Avago 社はかつて Hewlett Packard 社の半導体部門でした。シリコン バレーに深く根を下ろしている同社は、世界の舞台で独自の地位を築いています。同社の製品は、スマートフォン、家電製品、企業向けのストレージやサーバー、産業用電子機器に使用されています。顧客には、LG 社、Samsung 社、Cisco 社、Siemens 社など、多数の大手企業が名を連ねています。
世界 10 数か国でオペレーションを展開する同社は現在、シンガポールとカリフォルニア州サンノゼの 2 か所に本社を構えてグローバル事業を管理しています。社員の職場環境をどの拠点でも一様に向上させるため、Avago 社は Workday を導入することを決めました。
費用対効果の高いグローバル ソリューションを追求
Avago 社でグローバル HRIS シニア マネージャを務める Chong Yee Lin 氏は、同社が上場する直前の 2008 年に開始された取り組みを次のように振り返ります。
「当社は業務プロセスをグローバルに統一できるエンタープライズ クラウド サービスを探していました。マネージャと社員向けのセルフサービスを提供したいと考えていたのです。直感的に使用できる単一システムを導入し、グローバルにロールアウトすることも考えていました」
Avago 社の 2 つのレガシー ERP システムはセルフサービス機能がなかっただけでなく、常に照合調整を行う必要がありました。一方のシステムから取り出したデータは、もう一方のシステムに手作業で入力していました。どちらのシステムからも完全なデータを取得できないため、人事部門はサードパーティのレポーティング ツールを使用していました。「多くの手作業が必要でした」と Yee Lin 氏は述べています。
同社はレガシー システムのような時間とコストのかかるプロセスを必要とせず、変更や更新を簡単に行えるシステムを求めていました。使いやすさも重要な検討事項に含まれていました。Yee Lin 氏は次のように述べています。「エンドユーザー テストを実施し、人財にシステムを評価してもらいました。彼らが選択したのは Workday でした。他のシステムと比べて外観や操作性が直感的でした」
Avago 社のチームが特にソリューションに求めていたのは高い費用対効果でした。「評価したシステムの中で最も堅牢で経済的なプラットフォームを選択することを重視しました」と Yee Lin 氏は述べています。
Avago 社はレガシー ERP システムの最新バージョンを検討しましたが、クラウドベース ソリューションを利用した方がコスト削減につながると即決しました。「Workday が SaaS (software-as-a-service) であることも主な決定要因の 1 つになりました。オンプレミス版を導入する場合と比較した結果、SaaS を利用した方がコストを削減できることは明らかでした」と Yee Lin 氏は述べています。
スムーズなインテグレーションを活用し、記録的な速さで導入
チームが Workday を選択した後は、いかに短期間でグローバルに導入できるかが焦点となりました。目標は7 か月間に設定されました。
Yee Lin 氏は次のように述べています。「私たちは不可能だと思いました。当時はオペレーション規模が 16 か国と、現在と比べてわずかに小さ目ではありました。それでも 12 の通貨と複数の言語要件に対応する必要があります。パートナーとなった Workday は、7 か月間で『完了できる』と提言しました。他社のアプリケーションを選択していたら、導入に 1 年以上かかったかもしれません。私たちは目標を達成することができました」
Workday システムのアップデートは年に数回行われます。これは Avago 社のアプリケーションが最新のイノベーションによって継続的に最新化されることを意味します。Workday の導入以前、Yee Lin 氏のチームには変更リクエストのバックログが山積していました。「バックログへの対応は 2 年かけて段階的に行っていく予定でした」と Yee Lin 氏は述べています。しかしバックログは Workday のアップデートを重ねるたびに減っていきました。
Yee Lin 氏は次のように述べています。「希望していた機能や必要不可欠な機能の多くがアップデートのたびに追加され、簡単に利用できるようになりました。 リリースによって標準提供される機能もあれば、設定が必要な機能もありました。私たちはどの機能を使用・優先するかを柔軟に選択することができました。機能をいつ有効にするかをチーム内で決めることができるのです」
グローバル企業のシステムは複雑です。Avago 社にもインテグレーションを必要とするシステムが多数存在します。また、他システムとのインテグレーションがスムーズだという要因も、Workday が選ばれた、大事な理由の 1 つです。
Yee Lin 氏は次のように述べています。「導入に際して重視していたことの 1 つは、本番稼働環境でインターフェイスに不具合が生じないようにすることでした。当社には 20 近くの社内インターフェイスが存在し、組織のさまざまなシステムにリンクされています。主要なインターフェイスは、プロビジョニング、物流、調達管に対応する ERP システムにリンクされており、ERP システムにデータを送信するために使用されます。組織内の特定のシステムにアクセスするための認証やシングル サインオンを作成するインターフェイスもあります。しかし最も不具合を生じさせてはならないインターフェイスは、給与計算システムにリンクしているインターフェイスでした」
