未来の CFO にとって最も重要なスキルとは

2 回にわたってお送りするブログ シリーズの初回では、複数の報告書および財務のエキスパートや実務担当者へのインタビューに基づき、未来の最高財務責任者 (CFO) に求められる最も重要なスキルや能力について検証していきます。

成功とは、準備と機会が出会うことで起こるものと言われます。ビジネスの方向性や戦略の策定を行うにあたって、最高経営責任者 (CEO) がますます CFO の力を必要としており、CFO が影響力を発揮するのに今ほど最適なタイミングはないでしょう。かつては単に数字を扱う役割と考えられていた CFO ですが、世界規模で急速に変化するビジネス環境や規制環境を背景として、現在は従来の職務だけではなく、成長と戦略のためのデータドリブンな分析とインサイトへのニーズの高まりにも対応するようになりました。

このような流れから CFO の役割が見直されており、財務やビジネスのプロフェッショナルが CFO へのキャリア パスを進むようになっています。また、現職の CFO もキャリアにおける成長を目指し、スキル セットや知識、注力分野、ビジネス上の関係をしっかりと検証し、必要に応じて改善しながら、理想的な未来の CFO 像を実現するようになっています。

2 回にわたってお送りするこのブログ シリーズでは、複数の報告書および財務のエキスパートや実務担当者へのインタビューに基づき、未来の CFO に求められる最も重要なスキルや能力について検証していきます。

財務分野にとどまらない広範な経験

基礎となる財務知識は重要ですが、CFO がより戦略的な役割を担うためには幅広いビジネス知識と業務経験が必要です。Johnson Brothers Liquor 社のバイス プレジデント兼 CFO の Kevin Loegering 氏は純粋な財務会計の領域を超えた明らかな変化について、「この役割には、より卓越した業務知識や影響力、洞察力が求められる」と指摘しています。

Association of Chartered Certified Accountants (ACCA) と Institute of Management Accountants (IMA) が発表したレポート『Future pathways to finance leadership』によると、現職の CFO たちは、戦略の策定と実行こそが未来の CFO にとって最も重要な経験であると考えています。そのため、CFO は「ビジネスと財務分野の深い経験と知識に基づき、従来の財務能力に留まらない広範なリーダーシップを身につける」必要があります。

「この役割には、より卓越した業務知識や影響力、洞察力が求められる」—Johnson Brothers Liquor 社、バイス プレジデント兼 CFO、Kevin Loegering 氏

業務、マーケティング、営業など、財務部門以外の重要なビジネス部門で役割を担いながら (あるいは、少なくとも他者と緊密に連携しながら) CFO のキャリア パスを目指すことで、ビジネスや顧客についての確固としたインサイトを持つことができ、それが戦略推進や成長のための意思決定において強みとなります。

データとアクショナブル インサイトへの注力

ビジネスの成功におけるデータの重要性は増す一方です。企業はデータを活用して、新たな市場機会を見極め、カスタマー エクスペリエンスを向上させ、ビジネス プランを推進し、変化とイノベーションを起こします。CEO が CFO と財務部門に期待しているのは、戦略と意思決定をサポートするための分析とインサイトを提供することです。事実、ACCA と IMA のレポート『The Changing Role of the CFO』によると、財務部門と CFO には、データ革命の中心的な役割を果たすことが期待されています。

CFO と財務部門は、財務上の数値だけではなく、データをいかに活用するかを理解し、意思決定の背景となるコンテキストや理由を説明し、「What-If」の問いに答えられるビジネス ストーリーを伝えられることが必要となるでしょう。

スタンフォード大学の財政学教授である Ilya Strebulaev 博士は、現職および未来の CFO に、今そして将来の成功のために求められるスキルを伝える目的で、The Emerging CFO: Strategic Financial Leadership Program を開始しました。博士は、データを扱う専門知識が極めて重要になると考え、次のように述べています。「現在、私たちは大量のデータに囲まれて暮らしており、そのデータを評価して、消費者、競合他社、市場などについての意思決定を行うためのテクノロジーを手にしています。CFO は、財務データだけでなく、これらすべてのデータをどのように利用するかを理解し、それによってビジネスを理解して意思決定を促す必要があります。それを実行できない企業は生き残れないでしょう」

CFO と財務部門は高度な分析をさらに活用することで、予測モデルを実行し、より優れた予測を行うようになるでしょう。

データがタイムリーでアクセスしやすく、有意義なものであるためには、テクノロジーが重要な役割を果たします。クラウドを活用した新しい財務管理システム、インメモリ データベース、可視化、モビリティなどにより、CFO と財務部門は過去の財務データを分析するだけではなく、ビジネスのパフォーマンスに関するリアルタイムのインサイトにアクセスできるようになります。さらには、これらのインサイトを他のビジネスリーダーたちにも容易に提供することができ、パートナーシップの強化も実現します。

今後、CFO と財務部門は高度な分析をさらに活用することで、予測モデルを実行し、より優れた予測を行うようになるでしょう。そのためには、テクノロジーやシステムを理解すること、さらには効率性、アジリティ、インサイトを向上させることができるかどうかが極めて重要になります。『The Changing Role of the CFO』レポートでは次のように指摘しています。「未来の CFO と財務部門は、このようなテクノロジーの活用に精通する必要があります。理論上は、これにより数字の記録や検証に費やす時間が減り、データの関連付けやビジネスに与える影響を説明することにより多くの時間を割き、意思決定に財務の観点を取り入れることができるようになります」

CIO との緊密なパートナーシップ

未来の CFO にとっては、CIO と強力な関係性を構築することも重要です。Strebulaev 博士は、よりデータドリブンな組織を構築するうえで CFO と CIO のパートナーシップが重要であると強調していますが、そのためにはお互いをより深く理解する方法を学ぶ必要があると述べています。両者がより緊密に連携することで、大きく拡大した CFO と財務部門の役割を支援するために必要なテクノロジーや財務会計システムを評価することも可能になります。

「このデータドリブンな変革への取り組みにおいて、CFO は CIO と密接に連携して、自分たちがどのようなデータを求めているのかを理解してもらう必要があります。これまでは双方の言葉がかみ合わないことが多いという課題がありました。そのため、コミュニケーション チャネルを改善することが重要になるでしょう」と Strebulaev 博士は説明しています。

Johnson Brothers Liquor 社の Loegering 氏も同様に「テクノロジーと情報も、担うべき役割に含まれており、システムとデータを理解し、そのような情報を理解および活用することがますます重要になりつつあります」と述べ、この分野に注力することで同社の CIO との緊密な関係性が育まれたと説明しています。同氏は次のように続けています。「システムやプロジェクトの観点から CIO と協力して物事を推進してきました」

本ブログ シリーズの後編、『未来の CFO にとって最も重要なスキルとは: 第 2 部』もぜひご覧ください。今回のトピックについての詳細は『The CFO of the Future (未来の CFO)』をご覧ください。

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