従業員の生産性を向上させる「秘訣」はありません
従業員の生産性は、業務がどのように設計されているかで決まります。従業員が能力を発揮して成長できる環境を構築するのは、リーダーの役割です。
Sara Braun
人事担当編集ストラテジスト
Workday
従業員の生産性は、業務がどのように設計されているかで決まります。従業員が能力を発揮して成長できる環境を構築するのは、リーダーの役割です。
Sara Braun
人事担当編集ストラテジスト
Workday
生産性を高める解決策が次々と登場しているにもかかわらず、組織は未だにパフォーマンスを高める環境の整備に苦慮しています。Gallup 社の『2026 State of the Global Workplace』レポート によると、世界各国の従業員のうちエンゲージメントの高い従業員が占める割合は 20% にとどまっています。また、エンゲージメントの低下が世界経済にもたらす生産性損失は 10 兆ドルと推定されています。
即効策は、複雑な組織の問題にシンプルな答えを提示してくれるため、魅力的に映ります。しかし生産性の向上は、人材が働く環境・条件に左右されます。従業員には、適切な情報、明確な優先事項、そして価値を創出する業務に取り組む十分な時間が必要です。
リーダーが従業員の生産性を改善するには、個々の戦術に目を向けるだけでなく、業務の進め方に影響を及ぼすシステム全体を見直す必要があります。
レポート
エンゲージメントの低下が世界経済にもたらす生産性損失は 10 兆ドルと推定されています。
従業員の生産性は、従業員が自身の時間、労力、リソースを価値ある業務へとどれくらい効果的に転換できるかを測定する指標です。この指標は従来、以下の単純な式で表すことができます。
生産性 = アウトプット ÷ インプット
しかしアウトプットだけで全体像を把握することはできません。リーダーは創出される業務成果の質も考慮する必要があります。短時間で多くの業務を完了しても、その業務が正確でなかったり、やり直しを生じさせたり、ビジネス目標に貢献しなかったりする場合、生産性が向上したとは必ずしも言えません。
幅広い視点で見ると、従業員の生産性に影響する要因には以下が含まれます。
これらの要因の一部は、従業員が働く環境条件に影響されます。183,000 以上のビジネス ユニットを対象に実施した Gallup 社の分析によると、エンゲージメントの高いチームは生産性が 14% 高くなっています。これは生産的な従業員、従業員エクスペリエンス、組織パフォーマンスとの間に関連性があることを示します。
つまりリーダーが生産性を高めるには、従業員が完了する業務量だけでなく、業務の価値をどれだけ効果的に創出しているかを見極める必要があります。
従業員の生産性を向上させる即効策や「秘訣」は存在しません。パフォーマンスは従業員エクスペリエンスのさまざまな要素が相互に関連し合って形成されるからです。従業員の生産性向上に注力する組織は、パフォーマンスを支援または阻害する構造的要因に対応することで、有意義な成果を達成しています。
このようなプロセスは、従業員が業務を実際にどう行っているか理解することから始まります。以下では、組織が生産性を高める環境を整備するために役立つ 4 つのベストプラクティスをご紹介します。
従業員の生産性を向上させる「秘訣」は存在しません。パフォーマンスは従業員エクスペリエンスのさまざまな要素が相互に関連し合って形成されるからです。
生産性を妨げる摩擦は通常、情報の検索、不整合データの照合、重複作業の対応、不明確な引き継ぎによる待機、一貫性のないプロジェクト管理手法への依存など、日常的に繰り返されるささやかな業務に現れます。チームやワークフロー全体で見た場合、このような摩擦がもたらす遅延はかなりの時間や労力を消費します。
摩擦の原因を特定するには、以下の点について検討します。
統合データ、自動化、AI は、こうした負担を軽減できますが、不備のあるプロセスをテクノロジーだけで解決することはできません。組織はテクノロジーと並行してワークフローを改善し、従業員が労力を効果へと転換できる直接的な道筋を提供する必要があります。
企業目標がどのようなものか、自身の業務が企業目標にどう貢献するか、成功するとどのような成果が得られるかを理解すると、従業員のパフォーマンスは向上します。優先事項を明確に理解し、適切なスキルを身に付けている人材は、AI や自動化が日々の業務を変える中でも、価値の高い業務に取り組むことが容易になります。
スキルトレーニングを優先すべき投資先の 1 つに位置付けているリーダーは 66% に上る一方、AI 関連のやり直し作業を最も多く経験している従業員のうち、トレーニングの機会が増えていると回答する従業員は 37% にとどまっています。以下を行うことで、リーダーやマネージャはこのギャップを解消できます。
スキルベースのアプローチを採用することで、企業が最も必要とする能力とこうした取り組みを整合させることができます。
価値の低いタスクを取り除くことで、生産性が向上する可能性は高まります。しかし自動化で時間が節約されたからといってすぐにタスクを追加すると、従業員はより多くの業務を完了できるようになるかもしれませんが、価値は創出されない可能性があります。
Workday の 2025 年グローバル ワークフォース レポートによると、多くのリーダーは AI によって創出された時間を戦略的業務や業務の効率化に振り向けようと考えています。節約された時間を従業員の AI スキル向上に再投資することを優先的に考えている組織は 29% にとどまっています。
代わりに、組織はこうした余力時間の一部を長期的なパフォーマンスの向上につながる取り組みに再投資することもできます。これには以下が含まれます。
このような活動を行う時間を確保することで、組織は効率化がもたらすメリットを持続可能な生産性へと転換できます。
組織が生産性をどのように測定するかは、従業員が時間の優先順位付けをどう行うかに影響を及ぼします。
組織が生産性をどのように測定するかは、従業員が時間の優先順位付けをどう行うかに影響を及ぼします。完了したタスク数、節約された時間数など、活動指標は業務がどの程度完了しているかを示しますが、その業務が価値を生み出しているかどうかは示しません。生産性を真に改善するには、活動だけでなく、成果、質、効率性、持続可能性を評価する必要があります。
代わりに、リーダーは生産性をさまざまな側面から評価することもできます。
これらの指標を組み合わせることで、リーダーは生産性のレベルや、業務によって価値が創出されている領域、プロセス、テクノロジー、支援方法を変える必要がある領域を明確に把握できます。
従業員の生産性は、従業員を取り巻く環境と密接に結び付いています。ポジティブな環境は、職務の満足度、従業員エンゲージメントや定着率、高いパフォーマンスを持続する能力にも影響を与えます。
あらゆるワークフロー、システム、優先事項、スキル要件、パフォーマンス指標は、従業員が自身の労力をどれだけ容易に有意義な成果へと転換できるかに影響します。こうした要素が整合されると、人材は摩擦に対応する時間を減らし、最も効果的な領域で自身の判断力、専門性、創造性を発揮することに時間を振り向けることができます。
リーダーの取り組みは、組織全体で業務がどのように進められているかを理解することから始まります。その上で成果の質、価値、および成果を達成するために必要となったやり直し作業を考慮して生産性を測定します。
このような幅広い視点から生産性を捉えることで、組織はワークフォースの生産性を持続的に向上させることができます。このような組織は、業務のあり方が進化し続ける状況下においても、変化に適応し、組織に貢献し、価値を創出するワークフォースを構築できます。
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