エージェント型 AI とは?
人工知能は企業運営に欠かせない存在になりつつあります。そして AI 導入に成功している組織は、AI が常に進化していることを把握しています。企業が AI を使用して価値を実現しようと取り組む中、エージェント型 AI はその方法を大きく変えようとしています。
エージェント型 AI について
エージェント型 AI は人工知能の進化系です。分析、予測、データ生成を行うだけでなく、アクションを実行します。これまでの AI が意思決定やコンテンツ作成を支援していたのに対し、AI エージェントは意思決定を行い、アクション ステップをプランニングし、自律的にアクションを実行します。
Gartner® 社の予測によると、2028 年にはエンタープライズ ソフトウェア ソリューションの 3 分の 1 にエージェント型 AI が組み込まれ、日々の意思決定の 15% 程度が AI で自律的に行われるようになります。AI エージェントはすでに各業界で活用されていますが、その目的は多岐にわたります。たとえば病院では複雑な入院状況を管理するため、大学では個人に適した履修計画を提案するため、小売企業では在庫管理を最適化するために使用されています。
Workday では、エージェント型 AI を構築してプロセスを変革し、社内外のステークホルダーに優れたエクスペリエンスを提供しています。
エージェント型 AI の定義
エージェント型 AI は、自律的にアクションを実行するだけでなく、複数の AI モデルと適切に連携し、プログラムの動作範囲を拡大します。推論、学習、反復プランニングを使用し、組織内の動的・多層的な課題を処理します。
AI エージェントが他の AI と異なる点は、人間の関与をほとんど必要とすることなく、アクションを直接実行できることにあります。各システムをモニタリングして状況をリアルタイムに解釈し、接続されている複数のアプリケーションを使用してタスクを実行することができます。たとえば、物流プラットフォームに使用されるエージェント型 AI は、出荷遅延の検出、配送ルートの変更、顧客への通知、在庫データの自動更新など、さまざまなタスクを自律的に実行します。
エージェント型 AI は、数十年に及ぶ人工知能の開発と試行錯誤の積み重ねによって誕生しました。最初期の基盤から先進的・変革的な機能に至るまで、AI は時間とともに適応性、自律性、効果を高め、今なお進化し続けています。
数十年にわたる AI の進化
初期の基盤
1950 年代、AI はルールベースで動作し、厳密な if-then 命令に従って基本的な自動化を行うことしかできませんでした。適応力や学習能力は皆無でした。1960 年代から 1970 年代にかけては、人間の脳から着想を得たニューラル ネットワークがこの状況を打開し、AI に学習を模倣させる取り組みが開始されました。まだ初期段階でしたが、この取り組みは動的で柔軟性の高い AI システムの基盤を確立しました。
エキスパート システムの台頭
1980 年代にはエキスパート システムが登場し、AI はより人間に近い形で意思決定を行うようになりました。これらのシステムは大規模なルール セットを使用して専門家の推論方法を模倣しますが、静的ロジックに依存するため柔軟性に乏しく、新しい情報や情報の変化に対応することができませんでした。
機械学習の出現
1990 年代には機械学習 (ML) が転換期を迎え、AI はルールベースのアプローチから移行し、データを使用して学習するようになりました。この 10 年間で AI エージェントや強化学習の研究が開始されたことにより、AI は事前定義された命令のみに依存するのではなく、トライアンドエラーを通じて意思決定を行うようになりました。
ビッグ データとクラウド コンピューティング
2000 年代に入ると、計算能力の飛躍的な向上とクラウド コンピューティングの台頭により、AI の進歩が加速されます。大量のデータにリアルタイムにアクセスして処理を行えるようになったことで、AI システムは複雑化するタスクを効率的かつ適切に処理するようになりました。
生成 AI の躍進
生成 AI には、自然言語のプロンプトに基づいてオリジナル コンテンツ (テキスト、画像、コード、音声など) を作成する能力が加わりました。これにより、文章作成の支援、カスタマー サポートの自動化、デザイン アセットの生成など、さまざまなタスクに対応するインタラクティブな対話型 AI が誕生しました。
トランスフォーマー モデル、敵対的生成ネットワーク (GAN) など、生成 AI の基礎研究は 2010 年代から開始されましたが、生成 AI が世の中に普及・使用されるようになるのは、GPT-3、DALL-E、ChatGPT などのモデルが登場した 2020 年代初頭からでした。
