デジタル ワークフォースの経済学
最高財務責任者 (CFO) が AI エージェントの価格設定を行うには、AI エージェントが処理するプロセスを明確にし、その役割をテクノロジーと労働力の両面から定義して、測定対象をシート数から成果へと移行する必要があります。
Bryan DeGraw
プリンシパル、ソリューション インテリジェンス部門リーダー、The Hackett Group 社
Workday
最高財務責任者 (CFO) が AI エージェントの価格設定を行うには、AI エージェントが処理するプロセスを明確にし、その役割をテクノロジーと労働力の両面から定義して、測定対象をシート数から成果へと移行する必要があります。
Bryan DeGraw
プリンシパル、ソリューション インテリジェンス部門リーダー、The Hackett Group 社
Workday
私が CFO と戦略的変革について話すときに最初に伝えるのは、「損益計算書、予算、組織図についてはすべて忘れてください」ということです。そう言うと、驚いたような表情をされたり、眉をひそめられたりすることがあります。しかし、これは重要なことです。なぜなら、何十年間も続いてきた財務業務のやり方が変わりつつあるからです。
財務部門のリーダーなら誰でも、新入社員のオンボーディング方法を知っています。その社員には役割があり、給与が支払われ、上司がいて、いずれかの組織に属しています。財務部門のリーダーは、新しいソフトウェアを導入する方法も知っています。ソフトウェアにはライセンスがあり、導入スケジュールがあり、予算上の項目があります。この 2 つを組み合わせれば、企業として必要なほぼすべての業務に対して費用を支払うことができます。これまでのところは。しかし、AI が普及している現在は、企業が AI エージェントによる成果に対して予算を編成して対価を支払う方法が変わりつつあります。
従来のシステムは、人間とソフトウェアを対象として開発されているため、その両方の性質を持つ AI エージェントには対応できません。
債権回収や仕訳データの入力を担当する AI エージェントには、上司も報告系統も存在しません。また、ライセンス料金が段階的に変動する仕組みもありません。あるのはワークフローです。組織図には役職が記載され、損益計算書にはコストが記載されますが、どちらにも実際の業務 (AI エージェントや社員が実際に行う一連の手順) は記載されません。
従来のシステムは、人間とソフトウェアを対象として開発されているため、その両方の性質を持つ AI エージェントには対応できません。では、長年にわたって管理と支援を行ってきた人的ワークフォースにこの新しいデジタル ワークフォースを統合するにはどうすればよいでしょうか。人間と AI エージェントの両方から構成される組織の価格設定、資金調達、管理を行うには、新しい戦略と視点が必要になります。
ここでは、財務部門のリーダーが新しいデジタル ワークフォースの財務面について理解しておくべきことを紹介します。
ガイド
最初のステップは、自社のプロセスをマッピングすることです。Hackett 社が、一般会計、買掛金、税務、財務、プランニングなどの業務をベンチマークする際には、クライアントに対して最初にプロセス定義を提示します。そして、組織全体で、実際にその業務を行っているのは誰なのかを特定してもらい、FTE 数、時間、コストを把握します。
この分析は、組織の規模や範囲によっては、想像以上に難しいものになることがよくあります。そして、必ずと言っていいほど思いがけない発見があります。
ある会計責任者が自信満々に「この業務を担当しているのは 10 人です。これだけいれば余裕ですよ」と言っていたのを覚えています。ところが、全社を対象にデータ収集を行ったところ、この会計責任者の組織図にはまったく記載されていないにもかかわらず、組織全体に分散して財務業務を行っている人が 20 人近くいることが分かりました。
最初にプロセスを明確に把握しておかなければ、特に AI エージェントが関係する場合、自社のコストを正確に把握することはできません。AI エージェントをワークフォースに統合した場合のコスト削減効果を予測しようとしても、正確な予測にはなりません。
業務の全体像を把握したら、ワークフローのどこにエージェントを組み込み、どの業務をエージェントに任せるかを検討します。
業務の全体像を把握したら、ワークフローのどこにエージェントを組み込み、どの業務をエージェントに任せるかを検討します。
