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中規模企業の成長をサポートする 3 つの戦略

世界経済を成長させ、大規模な雇用を創出し、イノベーションを進めていくために鍵となるのは中規模の組織です。

現在、世界ではどのような状況になっているのでしょうか。国際連合アジア太平洋経済社会委員会のレポートによると、たとえばアジアでは、全企業の 99 パーセント、全就業者の 70 パーセント、GDP の 50 パーセントを中小企業が占めています。

National Center for the Middle Market (NCMM) の調査によると、米国では、ミッドマーケット (中規模企業の市場) に参入している企業の数は約 20 万社にのぼります。NCMM は、年間売上高が 1 千万ドルから 10 億ドルまでの企業を中規模企業と定義していますが、こうした企業が民間部門における GDP の 3 分の 1 を占めています。

NCMM の役員である Thomas Stewart 氏は、「現在の米国経済は、成長と停滞を繰り返しながらも、これまでで 3 番目に長い経済成長の時期に入っています。この成長の原動力となっているのはミッドマーケットの企業です」と言っています。

それに対して欧州では、全企業に占めるミッドマーケットの割合は小さいのですが (最も低いドイツでは 1.2 パーセント、最も高いフランスでも 1.7 パーセント)、それでも民間部門の収益の約 3 分の 1 を占め、各国の就業者の約 3 分の 1 がミッドマーケット企業に従事しています (ESSEC Business School and GE Capital のレポート を参照)。

このデータは、ミッドマーケット企業や、ミッドマーケットへの参入を目指す小規模企業の成長が、世界経済の成長に大きく貢献しているだけでなく、こうした企業にとって、継続的にビジネスを成長させていく大きなチャンスが待っていることを示しています。

このような企業が次のレベルに到達するためには、何が重要になってくるでしょうか。財務上の目標を達成することでしょうか。別の地域へとビジネスを展開していくことでしょうか。それとも、中規模企業から大企業へと規模を拡大していくことでしょうか。

その答えは、3 つの重要な戦略にあります。それは、業務をいかに効率的に運用していくか、環境の変化にいかに迅速に適応できるか、優秀な人財をいかに獲得して保持するか、という 3 つの戦略です。

ここからは、これら 3 つの戦略の詳細、これらの戦略を実施する上での課題、その課題を克服して成功を収めた中規模企業の取り組みについて説明します。

「中小企業は、雇用、競争力、経済的活力、イノベーションを生み出す原動力です。中小企業こそが、人々の起業家精神を刺激し、スキルの拡散を促しているのです。大企業よりも、中小企業の方が地理的に広く展開しているため、大都市だけでなく地方にまでその経済効果が波及することになります。」

- 国際連合貿易開発会議事務局長 Supachai Panitchpakdi 氏

1.業務の効率化

ミッドマーケット企業が成長する上で最も困難な課題の 1 つは、給与計算ツールや人事管理ツールなど、管理業務やバックオフィス業務に伴う複雑さをいかに克服するかということです。

多くの場合、問題となるのは、適切なシステムが導入されていなかったり、実用的なシステム自体が導入されていないことが原因で手作業に頼らざるを得なくなっていることです。そのような企業では、個別に運用されている複数のシステムを連結するためにスプレッドシートなどのアプリケーションを使用したプロセスを構築することになりますが、この方法ではデータの不整合やエラーが発生する可能性が高くなります。

コンサルティング企業 Mercer 社のリージョナル バイス プレジデントであり、ミッドマーケット向けエンタープライズ テクノロジー展開部門の長である Greg Bloom 氏は、「ミッドマーケットの企業にとって、増え続ける管理業務と手作業が大きな問題になっている」と指摘しています。Bloom 氏は、企業の競争力を高めて成長を続けるためには、「人財管理、社内プロセス、テクノロジーの活用をさらに効率的かつ効果的に行う」必要があると強調しています。

「ミッドマーケット企業は、ビジネスの規模を拡大することに力を注ぐべきです。ミッドマーケット企業にとって、事務処理は大きな負担になります。また、ビジネスの規模が大きくなるにつれて、複数の情報システムの管理が負担になっています。」 (NCMM の Stewart 氏)

こうした管理業務は、財務部門や人事部門でもスタッフの負担となり、データ分析やビジネス提携などのより戦略的な業務に費やす時間が少なくなってしまいます。

「ミッドマーケット企業の成長と拡大を促進するには、組織の改編、合併吸収、新規株式公開など、どのような方法をとるとしても、財務部門と人事部門のスタッフが手作業ではなく、より戦略的な業務に力を注ぐ必要があります」と Bloom 氏は言います。