これらのシステムは言語の流暢さや文脈の理解力を新たなレベルに引き上げましたが、動作するには人間のプロンプトを必要としました。生成 AI は提案や統合処理を行えますが、アクションや自律的な意思決定を行うようには構築されていませんでした。
エージェント型 AI
AI の最新の進化系であるエージェント型 AI は、機械学習と生成モデルを基盤にして構築されています。データを理解および生成するだけでなく、現実環境で自律的に動作してアクションを実行します。
このような変化により、AI の役割は人間に応答するツールから自律的にアクションを実行する協業者へと本質的に変わりつつあります。つまり AI システムはワークフローを最適化し、数多くの意思決定を行い、変化に動的に対応するようになります。これは私たちが新たな時代に突入することを意味します。
初期のルールベース システムから今日の自律型エージェントに至るまで、AI は能力を着実に高めてきましたが、その進化がとどまることはありません。エージェント型 AI は現時点の最新系に過ぎません。企業が AI 戦略の適性・効果を維持するためには、AI の動向を継続的に把握する必要があります。
エージェント型 AI により、AI の役割は人間に応答するツールから自律的にアクションを実行する協業者へと本質的に変わりつつあります。
AI という視点からエージェントを大局的に理解する
エージェント型 AI が勢いを増す中、このテクノロジーを AI という視点から大局的に理解することが重要です。エージェント型 AI は独立したテクノロジーではなく、他の AI システムの機能を基盤にして構築されています。ルールベースのロジックと確率論的モデルを活用することにより、高い自律性を持ってタスクを実行します。さまざまなタイプの AI がどのように情報を処理して結果を導き出すかを知ることにより、エージェント型 AI がいかに大きな可能性を秘めているかを理解できます。
決定論的 AI
事前定義されたロジックやルールに従います。入力内容が同じ場合は、出力内容を予測・再現できます。
制限
不確実性に対応できません。新しいシナリオに適応することもできません。
例
固定された閾値に基づいて融資を承認または拒否する決定木。
確率論的 AI
統計モデルやデータ パターンを使用して予測や出力を生成します。
制限
質の高い大規模なデータセットが必要になります。出力内容が異なる場合があります。多くの場合、結論に至るまでの経緯を説明できません。
例
プロンプトに基づいてテキストを作成する生成モデル (GPT-4 など)。
エージェント型 AI
確率論的モデル (LLM、RL など) を基盤にして構築されており、通常は決定論的コンポーネントを統合することにより、他のシステムと連携してアクションを実行します。
制限
多重システムのシームレスな調整、長期プランニングなど、開発途上の領域が残っています。
例
天候のモニタリング、ディスラプションの予測、配送ルートの変更、自律的な在庫データの更新などを実行するサプライチェーン エージェント。
まとめると、エージェント型 AI は独立したテクノロジーではなく、他の AI システムの強みを基盤にして構築された AI の進化系です。決定論的アプローチは構造性と信頼性を提供し、確率論的モデルは柔軟性とインサイトを提供します。エージェント型 AI はこれらの強みと自律的なアクション能力を活用することにより、組織の拡張性、適応性、応答性を高めます。
エージェント型 AI システムは、高い自律性を持って推論、プランニング、アクションを実行する能力が際立っています。
エージェント型 AI の主な特徴
エージェント型 AI システムは、高い自律性を持って推論、プランニング、アクションを実行する能力が際立っています。厳密なロジックや事前定義されたワークフローが必要な初期の AI システムとは異なり、エージェント型 AI は意図を解釈し、オプションを評価し、自律的に意思決定を行います。予測が難しい複雑な状況下においても同様です。
このような能力により、エージェント型 AI は柔軟性と主体性の両方が求められるビジネス課題を解決することができます。具体的には、以下のような処理を実行します。
自律的な推論
エージェントはビジネスの目的 (納期遅延の削減など) を解釈し、その達成方法を自律的に決定します。つまり制約を分析し、トレードオフを評価し、是正措置を講じます。
リアルタイムな適応性
エージェントは静的なスクリプトに従うのではなく、現在の状況に基づいて行動を調整できるため、状況の変化に応じて配送ルートを変更することも、予期せぬ要求に応えて人財を再配置することもできます。
マルチステップ タスクの実行
エージェントは単一のアクションを実行するだけでなく、ワークフローを実行できます。問題の特定から、他のシステム/エージェントのデータ収集、ソリューションの決定、問題解決に至るまで、単一のエージェントが一連の処理を実行します。
