新たな調査: スキル ギャップの拡大が AI 投資効果の活用を困難にする
Workday は 25,000 件以上の求人情報を分析した結果、AI 技術スキルに対する需要が増加している一方で、AI イネーブルメント スキルの需要が減少していることを特定しました。これは AI 投資の ROI を低下させる恐れがあります。
Ashley Goldsmith
最高人財責任者
Workday
Workday は 25,000 件以上の求人情報を分析した結果、AI 技術スキルに対する需要が増加している一方で、AI イネーブルメント スキルの需要が減少していることを特定しました。これは AI 投資の ROI を低下させる恐れがあります。
Ashley Goldsmith
最高人財責任者
Workday
過去 12 か月における AI の主要な動向は、これまでと同様の展開を見せています。能力の進化、ヘッドカウントの抑制、ツールの増加、人財の役割の変化です。しかしこのような大きな流れの裏側では別の動きが浮上しています。
当社は 2025 年 7 月から 2026 年 4 月にかけて Workday リクルーティングを使用する 300 社以上のグローバル企業 (テクノロジー企業、金融サービス企業、ヘルスケア企業、プロフェッショナル サービス企業など) を対象に最新の調査を行い、25,000 件以上の求人情報を分析した結果、明確な二極化が進んでいることを特定しました。AI を構築するスキルの需要が高まっている一方で、ワークフォースの AI 活用や拡張を支援・促進するスキルの需要は低下しています。
このようなギャップは単なる採用の問題ではありません。ROI やイネーブルメントの問題であり、リーダーシップの問題になりつつあります。
このようなギャップは単なる採用の問題ではありません。ROI やイネーブルメントの問題であるだけでなく、リーダーシップの問題になりつつあります。
「方向性を伴わないスピードはコストと化します」と、Workday の職場心理学者である Liz Pavese 博士は述べています。Liz は最近、このテーマに関するコラム『流行語を超える』を執筆しています。「企業は急速に AI インフラを構築していますが、人財を管理するインフラがない場合、これらの新しい機能をすべて活用できなくなるでしょう」
レポート
職務補充依頼データに基づいて技術スキルとデプロイメント スキルの需要動向を把握するため、当社はスキルを 4 つのグループに分けて分析しました。
これらのスキルはそれぞれ異なる役割を担いますが、相互に連携・作用します。技術スキルはテクノロジーを構築し、その他のスキルはテクノロジーを組織内で活用できるようにします。以下の表は、求人情報に占める技術的スキル、ラーニング/トレーニング スキル、プロジェクト推進スキルの需要が 2025 年 7 月から 2026 年 4 月にかけてどのように変化したかを示しています。それらの傾向は明確です。AI 技術スキルの需要は最大 130% 増加している一方、ラーニング スキルとプロジェクト推進スキルの需要は 6% ~ 21% 減少しています。
AI 活用スキル (AI ツールを日常業務で実際に使いこなす能力) は最も示唆に富む動きを示しています。このスキル セットに対する需要は一貫して減少しているのではなく、業界によって異なる動きを見せています。金融サービス業界とヘルスケア業界では、需要が 1 月まで増加した後、4 月に減少に転じている一方、プロフェッショナル サービス業界ではどの時点でも一貫して減少しています。4 月時点ではすべての業界で AI 活用スキルの需要が過去最低水準に落ち込んでいます。
4 月に AI 活用スキルの需要が低下する現象は偶発的なものではありません。会計年度の予算サイクルと一致しているからです。AI 技術スキルの需要にこのような変化は見られません。需要は同じ期間を通して着実に増加しています。金融サービス業界では、新しい求人情報に占める AI 技術スキルの需要は 9 月から 4 月にかけて 2.8% から 3.9% に上昇し、テクノロジー業界では 7.4% から 9% に上昇しています。
AI の構築は戦略的な投資対象として位置付けられている一方、ワークフォースの AI 活用を促進する取り組みは、任意の予算項目対象と見なされているようです。
これは何を意味するのでしょうか。AI の構築は、年間を通じて予算が確保される戦略的な投資対象として位置付けられているようです。一方、ワークフォースの AI 活用を促進する取り組みは、任意の予算項目対象と見なされているようです。予算の更新時には資金が投入されますが、業績が求められる四半期末には削減される傾向にあります。
すべてのスキルが重要である理由は、新しいツールを導入するだけでは、企業が期待する成果を達成することが難しいからです。当社の調査によると、トレーニングを実施せずにツールを導入した場合、非効率性と手戻りによって高額なコストが発生します。
アナリストは AI が生成した回答をいつ信頼し、いつ再確認すべきかを見極めます。プロジェクト コーディネーターは、新しい AI 主導のワークフローをチームが実際に運用できるプロセスへと変換します。トレーナーは、AI ツールの存在を認識しているレベルから自信を持って活用できるレベルへと社員を引き上げ・指導します。これらのスキルのカテゴリはそれぞれ異なりますが、すべてのスキルが連携することにより、技術的能力はビジネス成果と結び付くようになります。しかしこのようなスキルに対する需要は減少傾向にあります。
これは仮説的な話ではありません。Workday の最新調査は、以下を明らかにしています。