Pioneer Energy Services 社は、石油や天然ガスの探査と産出に従事する企業に対して、陸上掘削および生産の請負サービスを提供しています。同社は、ビジネスのアジリティを高めてワークフォースの能力を向上させる過程において、管理業務が増えてさらに複雑になるという課題に直面しました。複数のシステムからデータを抽出して照合するなど、時間のかかる手作業に多くの時間を費やしていました。

Pioneer Energy Services 社の IT 部門の責任者である Bill Schneider 氏は、「以前のシステムでは、Workday プラットフォームと同等の機能を実現するためには、最大 9 つの製品を追加しなければならなかったでしょう。ビジネスの規模が拡大していくにつれ、以前のシステムでは弊社のニーズと成長のスピードに対応できないことが明らかになりました」と言います。

 

成功の鍵は自動化

技術の進歩により、中規模企業は、こうした負担の大きい作業の多くを自動化できるようになりました。インメモリ コンピューティングを活用し、業務効率とスケーラビリティを改善するためのビジネス プロセス フレームワークが組み込まれ、クラウドで提供されるエンタープライズ アプリケーションは、特に自動化に適しています。

以前であれば、こうした高度な技術はミッドマーケットの企業にとって手の届かない存在でしたが、現在はより容易に利用できるようになりました。

人事管理、給与計算、アナリティクス、プランニングなどのアプリケーションを 1 つのシステムに統合することにより、組織全体で各種プロセスの標準化と自動化を行い、データを一元的に管理できるようになります。

以前は、多くの中規模企業にとってこうした高度なシステムを入手するのは困難でしたが、現在ではより手に入れやすくなりました。また、以前のシステムに比べて、短期間で簡単に導入することができます。

具体的な例として、自動化がビジネスの成長力に大きな影響を与える可能性のある人事管理機能について紹介します。

ストックホルムに本社を置く Elekta 社は、急成長を続けている多国籍企業です。癌と脳疾患の治療に関する分野のパイオニア企業である同社は、以前は複数の人事システムを使用していましたが、それが原因で簡単な業務も非常に複雑なものになっていました。グローバル人事管理アプリケーション マネージャの Raymond L’homme 氏は、「社員数といった非常に基本的な情報でさえ、確認するのが難しいような状態でした」と言います。

同社の成長計画をサポートするため、個別に運用されていた 20 を超えるシステムを 1 つのクラウドベースの人財管理システムに統合した結果、会社全体で各種プロセスを統一することができました。「最も大きなメリットは、システムが 1 つに統合されたことです。これは、グローバル マネージャにとって、非常に重要です。現在は全社で同じプロセス、同じユーザー インターフェイスを使用しています。たとえば給与を改定する場合も、中国とスウェーデンでプロセスは変わりません。」 (L’homme 氏)

業務の自動化に取り組んだことにより、Elekta 社は、継続的な成長に向けて大きな一歩を踏み出しました。

「ミッドマーケット企業は、業務を効率化することにより、競争力を得て、新しいビジネス チャンスに取り組み、CEO が掲げる目標と会社の方針に密接に関連した、より戦略的な業務に注力できるようになります」と Bloom 氏は言います。

 

最初に行うべきこと

中規模企業が最初に行うべきことは、ビジネスの成長を妨げる原因となっている非効率なプロセスを特定し、そのようなプロセスを効率化し、組織がビジネスの規模を拡大するためにテクノロジーがどのように役立つか調査することです。

「ミッドマーケット企業は、ビジネスの成長を支えるための適切なシステムと構造が構築されているかどうかを、自らに問いかける必要があります。ビジネスを適切に管理して拡大するための機能を組み込むことが重要です。」 (Stewart 氏)

この取り組みは、早急に行う必要があります。Bloom 氏は次のように話しています。「多くのミッドマーケット企業は、成長サイクルの早い段階において、各種プロセスの合理化と標準化を行うことができます。大企業の方がこうしたことを実施するのが難しくなります。ミッドマーケット企業は、プロセスの合理化と標準化を行うことにより、コストを大幅に削減し、業務を効率化することができます。」

 

2.変化への適応

中規模企業には、大企業に対して「アジリティ」という利点があります。「大数の法則に縛られることのないミッドマーケット企業には、成長への道が開けています。変化に迅速に対応し、新しいトレンドを活用することができます。」 (Stewart 氏)

