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アナリティクス技術の進化: 財務部門のリーダーにとっての道筋

今日の最高財務責任者 (CFO) は、結果として​の収益のみを追求しているわけではありません。将来に目を向けながら、次に起こることを予測し、進むべき道程を描いています。

組織の財務部門のリーダーにとって、ビジネス環境をより深く理解できる機会が今まで以上に高まっています。自動化や機械学習などのデジタル テクノロジーをベースとしたアナリティクス技術の進化により、財務チームはより深いビジネス インサイトを利用できるようになったほか、パフォーマンスの問題を特定し、シナリオを予測し、成果を高めることができるようになりました。

つまり、財務チームは、何か答えを探すのに過去をさかのぼる必要がなくなったということです。高度なアナリティクスを活用し、たとえば最も収益性が高いのはどの製品または顧客なのか、あるいは期日通りに請求書に対して支払ってくれる可能性が最も高いのはどの顧客なのかといった予測をすることで、より正確に将来を見通すことができます。

同時に、テクノロジーによって会計から監査までより多くの財務プロセスを自動化できるため、財務チームはこれまで以上に分析業務やビジネス パートナーとしての役割に注力できるようになりました。

優れたアナリティクスが不可欠であることを多くの CFO が認識しています。IBM 社のレポート『Elevate Your Enterprise—Chief Financial Officer Study 2018』によると、新しい成長機会を見出すための重要ソースとして CFO が挙げているのは、企業データと外部マーケット データおよび競合他社データとのインテグレーションに基づいたアナリティクスです。

しかし、こうしたアナリティクスの価値にもかかわらず、財務チームはデータとアナリティクスを活用することに課題を抱えています。Workday によるグローバル調査『財務の再定義』によると、プランニング、予算編成、収益予測などの主要分野で高度なアナリティクスを幅広く活用していると答えたのは回答者全体のわずか 35% でした。

何が障害になっているのでしょうか。財務リーダーの多くが同じ理由を挙げています。分断されたシステムとデータです。これによってトランザクション業務に多くの時間がかかり、ビジネス パートナーシップに問題が生じ、人財は不足気味になります。Deloitte Consulting LLP のプリンシパルである Matt Schwenderman 氏は、最近開催された業界イベントで、財務部門がアナリティクスの活用において直面している主な課題は、テクノロジーと人財の 2 つであると指摘し、次のように述べています。「財務部門がよりデジタル化された運用モデルを活用するのは主にアナリティクスですが、それに適したテクノロジーや人財を持ち合わせていない場合があります」

CFO はいますぐにこの課題に取り組まなければいけないと認識しています。アナリティクスを活用しなければ、間違った判断を下すリスクが高まり、最終的には企業の成長が阻害され、パフォーマンスに悪影響が及ぶことになります。

Workday はさまざまな調査研究や財務リーダーとの面接に基づき、財務部門内でアナリティクスを推進する際に重要となる 3 つの分野を突き止めました。コア テクノロジー基盤、戦略的ビジネス パートナーシップ、リーダーシップの 3 つです。

アナリティクスと機械学習は今後ますます洗練されていくでしょう。適切なシステム、パートナーシップ モデル、リーダーシップがあれば、財務部門は、企業がこれらの新しい機能を導入するための旗振り役を務めることができます。

#1: コア テクノロジー基盤

多くの財務部門がアナリティクスを推進しようと試みていますが、いまだにその大半がテクノロジー基盤を整えることに労力を費やしています。Schwenderman 氏は次のように指摘しています。「財務部門にも優劣の差があり、データ ドリブンおよびインサイト ドリブンな決断によって非常に創造的かつ革新的な取り組みを行っているところもあれば、依然としていわゆるヒューマン ミドルウェアに頼っているところもあります。後者では組織全体にわたってスプレッドシートによる情報伝達を行っており、重要な会議では 1 つの結果から作成されたさまざまな報告書を持ち寄り、どの数字が正しいのかを議論しています」

多くの財務チームが利用しているデータは、複数の異なるシステムに分散され、さまざまなデータ定義を持っていることがよくあります。信頼できる唯一の財務情報が存在していないため、データの正確さを信頼し、それを分析してインサイトを得ることが難しくなっています。事実、非効率なシステムは、Workday による調査『財務の再定義』で、データ ドリブンなビジネス インサイトを取得する際の 2 番目に大きな障害として挙げられています。

