサイロ化が発生するリスクがあります。
イノベーションは、人と人とのつながりの中でこそ繁栄し、分断の中では衰退します。
- Workday、最高ラーニング責任者、
Chris Ernst
AI の導入時に各部門が適切に連携することにより、人事部門のリーダーは、断片化されたテクノロジー導入アプローチを、各部門のニーズと組織の目標に沿った統一的な取り組みに変えることができます。
最も心強く、これからの未来に期待を抱かせてくれるメッセージはこれです。すなわち、AI 革命の本質は、どこまでも人間中心であるということです。
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