要点 3: 理解しているかどうかを確認する
「知っていること」よりも「学ぶこと」の方が多いこの時期に、大規模な変革に取り組んできた自身の経験を共有する役割として、Morris はまさに適任でした。Morris のアプローチは斬新なものでした。「自分が何を知らないかを周囲に伝えることすら、極めて強力な力になるのです」と Morris は言います。
Morris は、誠実にリーダーシップを発揮することを重視しました。これは、「誠実であること」が正しいと考えただけでなく、中途半端に正しい答えを示すよりも、分からないことは分からないと正直に答えた方が社員から信頼されると考えたためです。
Morris は、Chevron 社で Workday を導入した際に、このことを身をもって体験しました。55 か国にまたがるこの導入プロジェクトは、非常に困難なものでした。「メッセージを上から順に伝達していく方法では効果がない場合があります」と Morris は言います。
Morris は、大規模なプロジェクトの場合、メッセージを一方的に発信するのではなく、「理解しているかどうかを確認する」という方法を実施することを推奨しています。たしかにコミュニケーション自体にも力はありますが、それを効果的に行うことはビジネスにおいて極めて重要です。画一的なコミュニケーションが常に最善の方法になるわけではありません。相手に応じて表現や伝え方を変えることにより、より深い理解を促すことができます。
これは、Chevron 社における Morris の後半のキャリアにおいても同様でした。Morris は Chevron 社の CIO を務めると同時に、全社的な AI 導入におけるエグゼクティブ スポンサーの役割も担いました。ワーキング グループとの話し合いの中で、Morris は技術チームが進める施策を完全に理解するのは難しいと感じました。その大きな理由は、難解な技術用語が多用されていたことでした。「施策の内容を復唱できますか?」と尋ねられたとき、彼女はうまく説明できませんでした。そこで技術チームは、人事担当者でも理解できるような説明方法に変えたのです。
もちろん、説明方法の変更を求めない方が手間もかからず、自分の弱みをさらけ出さずに済んだでしょう。しかし、AI に関する不確実な状況に対処するには、自分自身と相手に対して「自分がどこまで理解しているのか」を正直に認めることが非常に重要です。「すべての正解を知っている人」になるためにはタイムマシンが必要になりますが、Morris は技術チームとの対話において「知っている人」ではなく「学ぶ人」であろうとしました。この姿勢が、Morris 自身だけでなく、一緒に働くチームと組織全体に前向きな影響をもたらしたのです。
だからこそ、質問するのを遠慮する必要はありません。理解できないことがあれば、それを素直に認めればよいのです。その方が、話し合いに参加しているすべての人にとってメリットになります。