AI によって節約された時間のおよそ 40% は手戻りによって失われています。また、AI で正味の成果を具体的に達成している社員は 14% にとどまっています。生産性の向上によって 10 時間節約できても、4 時間近くは AI の出力修正に費やされます。
AI で常に正味の成果を達成している社員は、組織環境に明確な違いがあります。AI 活用に苦慮しているユーザーと比較し、十分なスキル トレーニングを受けている可能性が 2 倍高く、79% は組織のスキル トレーニングが増加していると回答しています。
AI を主要なワークフローに直接組み込んでいる組織は 27% にとどまっています。つまりほとんどの AI は実際の業務に統合されておらず、補助的な役割を担っています。
これらすべての調査結果は、根源が同じ事象を異なる角度で示しています。つまり AI ツールの導入スピードは、AI ツールの価値を引き出すために必要な人的インフラを整備するスピードを上回っているということです。
プロジェクト推進スキルは、新しい AI システムを技術的な導入段階から日常運用へと移行させる役割を果たします。各業界でこのスキルに対する需要が最大 13% 減少した場合、企業は組織が活用しきれないほど大量のテクノロジーを生み出す恐れがあります。
ラーニング/トレーニング スキルは、ワークフォース全体の自信と能力を高める役割を果たします。大規模な技術変革が進む中、各業界でこのスキルに対する需要が最大 21% 減少した場合、組織はスキル再習得を個人の責任と見なし、組織の責任と見なしていない可能性があります。これは Workday の『生産性の先へ』レポートの調査結果と一致しています。同レポートによると、組織の 9 割近くは、資格条件に AI 関連のスキルを含むように職務内容を更新した数は半数未満であると回答しています。
意図と行動にギャップが生じていることは明らかです。同調査では、最優先すべき投資対象としてスキル トレーニングを挙げたリーダーは 66% に上るのに対し、手戻りが増えている社員のうち能力開発機会が増加したと回答した社員は 37% にとどまっています。
「これは高性能エンジンを購入した後、スパーク プラグの値段について財務チームと言い争っているようなものです」
-Workday、Liz Pavese 博士
Pavese は次のように述べています。「これは高性能エンジンを購入した後、スパーク プラグの値段について財務チームと言い争っているようなものです。すでに高性能なエンジンに投資していても、それを点火させる装置がなければ、高価な負債を抱え込んでいるにすぎません。今後 24 か月間に他社を先んじるためには、AI 活用能力に投資し、ユーザー イネーブルメントを単なるオプション プログラムと見なすことをやめる必要があります」
機械工学の世界では、スパーク プラグが欠けていたり、汚れが原因で機能しなかったりした場合、エンジンが失火を起こします。企業においては、このような失火が 37% の手戻りコストという形でデータ上に表れています。人間が点火できないため、高価なテクノロジーの能力が完全に無駄になっているのです。
先を見据えて四半期のワークフォース プランを策定するリーダー向けに、Workday の最新調査で明らかになった 3 つの具体的なインサイトをご紹介します。
1.技術スキルと業務スキルのバランスを取る:AI 技術スキルを持つ人財の採用数が 2 桁の伸びを示している一方で、AI を日常業務に活用するスキル、調整スキル、トレーニング スキルを持つ人財の採用数に変化がない (または減少している) 組織は、現在の人財プランで ROI を十分に引き出せない可能性があります。新たに採用した技術専門家が多数の AI 機能を生み出しても、その能力をビジネス価値へと転換する人財が不足している恐れがあります。データが示すように、AI で常に正味の成果を達成している社員は、AI 活用に苦慮しているユーザーと比較し、十分なスキル トレーニングを受けている可能性が 2 倍高くなっていることを忘れてはなりません。
2.予算サイクルと照らし合わせて行動を見直す:予算更新時に AI リテラシーの高い人財の採用が急増し、四半期末が近づくにつれて減少していく場合、予算プランに問題がある可能性があります。Workday の調査によると、組織が AI で節約したコストを再配分する場合、最も大きな割合を占めるのは依然としてテクノロジー (39%) であり、ワークフォースの能力開発 (30%) を上回っています。また、66% のリーダーがスキル トレーニングを最優先事項に挙げている一方、手戻り作業を経験している従業員のうちトレーニング数が実際に増えた従業員は 37% にとどまっています。持続可能な能力を育成するには、投資を持続する必要があります。
3.調整業務にかかるコストを間接費と見なすのをやめる:トレーニングの実施やプロジェクトの推進・管理を行う人財を減らすことは、業務を「効率化」するように思われるかもしれませんが、むしろ組織は AI 投資効果を活用する能力を低下させることになります。AI が生み出した効果をビジネスに結び付ける人財を削減する場合は慎重を期する必要があります。そのような人財を削減すると、AI のデプロイを成功させるために不可欠な能力を失いかねません。
この分析について: Workday はワークフォース トレンド調査を継続的に実施しており、その一環として Workday グローバル ワークフォース レポートを公開しています。上記の調査結果は、同レポートの AI およびワークフォース データに基づいています。4 つの業界の求人情報に基づき、現時点で確認できる主要な方向性を示しています。調査が進むにつれ、より具体的なトレンドが明らかになる予定です。
レポート