現場の社員は、顧客への対応、商品の生産と配送、機器の操作など、組織を運営するために不可欠な業務を担当します。どの業界においても、現場の社員は、自社の製品やサービスを必要とする人にそれを直接提供するという役割を担っています。
Workday が作成した現場の社員に関するレポートでは、米国の労働者の 82% と、世界中の労働者の 27 億人が「現場の社員」というカテゴリに該当します。ビジネスの継続にとって不可欠な現場の社員は一般の人たちの目に留まりやすいため、現場の社員を通じて企業のブランド価値とサービス品質が反映されることになります。現場の社員は、ますますデジタル化が進む現在のビジネス環境において、顧客満足度と顧客ロイヤルティを育む人間的なつながりを維持するという重要な役割を担っています。
現場の社員とは
現場の社員とは、顧客、クライアント、患者、一般の人たちと直接やり取りすることを主な業務とする社員、または企業の日常的なビジネスにおける中核的な業務を担当する社員のことを指します。
どのような現場においても、こうした社員の存在は非常に重要です。さまざまな業務が現場で行われますが、多くの場合、迅速な思考力、適切な判断力、柔軟な適応力が求められる変化の激しい環境で業務が行われます。現場の社員はほぼすべての業界に存在し、「フロントライン スタッフ」、「フロントライナー」、「エッセンシャル ワーカー」(新型コロナウイルス感染症のパンデミック時に普及した用語) と呼ばれることがあります。
こうした現場の社員は、以下に示す理由により、企業の成功に直接的な影響を及ぼします。
- 第一印象の形成: 顧客と現場の社員との最初のやり取りで、その後の関係全体の雰囲気が決まってしまうことがよくあります。
- ビジネスのスムーズな進行: 現場の社員により、日常的なプロセスが効率的に処理され、サービスの遅延や障害が回避されます。
- 顧客満足度への影響: 現場の社員による行動とサービス品質は、顧客が感じる満足度に直接影響します。
- 顧客ロイヤルティの向上: 現場の社員の前向きで一貫した姿勢により、ビジネスのリピート率と顧客との長期的な関係が促進されます。
混乱する現在のビジネス環境では、現場の社員の価値が高くなっています。多くの患者を管理するヘルスケアの専門家、生活必需品の供給を担当する小売チーム、サプライ チェーンを維持する物流担当者など、最前線で仕事をする社員は、課題とその解決策をつなぐ架け橋として機能することがよくあります。
現場で働く社員の価値を完全に理解しているリーダーは、現場の実情に合わせたポリシーを作成し、業務に大きく影響する場所にリソースを割り当て、現場における業務の範囲と複雑さを認識するための仕組みを構築しています。
さまざまな業界における現場の社員の役割
現場の社員はさまざまな業界に存在し、それぞれが重要な役割を担っています。こうした役割は、重要なサービスの円滑な提供、顧客満足度の向上、ビジネスのスムーズな運営に取り組む上で不可欠なものです。サービスの提供を担当する社員や法律の適用を担当する社員など、現場で業務を行う社員は、企業の日常的なビジネスにおける基盤になっている場合が多く、企業と顧客をつなぐ接点として大きな注目を受ける存在です。
医療従事者
- 看護師: 病床でのケア、患者の状態の監視、ケガの治療などを行い、患者と医師とをつなぐ重要なコミュニケーション役を担当します。
- 医師: 病気の診断、治療計画の作成と管理、処置、治療方針の指導などを行います。
- 救急救命士: 緊急事態に迅速に対応し、現場で患者の状態を安定させて医療機関に搬送します。
- 医療助手: 患者の準備、日常的な臨床業務、事務作業について、医師と看護師をサポートします。
小売スタッフ
- レジ担当者: 会計作業を効率的に処理し、親切で正確なサービスを顧客に提供します。
- 販売スタッフ: 商品を探している顧客のサポート、商品の機能やメリットの説明、店舗の整理整頓などを行います。
- 店舗マネージャ: 店舗スタッフの監督、日常業務の調整、販売目標の達成管理、部下から報告された問題の解決などを行います。