しかし、新しいビジネス チャンスから利益を得るためには、効果的な事業計画が必要になりますが、これはミッドマーケット企業が得意とする分野ではありません。

「中規模企業の場合、戦略的なプランニングは、その他の業務よりも優先順位が下がります。これは、経営幹部がより戦術的で差し迫った課題に注力しようとするためです。そのため、いわゆるプランニングが完了する頃には、データによる裏付けのない古い計画となり、また会社全体の視点が反映されていない計画になることもよくあります。」 (Bloom 氏)

一般的に、効率性の低いツールやテクノロジーが、質の低いプランニングの原因と考えられています。たとえば、複数のシステムに分散しているデータをスプレッドシートに取り込んで作業を行っていることがあります。部門の責任者が、手作業でデータの収集と照合を行わなければならない場合も多くあります。

「多くのミッドマーケット企業が、バックオフィスの事務管理業務用に個別のレガシー システムを使用しています。こうしたシステムは、過去のデータを収集するだけで、現在のデータを管理して分析し、今後の計画を作成することはできません。」 (Bloom 氏)

 

継続的なプランニング

しかし、現在のビジネス環境においては、潜在的な問題や競合相手による脅威を特定したり、新しい法規制に準拠したり、多様化する顧客のニーズを満たしたりするなど、環境の変化を認識し対応できるようにしておく必要があります。

そのためには、環境の変化に対応するため継続的にプランニングを行っていくという考え方が必要になります。決定後は変更しない年間予算計画を作成するなどの従来のプランニング手法では、現在のビジネス環境には対応できません。

朗報なのは、現在のプランニング システムは中規模企業にとって手頃な価格で手に入れやすいということです。KPMG Global 社のエンタープライズ パフォーマンス マネジメント部門のシニア マネージャである Gerald Harris 氏も、同社が発行した「Planning, Budgeting, and Forecasting: An Eye on the Future」レポートで、そうした事実を指摘しています。

「中規模企業にとって、戦略的なプランニングは、他の作業よりも優先順位が低くなる場合があります。」

- Mercer 社リージョナル バイス プレジデント Greg Bloom 氏

 

「クラウドはおそらく、PBF (計画策定、予算編成、業績予測) のテクノロジーにおける最大かつ唯一無二の進歩だと思います。クラウドの所有コストは低いため、大企業だけではなく、ミッドマーケット企業にとっても、効率的な PBF プロセスを導入しやすい環境になりました。そのため、PBF プロセスを手作業で行う理由はほとんどなく、それによるメリットもありません。」 (Harris 氏)

 

リアルタイムでのデータ収集と分析

クラウドベースのプランニング システムにより、特に業務に関する全データを 1 つのシステムで活用するような場合、データの収集と分析の機能が大幅に進化しました。

「人事、財務、給与計算に関する業務を 1 つのシステムに統合することにより、毎日の業務で発生するイベントの内容とコンテキストの両方が把握でき、財務、運用、管理に関するレポートを 1 つのデータ セットからリアルタイムに作成できるようになります。これにより、データとレポートの品質が大幅に向上するため、ビジネスの内容を詳細に分析して適切なプランニングを行うことができます。」 (Bloom 氏)

また、成長戦略に関するプランニングと実施にも大きなメリットがあります。多くの場合、企業にとっての最も大きなコストは人財にかかるコストです。社員数、費用、収益、キャッシュ フローなどに関する指標をリアルタイムに取得することにより、実績を把握して問題を特定し、対処が必要な場合に対応できるようになります。

これは、過去数年で 2 つのクラブと合併して地域最大規模の自動車協会になった AAA Northern California, Nevada & Utah (NCNU) にとって、重要な課題でした。AAA NCNU のファイナンシャル プランニング・分析部門のバイス プレジデントである Dustin Cramer 氏は、次のように言っています。「NCNU では、総支出の 50 パーセントを人財関係のコストが占めています。そのため、従来の財務データだけでなく、人財に関するデータも活用する、統一された方法でのプランニングが、NCNU にとって重要です。現在は、1 つのシステムで、財務データと人事データの両方をリアルタイムで管理しています。以前はスプレッドシートを使用していましたが、現在は、すべてのデータを 1 つのシステムで管理しているため、さまざまな要素を明確に把握できるようになりました。たとえば、計画データをリクルーティング モジュールに取り込むと、その計画の目標が現実的か、人事部門がフィードバックできるようになります。」