協調的なオーケストレーション
エージェント型システムは連携して動作するよう設計されています。あるエージェントは問題を検出し、他のエージェントは通信、在庫データの更新、ポリシー チェックなどを行います。人間が直接介入することなく、それぞれが自身のタスクを実行して共通の成果を達成します。
AI エージェントの複雑さはさまざまです。単純なルールベースのシステムもあれば、推論、学習、連携を行う完全に自律したシステムもあります。
AI エージェントのタイプ
AI エージェントの複雑さはさまざまです。単純なルールベースのシステムもあれば、推論、学習、連携を行う完全に自律したシステムもあります。エージェントは進化するにつれ、意思決定力、適応性、自律性を高めています。
ビジネスニーズに適したアプローチを特定するには、エージェントの違いを理解する必要があります。以下をご覧いただくと、エージェントの機能がいかに進化しているか、高度なエージェントが真のエージェント型システムの基盤をいかに構築しているかを理解できます。
反応型エージェント
反応型エージェントは、最もシンプルなタイプの AI です。ルールベース システム上に構築され、事前定義された命令に基づいて環境の変化に対応します。学習したり、変化に適応したりすることはできません。たとえば、特定のコマンド (スマート ライトの消灯など) に対し、事前にプログラミングされた応答を、推論や学習を行うことなく実行するバーチャル アシスタントは反応型エージェントに該当します。
モデルベース エージェント
モデルベース エージェントは、内部モデルを通じて周囲の環境を解釈するため、自身のアクションを推論し、情報に基づいて意思決定を行うことができます。例: このようなエージェントには、AI を活用して土壌水分、天候予測、作物ニーズをモニタリングして散水スケジュールを最適化する灌漑システムが含まれます。
目標ベース エージェント
目標ベース エージェントは、特定の目標を達成するよう設計されています。さまざまな戦略を評価し、自身のアクションを適応させることにより、目的の成果を達成します。たとえば、リアルタイムな交通状況に基づいて目的地までの最速ルートをプランニングするナビゲーション アプリは、目標ベース エージェントに該当します。
効用ベース エージェント
効用ベース エージェントは、特定分野の成果を最大化するよう設計されています。複数の要因を評価し、できる限り最善の成果が得られる方法を特定します。たとえば、配送ルートのプランニングだけでなく、燃費効率、配送時間帯、車両メンテナンス スケジュールに配慮してオペレーションを最適化するフリート マネジメント システムは、効用ベース エージェントに該当します。
学習エージェント
学習エージェントは、新しいデータやエクスペリエンスを処理することにより、時間とともに周囲への適応性や性能を高めていきます。これらのエージェントは自身のアクション プロセスや意思決定プロセスを動的に調整するよう設計されています。進化する市場動向に基づいて投資戦略を自動的に調整する財務ポートフォリオ管理は、学習エージェントに該当します。
協業型エージェント
協業型システム (マルチエージェント システム) は、単一のエージェントでは管理できない複雑な問題を他のエージェントと連携して解決します。配送ドローン、倉庫ロボット、自律走行トラックが連携してサプライチェーン全体を最適化する物流ネットワークは、協業型エージェントに該当します。
エージェント型 AI がもたらすビジネス チャンス
エージェント型 AI の動的な機能を使用すると、重要なビジネスニーズにリアルタイムに対応できます。オペレーションの最適化、社員/カスタマー エクスペリエンスの強化、成長源の創出など、各業界はさまざまな方法でこのテクノロジーの価値を実現しています。エージェント型 AI はすでに各業界で使用されています。主な例をいくつか見てみましょう。
現実世界の例: 業界別 AI ユース ケース
高等教育
高等教育業界では、パーソナライズされた履修計画がエージェント型 AI によって自律的に管理されるようにすることで、学生や教員をサポートしています。たとえば、エージェントは学生の遅延リスクを検出し、コースの空き状況、プログラム要件、学生の長期的目標を評価し、スケジュールの修正を提案します。さらに学生やアドバイザーへの通知を行い、サポート サービスを提案し、学位取得計画を調整します。人間の介入や手作業は一切必要ありません。
ヘルスケア
ヘルスケア業界では、エージェント型 AI が臨床環境内で人間とリアルタイムに協業しています。エージェントは救急入院の急増を検出し、患者のニーズを評価し、リソースの可用性 (ICU の病床数、人員数など) を確認して再配分や増員を行います。ケアを持続させるため、他のエージェントと連携して患者の退院や在庫管理の監視も行います。
