1970年に1号店をオープンして以来、日本におけるファミリーレストランの先駆けとして、成長を遂げてきたすかいらーくグループ。現在は、和洋中をはじめとする各種テーブルサービスレストランを中核として、「食」を通しておいしさ・安全・安心・快適さを提供しています。現在、日本、台湾、マレーシア、アメリカに約3,000店舗を展開し、利用者は年間約3.5億人に上ります。
すかいらーくグループの優位性は、「日本最大規模の事業スケール」「多彩なブランドポートフォリオ」「規模の経済を活かした食材調達」「調達~製造、レストランへの配送、またデリバリーまで自社で行う垂直統合サプライチェーン」にあります。コロナ禍の影響から脱却し、再び成長路線へと歩み始めた現在、成長戦略を積極的に推進しています。
導入の背景(課題と選定の理由)
すかいらーくホールディングスは中長期の成長戦略としてDXによる生産性の向上、高収益体制への変革を掲げています。その取り組みの一環として、管理会計クラウドシステムを導入することとなりました。
従来、予算編成や見通しを作成する際、膨大な数のExcelファイルを収集し、データ集計作業だけで3日以上を要していました。そのために人為的ミスが発生しやすく、分析に割く時間も不足しがちでした。アドホックに明細を比較するにも複数のファイルを開き、比較や分析用に新たなファイルを作成するなど、データを揃えるだけでも時間が必要でした。
また大きな課題として、店舗に提供しているPLは成績評価用に特化しており、店舗で管理可能な経費だけを計上していたため全社業績と連動しておらず、店舗と経営層で共通の課題認識を持つことが困難でした。また会計上の店舗PLに計上されるべき費用が一部計上されていないため、店舗の収益性分析を完全な形で行えていないという課題を抱えていました。
こうした課題を解決するため、以下のポイントを重視してAdaptive Planningを選定しました。
- クラウド型: 常に最新機能を利用することができること
Webブラウザ上での操作性:データ入力や簡単な分析が可能であること
コストパフォーマンス: 他社製品と比較して、利用料と開発コストがリーズナブルであること
非財務データ連携: より高度な分析や詳細な計画作成のために必要な来店人数や店舗の労働時間、電気使用量などの非財務データを効果的に活用することができること
既存ロジックの活用: 従来から使用していた計画作成ロジックをシステム化することで、スムーズな移行ができること
財務本部はデータ分析を高度化させて、経営陣にとっての戦略的なビジネスパートナーとなる必要があります。各部門にも財務数値を元に的確にアドバイスする必要があります。まずはWorkday Adaptive Planningをより使いやすくして、現状の課題を分析し、精度の高い予測ができるようになっていきたいです
菊池 秀明氏、財務本部 全社予算管理グループ上席スタッフ
計画・実績の一元管理で、迅速かつ正確な経営分析が可能に
2023年2月にAdaptive Planning導入プロジェクトがスタートし、現在は各社の財務会計システムからの実績を取り込んで管理連結の集計自動化、連結予算作成、連結月次着地見通し作成などに活用しています。経営層への報告資料は、Adaptive Planningで作成されたレポートを出力して、PowerPointで作成しています。「これまでの計画作成は、大量のExcelファイルを収集し、集計する作業だけで3日間以上かかっていましたが、数時間で完了できるようになりました」と比嘉氏はいいます。
経営戦略に基づいたドライバー(指標や変数)を設定し、客数や売上高などのトップラインに連動した変動費の計算をシステム化することで、人為的なミスを減らし、計画精度が向上しました。そしてシステム上で積み上げや配賦を駆使して、連結計画と整合する店舗単位(最小粒度)の計画値を作成できるようになりました。また、実績データを一元管理し、計画との比較分析を容易に実施できるようになり、より早いレポート作成が可能になりました。これまで作成していた店舗向けの成績評価用のPLを廃止し、会計実績PLに1本化したことで、店舗と経営層が同じ指標を見ることができるようになり、店舗と本部で課題認識や対策のズレをなくすことができました。
国内で最大級の店舗数を有するすかいらーくレストランツグループでは、客数やスタッフの労働時間、水道光熱費利用量などの非財務データも連携されています。これまでExcelでは分析しきれなかった詳細な粒度でバージョン間の比較もできるため、見通し精度の向上に役立っています。個店に計上していなかった費用実績もシステム上で配賦し、店舗の利益の積み上げがグループの利益の積み上げと一致するように改善し、店舗ごとのパフォーマンスを正確に評価できるようになりました。
今後は外的環境や社内の先行指標の変化にあわせてタイムリーに計画を修正し、課題を明らかにして、経営の意思決定に貢献できる組織へ変化していきたいと考えております。 まだビジネスロジックやシステムのパフォーマンスでも改善すべき点は多く、継続的に改修してきます。従業員全員がモチベーション高く働けるように、データ分析をさらに深化させ、経営戦略の立案や実行に貢献できるチームへと進化していくことを目指しています。
Workday Adaptive Planningの導入により、データドリブンな経営へ向けて一歩を踏み出しました。今後も、積極的に新たなテクノロジーを取り入れ、経営の意思決定を支援できるように、システム上のビジネスロジックを改善していきます
比嘉 光輝氏、財務本部 全社予算管理グループ 全社予算管理チーム スタッフ
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