 

3. 優秀な人財の獲得と保持

中規模企業にとって、優秀な人財を獲得することは非常に困難な課題です。NCMM とブルッキングス研究所が推進するメトロポリタン ポリシー プログラムで作成された「Help Wanted」レポートによると、現在の経済環境におけるすべてのセクターのなかでミッドマーケット企業が最も多くの新規ビジネスを生み出しており、人財の獲得が急務であるにもかかわらず、十分な人財を確保できないために大きな問題となっています。

アジアの開発途上国では、教育機関を卒業した若年層を社会に送り出すための適切な仕組みがないため、各企業にとっては必要な人財を確保するのが難しくなっています。やる気のある優秀な人財は、大企業や行政機関への就職を目指します。中規模企業と比べて、大企業は賃金が高く、福利厚生も充実しています。また、行政機関の場合は、雇用が安定しており、手厚い社会保障も用意されています。そのため、規模の小さな会社は、国内での人財獲得競争において、優秀な人財を確保することが難しくなります。

実際に、前出のレポートによると、各種サービス業界、建設業界、医療業界で高いシェアを持つ中規模企業の約 4 割の経営者が、優秀な人財が不足していることが原因でビジネスの成長が阻害されていると考えています。さらに、「中規模企業は、求職者に大きくアピールするブランド名を持っていない傾向にあります」と Stewart 氏は言います。

効果的な人財獲得と人財保持のプログラムを開発するための人事インフラが中規模企業内で整備されていないケースが多いという事実が、この問題をさらに難しいものにしています。その結果、人事部門は、新人のオンボーディングや日常業務のサポートなど、実務的な業務により多くの時間を割くことになります。これにより、企業の成長に大きく貢献する可能性のある人財獲得と人財保持の活動に積極的に取り組む時間が少なくなります。

ビジネスの成長を妨げる可能性のあるもう 1 つの要因として、適切なトレーニングが実施されていないことが挙げられます。前出のレポートによると、ミッドマーケット企業は、必要な場合にのみ社内トレーニングを実施する傾向があります。45 パーセントの企業が必要に応じてトレーニングを実施していますが、継続的なトレーニング プログラムは導入されていません。

 

高等教育機関に対するサポート体制の不備

前出のレポートでは、ミッドマーケット企業が抱える別の課題として、教育機関へのアピールが難しいこと、高等教育ワークフォース トレーニング プログラムを受けた人財に対するサポート体制が整っていないことが挙げられています。レポートによると、「大学や専門学校、職能開発プログラムを実施する公共部門などは、多くの場合、中規模企業特有のニーズに応えるのではなく、大企業に注目する傾向がある」ことが指摘されています。

その理由について、Stewart 氏は次のように説明しています。「人財の需要側と供給側の橋渡しが安定していないため、いわゆる "ワークフォース システム" に参加できるミッドマーケット企業は多くありません。ワークフォース システムの形態が複雑だったり、仲介者を見つけるのが難しかったり、連携体制が整っていなかったりする場合があるため、規模の小さい企業がこうしたシステムに参加するのは簡単なことではありません。」

また Stewart 氏は、このシステムの課題について、次のように指摘しています。「供給側と需要側の求めているものは必ずしも一致しません。コミュニティ カレッジでは、毎年何十人もの学生の採用を確約してくれる大企業からの要請であれば、喜んで専門コースを開講するでしょう。しかし、ミッドマーケット企業の場合、たとえ複数の企業の合計採用人数が大企業 1 社の採用人数より多い場合であっても、それらの企業のニーズに対応するのは非常に難しくなります。」

 

人財の獲得と保持の改善

中規模企業が前述の課題を克服し、人財獲得と人財保持の業務を改善してビジネスを拡大させていくためには、さまざまな方法が考えられます。

Stewart 氏は、ミッドマーケット企業は、必要に迫られてから人財の確保に取り組むのではなく、常に先を見越して計画しておく必要があると指摘します。NCMM が Vistage 社との協業によって作成した「Mastering Talent Planning」という調査レポートでは、タレント プランニングの品質と、企業全体の成長と業績の間には、高い相関関係が見られることが指摘されています。