製造業従事者
- 組立ライン担当者: 機械の操作と監視、仕様に基づく製品の組み立て、品質基準の維持などを行います。
- 機械オペレータ: 機器のセットアップ/稼働/保守、問題のトラブルシューティング、継続的な生産環境の維持などを行います。
- 品質管理担当者: 材料と完成品に欠陥がないかどうか、仕様に準拠しているかどうかを確認し、高い品質基準を維持するための調整を提案します。
ホスピタリティ業従事者
- ホテルのフロント スタッフ: 宿泊客の出迎え、予約の管理し、チェックイン/チェックアウトの処理、宿泊客の要望対応などを行います。
- サービス提供担当者: 注文の受け付け、飲食物の提供、メニューに関する質問への回答などを通じて、顧客が快適な食事を楽しむことができるようにします。
- 客室係: 客室の清掃と準備、共用部の維持管理などにより、高い水準の快適さと清潔さを確保します。
交通・物流業従事者
- ドライバー: スケジュールと配送ルートに基づく安全な荷物の輸送や、車両のメンテナンスなどを行います。
- 配送担当者: 荷物の積み下ろし、配送スケジュールの調整、荷物受け取り時の顧客とのやり取りなどを行います。
- 倉庫担当者: 在庫の管理、注文品のピッキングと梱包、効率的な配送のための保管管理などを行います。
現場の社員とバックオフィスの社員の違い
ビジネスの成功には、現場チームとバックオフィス チームの両方が不可欠ですが、その働き方は根本的に異なっています。現場の社員は、サービスの提供や製品の生産を通じてリアルタイムにカスタマー エクスペリエンスを形成するのに対して、バックオフィスの社員は、プランニング、分析、サポート業務を通じて円滑なビジネス運営を支援します。
主な役割
現場の社員
顧客や一般の人たちとの直接的なやり取りや、重要なニーズへのタイムリーな対応などを担当する。
バックオフィスの社員
戦略立案、事務作業、分析業務などを通じて、ビジネスの運営をサポートする。
主なスキル
現場の社員
顧客とのコミュニケーション能力、俊敏さ、問題を迅速に解決する能力、業務に関する専門知識
バックオフィスの社員
分析的な思考力、プランニング スキル、プロセス管理能力
影響
現場の社員
ビジネスの継続性や顧客満足度に即時に影響する。
バックオフィスの社員
業務効率、コンプライアンス、スケーラビリティに対して長期的に影響する。
業務環境
現場の社員
現場での業務のペースが速く、頻繁に顧客とやり取りを行う。
バックオフィスの社員
オフィス勤務またはリモート勤務で体系化された業務を行い、顧客とやり取りすることはあまりない。
可視性
現場の社員
顧客や一般の人たちから大きな注目を受ける。
バックオフィスの社員
社内での業務が中心になるため、外部からの注目を受けることはほとんどない。
結論としては、現場の社員もバックオフィスの社員も、ビジネスにとってはどちらも不可欠です。現場の社員は、顧客とのやり取りを通じてブランド イメージをアピールし、バックオフィスの社員は、顧客とのやり取りを可能にするインフラ、プロセス、インサイトを提供します。
これらを組み合わせることにより、顧客満足度とビジネスの成長の両方を促進するシームレスなエクスペリエンスが実現します。
現場の社員に求められるスキルと責任
現場の社員には、ペースが速く影響力の大きな環境で成功するためのスキルと資質の組み合わせが求められます。顧客に対して好印象を残しながら、業務を効率的に進めていくスキルが必要になります。
このスキルは、AI や自動化テクノロジーが広く普及している現在においても、人間特有の非常に重要なスキルの 1 つです。現場の社員にとって重要な特性を以下に示します。
- 顧客重視: 顧客のニーズを理解し、そのニーズを満たすことに注力し、顧客とのすべてのやり取りに企業の価値を反映させる。
- 業務に関する専門知識: ツール、プロセス、ベストプラクティスに関する詳細な知識を活用し、シームレスで効率的な方法で日常業務を処理する。
- 適応性: 常に変化する状況や予期しない課題に迅速に対応する。