小売
小売業界では、オペレーションとカスタマー エクスペリエンスの両方がエージェント型 AI によって動的・総合的に管理されています。たとえば、エージェントは製品需要の急増を検出し、在庫不足を予測するほか、既存の出荷ルートの変更や新しい発注書の発行に対応します。同時にプロモーション戦略を調整し、Web サイトのコンテンツをアップデートし、必要に応じてサポート チームへの通知を行います。
製造
エージェント型 AI はディスラプションや非効率性にリアルタイムに対処することにより、製造業界をサポートしています。たとえば、あるエージェントは機械のパフォーマンス低下を検出すると、別のエージェントを通じて診断を開始し、ダウンタイムが発生している間にメンテナンスが行われるようスケジュールを設定します。遅延を回避するため、製造スケジュールの調整や資材の再注文も行います。そのため組織は常に先を見据えて効率的にプロセスを実行できます。
金融
金融業界では、エージェント型 AI によって自律性/適応性の高いプランニングやリスク管理を実現しています。財務エージェントは市場変動の初期的兆候を検出し、ポートフォリオ戦略を調整し、影響を受ける製品を特定・警告します。コンプライアンス エージェントとアクションを統一し、すべてのアクティビティが規制要件を満たすよう調整することもできます。そのため組織は、スピードや応答性を犠牲にすることなく、リスクを最小限に抑えることができます。
通信
通信業界では、エージェント型 AI によってエンゲージメントがリアルタイムに管理されています。エージェントはソーシャル メディアでトレンドになっているネガティブなセンチメントを検出し、的を絞ったレスポンス キャンペーンを開始し、必要に応じて広告支出やメッセージ戦略を変更します。他のエージェントと連携し、カスタマー サポート、CRM、メール マーケティング ツールを管理して、一貫性の高いタイムリーな応答を提供します。
エンタープライズ ソリューション: Workday の事例
Workday では AI エージェントを使用し、経費管理の効率化、後継者育成プランニングの最適化、リクルーティングの変革に取り組んでいます。
Workday の経費管理エージェントは、領収書を自動的に項目化し、経費レポートを作成します。社員がホテルをチェックアウトする際に携帯電話で領収書の写真を撮影すると、エージェントが領収書から関連情報を自動的に抽出して新しい経費項目を作成し、適切な経費レポートに追加します。
後継者育成プランニングにおいては、AI エージェントを使用して各種要因 (現在のビジネスニーズ、必要なチーム スキル、予想される離職率など) を分析し、全国の潜在的な後継者に関する提案を取得することにより、あらゆるキャリア段階にある後継者と強力なつながりを維持しています。エージェントは潜在能力の高い社員を先を見据えて特定するだけでなく、将来の役割に備えてパーソナライズされた成長プランを生成することもできます。
Workday のリクルーティング エージェントは HiredScore* 機能を活用し、特定の職務に興味を示す可能性の高い過去の受動的候補者を発掘します。このエージェントは現在のビジネスニーズを理解し、候補者のプロファイルを分析することにより、アウトリーチの自動化、優秀な候補者の提案、面接のスケジューリングを実行します。
*HiredScore は Workday 傘下の会社です。
Workday はエージェント型 AI を使用して変革に取り組んでいます。これには経費追跡、後継者育成プランニング、リクルーティングの効率化が含まれます。
エージェント型 AI を導入するための戦略
最後のセクションでユース ケースや事例をご紹介しましたが、企業はこのほかにもさまざまな方法でエージェント型 AI を活用し、その価値を高め、目標を達成しています。エージェント型 AI の導入を成功させるには、このテクノロジーをビジネスでどのように活用するかを具体的に特定し、目標を定め、強力な実行プランを策定する必要があります。進捗状況を継続的にモニタリングする必要もあります。
エージェント型 AI をビジネスに導入するフレームワークを順に見ていきましょう。
1.問題を特定して定義する
まずは解決したいビジネス課題を具体的に明らかにします。機能やタスクを列挙するだけでなく、根本的な問題に焦点を当てます。たとえば、単に経費承認の自動化を目標とするのではなく、処理時間やエラーを削減しながらコンプライアンスを確保することを目指します。
2.ユーザーのニーズや懸念を把握する
