新たな価値を創造する人財マネジメント方針
新たな価値を創造する人財マネジメント方針 関西エアポートグループは、9つの事業会社と約4,000名の社員(うち外国籍19%)で構成され、世界レベルの人財育成と社員が喜びや誇りを持てる風土づくりを目指しています。同社は新たな方針として「『ワールドクラスの空港運営プロフェッショナル人財』の育成」を掲げ、「キャリアの自律」や「データドリブンな組織運営」をはじめとする5つのキーワードに取り組んでいます。執行役員 副最高管理責任者の伊藤利加氏は次のように語ります。
「キャリア形成においては、Job Posting Program(JPP)により、社員一人ひとりが自らのキャリアを選べる仕組みへと移行し、従来の年功序列型制度と併用しながら運用しています。人事部では職種別のキャリアパス計画の策定、ジョブディスクリプションの更新、ポジション期間の公開、JPP のプロセス改善に取り組みながら、社員がキャリアを選択しやすい環境づくりを進めています。2025年度の実績では、JPP の対象ポジション 104 件に対して 62%の配属率を達成しました」
人財データを起点とした経営基盤としてWorkday HCMを採用
同社がWorkday HCMを導入したきっかけは、JPPを中心とした人財マネジメント方針を実現することにありました。新制度の導入にあたり、既存の人事管理システムでは対応しきれないという課題がありました。旧システムでは人財データがグループ各社に分散しており、グループ全体を見据えた人財配置の最適化が困難でした。さらに、人財の多様化やグローバル化が進む中、多言語に対応した一貫性のある人事運用も求められていました。
こうした背景から、人財データを一元化し、データドリブンな組織運営を実現する基盤としてWorkday HCMを採用しました。グループ人事部 HRMSグループリーダーの田津原淳氏は次のように語ります。 「Workday HCMを選定した決め手は、人財データを起点として経営そのものの進化に貢献できることです。特に評価したのは、データを一元管理できること、リアルタイムで可視化・分析ができること、UIの使いやすさの3点です」
社員には、人と向き合う仕事だからこそ、データやAIを活用してスキル向上と業務効率化を進め、創出した時間を新たな価値の創造に充ててほしいと考えています。そのために、誇りと愛着を持って働ける環境づくりを目指します
伊藤 利加 氏 関西エアポート株式会社
執行役員 副最高管理責任者
段階導入によりクイックに効果を創出
Workday HCMの導入は2023年7月から着手し、Phase1としてコアHCM、目標&パフォーマンス、報酬管理、給与計算インターフェースの各モジュールを先行稼働させ、2024年4月より運用を開始しました。現在はPhase2として、2026年度末を目標に後継者育成プラン、キャリア育成、ラーニング、オンボーディングの導入を進めており、2027年以降はリクルーティングやプランニングの導入を検討しています。 「まずは最小限のコストで必要な機能をクイックに使いこなそうと考えたことが、段階導入を選んだ狙いです。社員がシステムに慣れてきた段階で、組織として必要な機能を順次実装していく計画で導入を進めています」(伊藤氏)
データドリブンな組織マネジメントの実現
Workday HCMの導入により、人事評価業務ではExcelファイルのやり取りが不要となり、人事部門の業務負荷を軽減し、総稼働時間は約20%削減されました。人事部門の担当者からは「全社の社員データ・組織が統合され、タイムリーに収集・分析できるようになった」「社員の目標や評価がデータベース化された」といった声が寄せられ、管理職からも「データドリブンな組織マネジメントができるようになった」といった評価が届いています。
また、Workday HCMのHRダッシュボード機能を活用し、データに基づく意思決定を実現しています。伊藤氏は「役員・管理職に対して、人事部門のマネージャーが社員の属性、パフォーマンス、ポジション、人数などをダッシュボード化して提供し、FTE(人員数)をコントロールしながら最適な組織づくりを支援しています」と説明します。 Workday HCMの活用はまだ始まったばかりであり、タレントデータの充実や社内での活用拡大はこれからの段階ですが、今後の方向性が明確になったことに手応えを得ています。
「経営層は人財の状況をリアルタイムで把握し、よりスピーディーに意思決定ができるようになりました。人事部は集計業務中心の働き方から抜け出し、より戦略的な仕事にシフトできています。社員にとってもキャリアや評価が見えやすくなり、自律的な成長につながっています。理想とする姿へ向かう道筋が見えてきたことが、最も大きな変化と感じています」(田津原氏)
今回の取り組みは単なるシステム導入にとどまらず、人事業務そのものを見直す機会となりました。業務の標準化・再設計を通じ、人財マネジメントのあり方を全社で議論できたことに大きな価値を感じています
田津原淳氏 関西エアポート株式会社
グループ人事部 HRMSグループリーダー
AIを活用した高度なマネジメントへ
今後はグループ全体のタレントデータをさらに集約し、組織構成や人員配置の見える化、後継者計画、タレントレビューといった意思決定に活用していく考えです。 「人財データを一元的に管理することは、高度な分析や活用を進めていくうえで重要な基盤になると考えています。最終的には、AIを活用して一人ひとりの能力を最大限に引き出し、組織全体の成果向上につなげることが目標です。そして、変化の激しい環境の中でも人財力を活かせる組織を実現し、世界水準の空港運営会社として成長を目指していきます」(田津原氏)