- レジリエンス: プレッシャーを受けている状態や混乱している状況であっても、パフォーマンスと集中力を維持する。
- 共感とコミュニケーション: 顧客と人間的なつながりを持ち、顧客から信頼感と満足感を獲得する。
- 冷静さ: 大きなストレスを受けている状況でも、プロとして冷静に業務を処理する。
現場の社員はこれらの特性を組み合わせることにより、一貫した品質でサービスを提供し、常に変化するニーズに対応しながら、顧客とのあらゆるやり取りにおいて企業の価値を具体化できるようになります。
現場の社員の課題
現場の業務には厳しい要求と課題が伴うため、その他の役割に比べて離職のリスクが大幅に高くなります。現在、半数以上の組織 (56%) が、現場の社員の離職率が通常よりも高いという課題に直面しており、社員 1 人あたりの補充コストは 4,000 ドルから 66,000 ドルの範囲になっています。
リーダーにとって重要なのは、身体的な負荷、給与格差、燃え尽き症候群など、離職のリスク要因になっている問題を特定し、それらを軽減するための措置を積極的に講じことです。ここでは、現場の社員が直面している課題の一例を紹介します。
賃金格差
現場の社員とそれ以外の役割との給与に格差がある場合、現場の社員の士気が低下し、離職のリスクが高くなる可能性があります。実際に、現場の社員が退職する最も大きな理由は、「現在よりも高い給与がほしい」というものです。社員が「自分の貢献はほかの社員よりも過小評価されている」と感じると、仕事に対する意欲が低下し、優秀な人財を維持することが難しくなります。
身体的な負荷
長時間労働、反復的な動作、職場環境の潜在的な危険性などは、現場の社員にとって大きな負担になります。こうした状態は時間の経過とともに、疲労、怪我のリスク増加、長期的な健康問題につながる可能性があるため、積極的な安全対策の実施、個人用防護具 (PPE) の着用、作業負荷の適切な管理が不可欠になります。
精神的なストレス
現場の社員は多くの場合、前向きでプロフェッショナルな姿勢を保ちながら、大きなプレッシャーを感じる状況で継続的な業務を行ったり、要求の厳しい顧客と頻繁にやり取りしたりしています。こうした状況で蓄積されていくストレスに適切に対処しないと、不安定な精神状態や業務の満足度低下につながる可能性があります。
テクノロジーとコミュニケーションのギャップ
最新情報、最新のデジタル ツール、合理化されたコミュニケーション チャネルにタイムリーにアクセスできない場合、現場の社員の生産性が低下する可能性があります。社員を最優先するテクノロジーを活用してこうしたギャップを埋めることにより、生産性とチーム間のつながりが向上します。
社員の燃え尽き症候群
必要数よりも少ないメンバーでチームを運営すると、各メンバーが担当する業務の負荷とそれに伴うプレッシャーが急速に増大する可能性があります。こうした継続的な緊張感は、精神的な疲労と肉体的な疲労につながります。そのため、十分な人財と休憩時間を確保し、リーダーが各メンバーをサポートすることが重要になります。
予測不能なスケジュール
厳しいスケジュール、不規則な勤務時間、直前の変更などが発生すると、ワークライフ バランスが崩れてストレスが増加します。予測可能なスケジュールを設定してシフトを詳細に管理することにより、現場の社員は活力を維持しながらワークライフ バランスを計画できるようになります。
企業が現場の社員をサポートする方法
先進的な企業は、現場の社員とそれらの社員に対するサポートを、ビジネスにとって不可欠な戦略として認識しています。この分野における優れたリーダー企業 (最近の Workday の調査では「現場のリーダー企業」と呼称) では、低い離職率、高い社員エンゲージメント、顧客サービスの成果向上という一貫した傾向が見られます。
こうした企業は、社員に対する共感とデータに基づく行動を組み合わせて、現場の社員のエクスペリエンスを向上させるための計画を作成しています。こうした企業が注力している主な分野を以下に示します。