「適切なタレント プランニングを実施している企業、たとえば正式なタレント プランニングのプロセスが導入されている企業、タレント プランニングの各種イニシアチブに包括的に取り組んでいる企業、上級幹部や経営幹部によってタレント プランニング プロセスへの積極的な参加が促されている企業は、ミッドマーケット企業全体において、最も成長スピードが速く、最も業績の高い企業である傾向が見られます。」

継続的なトレーニングや研修を実施することにより、社員のモチベーションと意欲を持続させ、新しいスキル セットを習得させることもできます。

人財を保持するための戦略を実施することも重要です。特に、大きく成長している時期には、新しい人財をまず社内のワークフォースから探し始める企業もあります。人財保持率を高めるための 1 つの方法として、パフォーマンス管理があります。これは年 1 回だけではなく、社員の意欲を高めるためのプロセスとして継続して実施すると、特に効果があります。

「Helped Wanted」レポートでは、パフォーマンス管理が得意な中規模企業の場合、「経営幹部がパフォーマンス管理プロセスの有効性を確信し、日常業務に欠かせないプロセスとして認識している傾向がある」と指摘されています。こうした企業は、正式なパフォーマンス レビューの結果だけに頼るのではなく、日常的なフィードバックを継続的に取り込むためのプロセスを構築しています。

継続的なトレーニングや研修を実施することにより、社員のモチベーションと意欲を持続させ、ビジネスの成長とともに新しいスキル セットを習得させることもできます。中規模企業は、人財の供給元になり得る外部機関とも密接な関係を構築する必要があります。「Help Wanted」レポートでは、地元にある大学の教授と良好な関係を築くことにより、有望な学生に接触したり、就職を翌年に控えた高校生や大学生向けにサマー インターンシップを募集したりすることを提案しています。

 

テクノロジーの活用

多くの中規模企業にとって、高度なタレント プランニング プロセスと管理プロセスを開発するのは難しいことだと感じられるかもしれません。多くの中規模企業が、人事、タレント、福利厚生、給与計算、採用などの各種業務で複数の古いアプリケーションを使用しており、管理に多くの時間と人員を費やしています。こうした古いアプリケーションでは、効果的なタレント管理プロセスをサポートするための基盤や機能を提供することはできません。

アジア地域の中小企業が直面している大きな課題においても、同じような状態が見られます。たとえば、財務、テクノロジー、人事、マーケットの情報などに簡単にアクセスできないという問題があります。最も大きな問題は、グローバル化がもたらすチャンスと脅威のどちらにも効果的に対応できないことです。

しかし、技術の進歩により、中規模企業も、より高度なタレント管理システムを以前より簡単に構築できるようになりました。人財管理、タレント、採用、研修に関する業務を 1 つのシステムに統合するクラウドベース システムにより、これらの業務プロセスを簡素化し、複数のシステム上での手作業にかかる時間を短縮することができます。

また、これらの複数のプロセスにわたって同じデータ ソースを使用することにより、全体的な社員のパフォーマンスとコストを明確に把握することができます。ビジネス規模が拡大しても、このような中規模企業は、さまざまな疑問に答えることができます。たとえば、最も優秀な社員が最も重要な業務に取り組んでいるかどうか、優秀な人財はどこに配置されているか、離職の可能性がある社員はだれか、リーダーシップのパイプラインにギャップがあるのはどこか、会社の収益に最も貢献しているのはだれか、などです。

「ミッドマーケット企業は、ビジネスの成長を支えるためのシステムと構造が構築されているかどうかを、自らに問いかける必要があります。」

- NCMM の Thomas Stewart 氏

商業用不動産分野における欧州のリーディング企業である Unibail-Rodamco 社は、12 カ国で展開されているビジネスをサポートし、さらに拡大するため、社内の人事管理業務をクラウドに移行しました。

Unibail-Rodamco 社の人財管理部門でチーフ オフィサーを務めている Sylvain Montcouquiol 氏は、「当社にとっては、将来への準備を行う上で、グローバルに展開されているワークフォースの状況を詳細に把握し、急速な成長と変化に対応できる人事管理システムを採用することが重要になります」と言います。

 

結論

ミッドマーケット企業は、雇用の促進、イノベーション、ビジネス規模の拡大により、世界経済に大きく貢献しています。ミッドマーケット企業は、中規模であるがゆえの課題に直面していますが、業務効率、プランニング、タレントに関するテクノロジーの進歩と手法の進化によって、新しい効果的な方法でそれらの課題に対処することができるようになります。企業の成長を支援して成功へと導くためのサポートとツールがあれば、明るい未来が見えてきます。