Aon 社は世界をリードするプロフェッショナル サービス会社の 1 つですが、その財務ソリューション部門のバイス プレジデントである Jim Kendall 氏は、世界中の事業所にある煩雑な財務システムを管理することが、同社のビジネス分析能力にどう影響を及ぼしたのかを説明しています。同社は人事システムと同様の課題に直面していました。同氏は次のように語ります。「いくつかの買収を経て会社が大きくなるにつれて、煩雑になったシステムとプロセスが大きな問題になってきました。経営幹部が社員と業績をグローバルな視点で把握することが難しくなりました。財務部門と人事部門の間に、アナリティクスに関する唯一のソースが存在していなかったからです」

非効率なシステムはパフォーマンスにどのような影響を与えうるのでしょうか。複数の国で同一の製品とサービスを展開しているグローバル企業について考えてみましょう。この企業は地域ごとに異なる財務会計システムを利用し、異なるデータ定義を業務に適用しています。その結果、各事業所は本社が求めるものとは異なる形で、同一の製品ラインやサービス ラインのパフォーマンスを解釈して報告する可能性があります。そのため、間違った分析が行われる可能性があります。たとえばあるビジネスが実際よりも高い収益をあげているように見え、最終的に間違った意思決定が行われるおそれがあります。

また、複数のシステムを使って業務を行っていると、財務チームは分析に集中することが難しくなります。データの収集や照合に多くの時間を費やすことになるからです。Workday の共同プレジデント兼 CFO を務める Robynne Sisco は、以前働いていた職場でこれを直接体験しました。「財務部門は毎月その期間の決算を行い、データにアクセスし、その照合作業、書式設定、分析を行うことになります。事業部門にデータを提出する頃には、期間が終了してから 2 週間経っており、何か措置を講じるにはすでに遅すぎるのです」と彼女は語ります。

財務部門がその分析機能を高めようとするならば、こうしたシステム上の課題に取り組まなければなりません。KPMG がスポンサーを務めるハーバード ビジネス レビュー アナリティクス サービスのホワイトペーパー『Advanced Analytics and the CFO』では、Constellation Research 社のプリンシパル アナリスト兼創業者である R. “Ray” Wang 氏がこれらの障壁を克服することの重要性を強調しており、「企業は高度なアナリティクスに必要な基盤を構築するため、プロセスとシステムを改善するための取り組みを開始しなければなりません」と語っています。

また、このプロセスを開始する方法をいくつか提示しており、「データ定義の標準化やコア財務会計システムのインテグレーションと合理化に加え、クラウドを活用したシステム間の拡張性、標準化、連携がこの取り組みにおける最初の重要ステップになります」と語っています。

多くの企業が財務管理をレガシー財務会計システムからクラウドベースのグローバル システムに移行しています。これにより、財務チームは組織間のプロセスを標準化し、すべての財務データを単一のシステムに集約することができます。アプリケーションにアナリティクス機能を組み込んだクラウドベースの財務システムでは、単一の場所からリアルタイム データに基づくトランザクション処理、分析、レポート作成をすべて行うことができます。これは従来のシステムではできなかったことです。  

この基盤があれば、財務部門はデータに効率的にアクセスし、信頼性の高いデータを利用できます。Schwenderman 氏はアナリティクスに関連して次のように述べています。「……第一に、信頼性の高いものを作成することが重要です。この信頼性を確保できれば、進捗を速め、短期間で大きく前進することができます」

単一のクラウドベース財務システム

Kendal 氏は、グローバルなクラウドベース システムに移行することによって Aon 社の財務部門や人事部門が得られるメリットについて次のように語っています。「財務部門と人事部門が単一のシステムを持つことによって、アナリティクス機能が改善され、その結果、レポートから直接アクションを実行できるようになりました」。同氏はさらに続けます。「世界中の同僚がリアルタイムのデータにアクセスできるため、ビジネスがどのように運営されているか、各自の行動が収益や経費にどう影響しているのかを正確に把握できます。 ひとつのシステムの中で、問題となる不一致を掘り下げて原因を把握し、措置を講じることができるのです」。

「世界中の同僚がリアルタイムのデータにアクセスできるため、ビジネスがどのように運営されているか、各自の行動が収益や経費にどう影響しているのかを正確に把握できます」