何が「デジタル ワーカー」に該当するのかを理解することが重要です。現在、その定義は広がっています。AI エージェントは、エンジニアリングの観点からはソフトウェアとして扱われますが、経済的な観点からは労働力になります。ある観点から見れば負債になり、別の観点から見れば資産になります。
デジタル労働は、バランス スコアカードのように追跡するのが効果的です。これは、財務面と業務面の両方から、テクノロジー、労働力、プロセス、業績の各項目にまたがってコストとメリットを把握するという方法です。単にエージェントに名前を付けるということではありません。バランス スコアカード アプローチにより、ソフトウェアと労働力の両方の性質を持つ AI エージェントのインサイトを得ることができます。
スコアカードを作成したら、エージェントのキャパシティと組織内での役割を検討し、運用モデルにおけるエージェント型 AI の財務ガバナンス戦略を策定します。
従来のソフトウェアの価格設定モデルは、ライセンス料金、導入費用、使用量にはほとんど左右されない固定料金という予測しやすいものでした。料金は、成果に関係なく設定されていました。
デジタル労働力の場合は異なります。走行距離制限付きで車をリースする場合に似ています。走行距離はリアルタイムに表示されます。ただし、請求額が少ないことが必ずしも良いこととは限りません。エージェントを導入する目的は、生産性の向上、コストの削減、業務品質の向上です。コストを価値に変えるには、エージェントを効果的に活用する必要があります財務部門のリーダーは、エージェントの使用量が多いことが実際の価値を反映しているのか、それとも予算外のコストが急増しているのかを把握する必要があります。
これにより、従来の予算編成編成の方法が変わりつつあります。デジタル労働力がシート数に対応しないのであれば、CFO は何を基準に予算を策定すればよいのでしょうか。重要なのは、業務そのものです。つまり、ソフトウェアへのアクセス単位ではなく、生産性の単位が焦点になります。実際には、エージェントによる成果に対して予算を策定することになります。
これは、プロビジョニングされるソフトウェア ライセンスの数を基準に予算を策定するのとは大きく異なります。
予算策定の基準がシート数から成果に移行すると、サイクル タイムの短縮とコストの削減を混同しやすくなります時間の節約が、必ずしも資金の節約につながるわけではありません。サイクル タイムが短縮されてエラー率が下がっても、同じ社員が引き続き同じ業務を行っている可能性があります。ヘッドカウント根本的なコスト構造が実際に変わらない限り、コスト削減を実現したことにはなりません。既存のチームが同じ業務をこれまでよりも速く処理できるようになっただけのことです。財務部門のリーダーは、統合に関するコストについても考慮する必要があります。それは、AI の生成物が正しいかどうかを確認したり、システム間の連携を調整したり、手作業による追加の照合作業や例外処理に対応したりするための時間です。これは、AI でプロセスを自動化するかどうかにかかわらず継続的に発生するコストです。新しいテクノロジーの価値を適切に評価するには、最初にこのコストを特定する必要があります。
AI を単なるツールの集合体として捉えるのではなく、業務上の成果のポートフォリオと捉えて投資することが重要です。
Hackett Group 社が実施した『2026 AI World Class Finance』調査では、既存の業務を単に自動化するのではなく、AI を中心にプロセス全体を再設計することにより、企業全体のパフォーマンスが最大 75% 向上するという結果になっています。こうした企業は、受注から入金までのプロセスだけを見ても、以下のような成果を上げています。
この成果は、単にツールを導入するのではなく、プロセスの再設計が大きな効果を上げた場合にのみ実現します。
私はクライアントに対して、AI を単なるツールの集合として捉えて投資するのをやめるように勧めています。測定可能な業務上の成果のポートフォリオとして投資することが重要です。ツールを購入すると考えるのではなく、問題を解決する手段として AI を捉える必要があります。
最初に、ニーズを特定することが重要です。実際には、財務部門のリーダーがすでに責任を負っている以下のようなビジネス上の成果から始めることになります。
最初に機能を購入してから用途を検討するのではなく、ニーズに適したテクノロジーを検討することが重要です。これにより、戦略、アプローチ、ツールを適切に調整し、AI エージェントと人間から構成される新しいワークフォースから真の価値を引き出せるようになります。
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