ユーザーから継続的にフィードバックを収集し、問題点や改善の余地を特定します。エンドユーザーにプロトタイプを試してもらい、テクノロジーの運用状況を確認します。改善点と問題点を記録し、必要に応じて調整を行います。導入の各段階でこのプロセスを継続し、AI が既存のワークフローと確実に連携して業務を容易化・効率化するようにします。
3.データ戦略を策定する
エージェント型 AI システムの効果は、データの質の高さで決まります。プライバシー/セキュリティ基準が確実に遵守されるようにすると同時に、データを収集、クリーニング、ラベリングする戦略を策定します。入念に準備することにより、トレーニングや導入の過程でボトルネックが発生することを防止できます。
4.適切なツールやモデルを選択する
次に、ステップ 1 で特定したニーズを満たすツールやテクノロジーを選択します。先ほどご紹介したエージェント型 AI の各タイプを検討します。エージェント型 AI はあらゆるニーズを満たすわけではありません。たとえば自動化のみが目的である場合、ルールベース システムの方が適している場合があります。
5.プライバシーとセキュリティを優先する
最も重要なことは、新しい AI システムの環境と照らし合わせてデータ プライバシーを理解することにあります。強固なプライバシー/セキュリティ対策をシステムに構築して機密データを保護し、GDPR や CCPA などの関連規制が確実に遵守されるようにします。データ アクセス制御を定期的に監査し、機密情報を暗号化し、異常なアクティビティを自動的に検出するアラートを導入します。プライバシー バイ デザインの原則を開発プロセス全体に組み込み、個人情報とビジネス情報の両方をあらゆる段階で保護します。
6.リスクを認識、評価、軽減する
エージェント型 AI は新機能を提供するだけでなく、新たなタイプのリスクをもたらします。モデルのパフォーマンス、データの質、予期せぬ結果を定期的に評価します。これは導入時だけでなく、AI ライフサイクル全体を通して行います。同様に重要なことは、リスクを緩和する明確な戦略 (エスカレーション プロトコル、人間の関与を喚起するトリガ、フィードバック ループなど) を策定して弊害を削減し、組織の目標や価値観に基づいて AI を運用することです。
7. エージェントが各システムにアクセスできるようにする
エージェント型 AI の強みは、企業の各システムに保存されているデータを活用することで引き出すことができます。各エージェントはアクセス可能なソース (社内プラットフォーム、サードパーティ ツール、リアルタイム入力など) を使用し、推論、意思決定、アクションを実行します。
エージェントは連携して個々のコンテキストを集約し、ひとつの結果を生み出します。たとえば、あるエージェントは社員エンゲージメントに関するデータを評価し、別のエージェントは市場動向に関するデータを収集します。エージェント同士が連携することで、社内のニーズと社外の現状の両方が反映されたワークフォース プランが生成されます。エージェント同士をあらかじめ密接に結合する必要はありません。
8. テストとモニタリングを行う
厳密なテストは開発のあらゆる段階で不可欠です。AI システムが目的の成果を達成することを確認し、必要に応じて調整します。導入後は、パフォーマンスやユーザーのフィードバックを継続的にモニタリングし、最適化すべき領域を特定します。アップデートや再トレーニングを定期的に実施することで、AI は進化するニーズや課題に常に対応できます。
エージェント型 AI は、エージェント同士で連携して高い適応性を実現するシステムへと進化し、人間との協業を通じてさらなる進化を達成します。
将来に目を向ける
エージェント型 AI は、複雑さや変化に取り組む組織のコア能力となりつつあります。しかし真の力を発揮するのはこれからです。エージェントは相互に連携するだけでなく、チーム、企業、業界との連携に対応するようになります。
目標に基づいて安全な方法で連携するエージェント型 AI は、組織が知識を共有し、ディスラプションにすばやく対応し、単一のシステムでは対応できない複雑な問題を解決できるようサポートできます。
エージェントは成熟するにつれ、より広範なコンテキストを推論し、かつてサイロ化されていたデータセットにアクセスし、より多くの情報に基づいてアクションを実行するようになります。これは企業のインテリジェンスにかつてない可能性をもたらします。
エージェント型 AI は、エージェント同士で連携して高い適応性を実現するシステムへと進化し、人間との協業を通じてさらなる進化を達成します。このような変化を活用する企業は、進化の激しい相互接続された世界でイノベーションを創出し、確実に規模を拡張し、他社をリードすることができます。
AI によるビジネス変革を Workday がどのようにサポートするかをご覧ください。