イギリスに本社のある Kainos Software Limited 社は長い歴史を持つ独立系デジタル テクノロジー会社の 1 つですが、事業の急成長と戦略的目標に対応するため、レガシー システムから財務部門と人事部門向けの単一システムに移行しました。Kainos 社財務部門のグループ責任者である Peter McKeown 氏は、この変化によって財務部門でのデータの処理方法が大きく影響を受けたと語っています。「財務部門と人財管理部門を単一のプラットフォームに統合したことで、人事情報と財務情報に関する、唯一の正しい情報源を確保できました。これにより、事業部門全体からの賛同を得られやすくなるとともに、エラー数や必要な照合作業を減らすことができました」

また、チームがより戦略的な業務に集中できるようになったとも言います。「単一のクラウドベース システムを導入したことで、シニア スタッフは雑務や財務処理に費やす時間を減らし、付加価値のある業務に集中できるようになりました」

財務チームが手元にあるデータをより効果的に活用しようと取り組む中、多くのチームが人工知能などのテクノロジーを活用する方法や、外部データを統合してアナリティクスを改善する方法についても検討しています。予測分析を利用すれば、財務チームはさまざまな種類のデータのパターンを評価してから、不正を示唆する異常動作などのリスクを特定することができます。

CRM や POS または業界固有のシステムからのデータなど、外部データを財務記録システムに取り込むことによって、リーダーたちは収益と費用を左右している業務上の要因などのパフォーマンスをより深く理解することができます。このことの重要性に関し、Schwenderman 氏は次のように述べています。「外部データ セットを追加すればするほど、予測モデルは正確になっていきます。そうなれば CFO はリソースをもっと効果的に割り当てることができます。また CFO はより正確な見通しを市場に発信し、株主価値を高めることができます」

Sisco は適切なテクノロジー基盤を持つことの重要性を強調し、次のように述べています。「機械学習などのテクノロジーの活用やより多くの業務データの取り込みによって企業がアナリティクスを促進するにつれて、信頼できる唯一の情報源を持つことがますます重要になってきます」

しかし、こうした試みを前進させるには、まだ多くの財務部門が問題を抱えています。Workday による調査『財務の再定義』によると、財務リーダーたちが優れたアナリティクスへの第一の障壁として挙げているのは、深いインサイトを得るための、財務データと非財務データを統合する能力が不足していることです。

業務を行うための適切なコア テクノロジー基盤を持つことが最重要課題になります。ハーバード ビジネス レビュー アナリティクス サービスのホワイトペーパーでもこの点が指摘されており、「機械学習や人工知能 (AI) が普及することにより、焦点は業務効率から、強化されたデータやインサイトに移り、その結果、パフォーマンスが飛躍的に向上する可能性があります」としています。CFO は特にデータや各プロセスに関し、ベースラインとなるデジタル機能を整備し、これらの将来投資をフルに活用できるようにする必要があります。

#2: 戦略的ビジネス パートナーシップ

データを保有しているだけでは不十分です。財務チームは、データを活用することによって、役立つインサイトや指針を事業部門全体に提供する方法も把握する必要があります。テクノロジーによって従来型タスクの効率性が高まるにつれて、財務チームの役割はビジネス パートナーとしての役割に移っていきますが、それには新しいスキルと働き方が必要になってきます。Deloitte 社のレポート『Crunch time V-決断の時 5』では、「表計算ソフトを使う会計士は業務の 90% を人手の介入なしに処理する新技術に置き換えられます」と説明されています。これにより、財務部門はより付加価値の高い業務に注力できるようになります。しかしこのレポートによると、そのためには「ビジネス パーソンとシステム専門家やデータ サイエンティスト、ファイナンスの戦略担当者の機能横断的な連携が求められます」

財務部門はこれまで、ビジネス パートナーに必要な価値を提供する際に課題に直面してきました。企業のそれぞれの分野は多くの場合サイロ構造の中で機能しており、財務部門はこうしたギャップを埋めるための機能と体制を持ち合わせていません。財務チームは戦略やプランニングよりも、データの収集やパートナーとの数字の照合に多くの時間を費やす傾向があります。

Sisco は以前勤めていた会社で経験した問題について次のように説明しています。「ビジネス パートナーシップに関してよく起こることは、財務マネージャ、人事マネージャ、その他のマネージャが 1 つの部屋に集まる際、さまざまなヘッドカウント数など、それぞれが異なるデータを持ち寄ることです。彼らは数字が本当に意味することではなく、正しい数字はどちらなのかを議論することに時間のほとんどを費やします。鍵となるのはデータの信頼性です。共通のデータを利用すれば、議論の内容は変わり、意思決定の信頼性も高まります」