柔軟なスケジュール設定の推進
シフトの詳細な管理権限を現場の社員に与えると、燃え尽き症候群の軽減、定着率の改善、意欲の向上につながります。現場のリーダー企業の約 40% が、シフト変更ツールやセルフサービス方式のスケジューリング ツールなどによる柔軟なスケジュール設定方法を導入して、社員の個人的な責任と現場における業務ニーズの適切なバランスを確保しています。
社員最優先のテクノロジーへの投資
最新のモバイル対応ツールを導入すると、現場の社員は、スケジュール、福利厚生、ポリシー、リアルタイムの最新情報に簡単にアクセスできるようになります。また、セルフサービス方式のポータルとコミュニケーション プラットフォームを導入すると、チーム メンバーとリーダーとの間の独立性、透明性、コラボレーション性が向上します。現場のリーダー企業の 65% が、「セルフサービス データにより、組織全体としてのエンプロイー エクスペリエンスが向上した」と回答しています。
データに基づく意思決定の推進
現場のリーダー企業の 65% が、「エンプロイー エクスペリエンスを評価する上で重要なのはデータである」と回答しています。リーダーは、社員フィードバックを運用指標とともに収集して分析することにより、問題を特定してポリシーを調整し、社員の実際の経験に基づいて現場の業務環境を最適化できるようになります。また、データに基づくインサイトにより、測定可能な新しい変更を対象として、進化するワークフォースのニーズに対応することもできます。
能力開発とウェルビーイングの重視
現場の社員の活躍を支援するには、明確な成長機会、対象を絞ったトレーニング、メンタルヘルスに関するリソースを提供する必要があります。社員の業務的なウェルビーイングと個人的なウェルビーイングに投資することにより、社内における全体的なエクスペリエンスが向上し、会社に対する忠誠心が育成されます。
現場の社員のニーズに対する積極的な対応
定着率を向上させるためには、現場の社員からのフィードバックを理解し、それに基づいて行動することが重要です。業績に基づく昇給、長期休暇、柔軟なインセンティブなどの福利厚生やポリシーを提供することにより、さまざまな退職理由に直接対処しながら離職率を下げ、会社に対する社員の信頼を高めることができます。
給与格差の解消
現場の社員を維持するには、公平で競争力のある給与体系を確保することが重要です。現場のリーダー企業の約半数 (44%) が、給与の引き上げによる優秀な社員の維持を計画しています。Workday の調査では、これが現場の社員を維持するための最大の戦略になっています。
業界標準と比較しながら、給与体系の公平性について定期的に見直しを行い、不公平な給与格差を是正することにより、現場の社員に対して「会社は現場の社員を高く評価している」という明確なメッセージを送ることができます。
現場の社員のエクスペリエンスを改善してビジネスを前身させる
ビジネスの適応方法と成長方法は、現場の社員によって形成されます。顧客や日常的なビジネスに最も近い場所で仕事をしている現場の社員は、その特性上、問題を早期に発見したり、ニーズの変化を最初に認識したり、イノベーションにつながるアイデアを思いついたりすることがよくあります。こうした視点によって改善が促進されるだけでなく、関係者との直接的なつながりを通じて、デジタル ツールでは代替できない信頼関係が構築されます。
現場の社員を効果的にサポートするには、適切なトレーニング、最新のツール、業務に関するポリシーを提供する必要があります。これにより、社員のウェルビーイングを確保しながら、社員の能力を最大限に引き出すことができるようになります。リーダーが現場の業務環境の柔軟性と能力開発を優先すると、現場の社員は「自分は会社から評価されている」と感じるようになります。その結果、ワークフォースが強化され、現場の社員がサービスを提供するコミュニティ間での信頼が深まります。
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