導入全体はスムーズに行われました。人事部門やインターフェイスの観点から見ても問題は見当たらず、インターフェイスに不具合が生じることもありませんでした。地域の給与計算システムとの連携に欠かせないインテグレーションについても支障はありませんでした。
多数のシステムを 1 つに統合
導入から 3 年半が経過した現在、Avago 社は Workday エクスペリエンスの効果を強く実感しています。
Yee Lin 氏によると、同社は導入当初から財務面に成果が表れたことを確認しています。また、多数のシステムをひとつのシステムに置換したことで、働き方が改善されました。 Yee Lin 氏は次のように述べています。「メンテナンスの容易さとオールインワン システムがもたらすメリットを実感しています。外観と操作性は、どの機能を使う場合でも変わりません。以前は経費データが別のシステムに保存されていたため、従業員はシステムを切り替えてログインする必要がありました。現在は同じユーザー インターフェイスを通じてあらゆるデータを利用できます。 社員階層やマネージャと直属部下の関係など、承認に必要なすべての情報はひとつのシステムから確認できます。すべての部門が同じワークフローを使用するため、追加のトレーニングも必要ありません」
Workday の導入以前、同社は正確なグローバル ヘッドカウントを手作業なしで把握することができませんでした。データは各国から送信されたスプレッドシートを使用して手作業で入力する必要がありました。そのため Yee Lin 氏のチームはデータが届くまで入力を開始できませんでした。「途中でカウントに不整合が生じる場合もありました」と Yee Lin 氏は述べています。現在はいつでもグローバル ヘッドカウント レポートを利用できます。Yee Lin 氏は次のように述べています。「国の内訳やリアルタイムなヘッドカウント、社員数を確認することもできます。社員別や派遣社員別の内訳も簡単に確認できます。部門責任者は自身のリストをリアルタイムに表示できます」
Workday のリアルタイムな分析機能を使用すると、企業は特定の重要データを単一ビューで確認し、全体像を把握することができます。Yee Lin 氏は次のように述べています。「当社は重要なレポートをダッシュボードに表示することにより、すべてのマネージャがレポートを確認できるようにしています。すべての人事ビジネス パートナー向けの標準レポートとして利用する場合もあります。これらのレポートは、重要なプログラムのロールアウト中に利用しています」
「この機能を使用する利点は、世界各地の人事ビジネス サポート チームが閲覧できるレポートを一括提供できることです。必要に応じて地域別に内訳された単一の標準ビューを提供することもできます」
シンガポールとサンノゼの 2 拠点に本社を構える Avago 社は、両方のチームを管理する必要があります。Workday は 2 つのチームが同じ情報を閲覧できるようにすることで、同社のチーム管理をサポートしています。Yee Lin 氏は次のように述べています。「当社では、アジアから米国、米国からアジアなど、各国間でのレポートのやり取りが頻繁に発生します。報酬管理などのグローバル プログラムを米国からロールアウトする場合など、データの整合性に関する問題は以前よりも大幅に減りつつあります。また、マネージャと社員は自身のデータをロールアウト直後に確認することができます」
未来を見据えた環境作り
同社は Workday のモバイル機能がもたらすメリットについても実感しています。同社は現在、モバイル機器で受領書をキャプチャしているほか、さまざまな活用方法を見出しています。「モバイル機能は当社が力を入れたいと考えている分野の 1 つです。iPad やスマートフォンでダッシュボード レポートを確認できれば、確実にメリットがあります」と Yee Lin 氏は述べています。彼女はモバイル機器を通じてマネージャが承認を行えるようにしたいとも考えています。マネージャは単に情報を確認するだけでなく、状況に応じて容易に行動を起こせるようになります。
人事部門は現在、より戦略的な業務に時間を割くようになりました。Yee Lin 氏は次のように述べています。「以前のように手作業で入力を行う必要はなくなりました。人事部門は特別な設定をリクエストする必要がなくなり、管理能力が高まったと感じています。人事部門はこの管理能力を活用し、IT 部門と連携してより戦略的なインターフェイスの実現に取り組むことができます」
「財務部門は現在も管理業務を果たす必要があります。しかし Workday を使用することで、財務部門はより戦略的な業務を担うようになると考えています」と Yee Lin 氏は述べています。
「変化に対して抵抗を感じることは少なくありませんが、変化は容易に克服できることを当社の体験は裏付けています。 チェンジマネジメントは大きな課題になると考えていましたが、結果的に何の問題もありませんでした。 問題が起こらないことが最善の結果なのです」