財務チームが効果的なビジネス パートナーシップを築くための基盤を構築するには、以下のようにいくつかの方法があります。

ビジネス パートナーを顧客のように扱う。ハーバード ビジネス レビュー アナリティクス サービスのホワイトペーパーによると、この考え方はあらゆるビジネス パートナーシップ モデルの中心です。同ホワイトペーパーでは、「万能なビジネス パートナーシップ モデルは存在しないものの、すべてモデルに共通する要素が 1 つあります。それは内部顧客に対する顧客中心のアプローチであり、これによって事業の真の価値を引き上げ、収益を伸ばすことができます」と説明されています。

財務部門の人財の分析スキル セットを強化する (新しい人財の雇用を含む)。ハーバード ビジネス レビュー アナリティクス サービスのホワイトペーパーでは、「現行スタッフの分析のノウハウを高めることが有益かつ必要であったとしても、分析スキルを持つ人財を雇用し育成することは、企業にとって引き続き最重要目標であることは明白です」と説明されています。また、財務部門におけるアナリティクスのサポートに必要なさまざまなスキルも説明されており、「求められている人財にはアナリティクスのツール、各手法、テクノロジーに特化した人財が含まれることは間違いないが、その範囲には、インサイトに溢れる質問をし、データを解釈し、適切な結論を導き出せるクリティカル シンキング スキルを持つ人財も含まれます」としています。

Schwenderman 氏はデータ サイエンティストを含む分析スキルを持つ人財の必要性も強調しており、次のように述べています。「特に財務に関して言えば、最も大きなギャップの 1 つは実務の役割とインサイトの役割との差です。多くの企業にはこれらすべての役割を担う人財がいますが、実務の割合があまりにも大きくなっています。クライアント、管理者、CFO はデータ サイエンティストを求めており、実際にこうした人財を企業に採用し始めています」

企業全体でセルフサービス アナリティクスを実現する。調査『財務の再定義』によると、セルフサービス データをビジネスリーダーに幅広く提供している財務チームは全体のわずか 4 分の 1 になっています。これは、CFO が企業に大きな価値をもたらす機会が失われていることを示唆しています。ビジネス パートナーが重要なデータとアナリティクスに直接アクセスできるようになれば、意思決定を行うために必要な情報を得ることができ、自分たちの決定がパフォーマンスにどのような影響を与えるのかをより正確に把握できるようになります。

ビジネス パートナーが重要なデータとアナリティクスに直接アクセスできるようになれば、意思決定を行うために必要な情報を得ることができ、自分たちの決定がパフォーマンスにどのような影響を与えるのかをより正確に把握できるようになります。

ビジネスリーダーがセルフサービス アナリティクスを効率的に活用できるようにする場合に重要な点が 2 つあります。1 つはマネージャがデータに容易にアクセスできること、もう 1 つはそのデータが完全に信頼できることです。これはクラウドベースの財務システムによって実現されており、いつでもどこからでもリアルタイム データにアクセスし、唯一の正しい情報源を利用できます。 

また、財務データが組織全体で民主化された場合は、データ ガバナンスとセキュリティ管理を整備しておくことも重要です。分析が最も役に立つのは、その分析がカスタマイズされた状態にあるときです。たとえば店舗マネージャが利用するダッシュボードには特定の店舗や地域のデータのみが表示されるといった具合です。

Sisco は、財務チームがリアルタイム データとアナリティクスによって各マネージャを支援する方法について次のように説明しています。「弊社の財務チームはシステム内に、リーダーたちがアクセスできるダッシュボードを作成しました。マネージャはいつでも組織の状況を確認し、ヘッド カウントや支出に関する予算と予測と実績とを比較し、当期間内に成果をあげるための決断を即座に下すことができます」

#3: リーダーシップ

優れたアナリティクスに対する需要が高まる中、多くの CFO が自身の組織のビジョンや道筋に疑問を抱いています。この疑問の対象は、財務部門だけでなく企業全体に及んでいます。記事『How Analytics Can Help Transform CFOs from Accountants to Strategists』の中で、EY 社のグローバル チーフ アナリティクス オフィサーである Chris Mazzei 氏は次のように述べています。「CFO が現在自身の管理下にあるすべてのコア財務プロセスにおいて、アナリティクスを活用することを擁護および推進すべきなのは当然です。しかし、それは始まりに過ぎず、そこからさらに広げていくことができます。調達であろうと、サプライチェーンであろうと、業務に関する意思決定であろうと、リスク管理に関する意思決定であろうと、財務データは他のデータと同様に多くの意思決定プロセスにとって重要な情報です」

では、CFO がアナリティクスのビジョンを構築する際、考慮すべき事項は何でしょうか。

より大きなビジネス課題を念頭に置いて開始する。Deloitte 社のレポート『Finance Analytics: Three-Minute Guide to Advanced Analytics』では、最初にビジネスにとって重大な問題が何なのかを特定し、次にその解決に向けて財務アナリティクスがどのように役立つのかを検討しています。「これにより、自身が抱えていることさえ認識していない問題や、現在活用されていない、有益になりうる新たな情報源が明らかになります」と述べられています。

組織にとって最も重要な重要業績評価指標 (KPI) に重点を置きます。これにより、大量のデータを分析するよりも優れた成果を出すことができます。Schwenderman 氏は次のように述べています。「モデルの実行や分析はどんな情報に対しても行うことができるため、多くの組織がこれを延々と繰り返しています。組織のパフォーマンスを本当に向上させる KPI は限られています。こうしたデータを入手するための優れた方法を確立し、最新のテクノロジーを活用してより予測的に行動できるようにします。このことを学べば、結局利用することのない大量のデータを一生懸命に作成する代わりに、優れた成果をあげることができるはずです」

最初の段階からビジネスリーダーをアナリティクスのビジョニングに参加させる。これにより、財務を成功に導く状況が整います。ハーバード ビジネス レビュー アナリティクス サービスのホワイトペーパーによると、リーダーシップ レベルの支援が不可欠であり、高度なアナリティクスの対象について優先順位を決める際に、ビジネスリーダーに参加してもらう必要があります。ホワイトペーパーでは、「何かの取り組みが完了した時点で、リーダーの前に図や表を並べるだけでは不十分です。むしろ、リーダーに対し、取り組みに関する助言を求め、責任を負ってもらい、その取り組みの過程を共に歩んでいってもらう必要があります。リーダーシップからのコミットメントを得ることにより、CFO はアクションにつながる決定を下しやすくなります」と述べられています。 

このような会話にもっていく方法の 1 つは、意思決定に役立つデータにはどのようなものがあるのか、ビジネスリーダーに探りを入れることです。ビジネスリーダーが求めている特定のセルフサービス KPI や、ビジネスリーダーが作成する必要のある予測の種類を話題にします。また、アナリティクスのディスカッションにビジネスリーダーを参加させることによって、財務部門は企業の他のシステムに保存されているデータに容易にアクセスできるようになります。

目標を達成するためのテクノロジーを確保しているかどうかを評価する。最高情報責任者 (CIO) と協力し、アナリティクスの目標への障壁に対応できるテクノロジー投資を評価します。こうしたテクノロジー投資には、将来アナリティクスを推進する機能をサポートする、データ品質の改善やデータ アクセスの向上などが含まれます。ハーバード ビジネス レビュー アナリティクス サービスのホワイトペーパーでは次のように説明しています。「いったんビジネスリーダーがアナリティクスに関する会社の戦略的ビジョンを策定すると、財務部門はデータ インフラ、ベースライン オートメーションおよびアナリティクス システムの投資に関するビジネス ケースを評価できるだけでなく、戦略的インフラ投資を承認し開始できる強い立場を得られます」

Schwenderman 氏はアナリティクスを推進するための最初のステップに関し、次のようなアドバイスをしています。「アナリティクスと予測モデリングに関する機能を試験的に導入してください。計画を立て、試験的に導入し、早めに失敗しておきます。それを解決してから再開し、実行してから結果を確認し、フィードバックを得てまた繰り返します」

始めましょう

この記事で説明したそれぞれの分野、すなわちテクノロジー基盤、ビジネス パートナーシップ、およびリーダーシップは、CFO がアナリティクスの取り組みで組織を前進させるために不可欠なものです。 Schwenderman 氏は、財務部門の進化する役割をサポートするための機能がすでに準備されていることを強調しています。

「私たちが見ているのはテクノロジーの能力、そしてそのテクノロジーを導入し、常に最新の状態にしておくためのコストです。財務部門には言い訳をしている暇はありません。時間がかかりすぎるとか、情報を入手できないとか、情報を管理できないとか言い訳をすることはできません。なぜならば必要な機能はもう存在しているからです。財務部門がすべきことは自身の役割を引き受け、組織の目標を設定し、人財を確保することだけです」

財務部門がデータを十分に活用するための機会はすでに存在しています。Workday を利用して財務部門がアナリティクスをさらに推進する方法について、詳細はこちらをご覧ください。